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湘南DF島村「90分、続けることが大事」

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[8.5 J2第27節 横浜FC 1-0 湘南 ニッパ球]

 湘南ベルマーレにとって、やはり悔むべきは前半の試合運びだろう。開始早々にDF島村毅のロングフィードが右WB古林将太に入り、キックオフからわずか15秒で決定機をつかんだ。FW古橋達弥のヘディングシュートは右に外れて行ったが、その後もホームの横浜FCを押し込んだ。

 しかし、相手を押し込むこの戦い方は、湘南が狙いとする戦い方とは若干異なるという。高い位置からプレッシングをかけ、最短距離での速攻が湘南の狙いとする戦い方だ。ところが、この試合ではボールを握ることができたため、どれだけ遅攻から相手を崩せるかが、問われることになった。そこでの崩し方、精度に問題があったと島村は言う。

「前半に関しては相手のプレッシャーがなかったので、落ち着いてボールを回すことができました。ボールを握っていたのでサイド攻撃ができていましたし、そこでのクロスの精度や、ゴール前の入り方にもう一工夫が欲しかった。こういった試合は決めないと悪い流れも来てしまう。後半はちょっとしたミスがあったし、セットプレーから一発でやられて、あれで勢いづけてしまった」

 曹貴裁監督は「前半で決められずに、選手が『多分やれるだろう』という空気で(後半に)入ってしまった。20分から30分の時間帯で前と後ろが離れてしまい、相手にカウンターのチャンスを与えたことが敗因だったと思う」と振り返ったが、ピッチ内の島村も、その時間帯に問題があったことを認めた。

「もう少し最終ラインを高くできていたら良かったのですが、押し込まれてしまいました。前半は最終ラインも高くて、全体がコンパクトになっていたので、ボールを取れていた。それを90分、続けないといけない」

 試合後、指揮官は選手たちに「9試合負けなしで来ていたけれど、これまでも一つの負けから学んでエネルギーにしてきた」と語りかけたという。無敗記録は9で止まり、今季4敗目を喫した。だが、その間につかんだチームの戦い方にブレはない。試合終了間際、湘南は最終ラインに入る島村が最前線のスペースに飛び出し、GKと1対1のチャンスを迎えた島村は「自分たちがアグレッシブに行ければ、ああやってDFもチャンスもつくれると思う。90分、続けることが大事」と繰り返した。

「今日、初めて出た選手が頑張ってくれて、チームの層が厚くなったと思います。湘南スタイルを磨いて、次につなげたいと思っています」と、曹貴裁監督。ダービーに敗れた湘南だが、選手を鼓舞したサポーターも含め、下を向き、立ち止まっている者は一人もいない。

(取材・文 河合拓)

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