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強化トップ解任の千葉、ラストゲーム飾れず巻「自分に腹が立つ」

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[9.26 J1第27節 千葉1-2山形 フクアリ]

 残留争いの直接対決という意味以外にジェフユナイテッド千葉が勝ちたい理由はもう一つあった。今月限りでの解任が決まっている昼田宗昭シニアマネジャーにとって、山形戦が“ラストゲーム”。01年以降、9年間に渡って千葉の強化担当を歴任してきた昼田氏に勝利を届けたい思いは選手たちも強かった。

 昼田氏の熱烈な誘いに応じ、1年で新潟から千葉に復帰したDF坂本將貴は「昼田さんが今日最後というのは選手同士でもずっと話していた。そこが一番悔しい」と唇をかみ、FW巻誠一郎も「なんとしても勝ち点をあげたかった。こういう場面で試合を決められない自分に腹が立っている」と自分を責めた。

 強化部門トップのシーズン中の解任に千葉の迷走ぶりが見える。オシム元監督以降、アマル元監督、クゼ元監督、ミラー前監督、江尻篤彦現監督と、4年間で5人の監督がチームの指揮を執った。(オシム元監督を除けば)相次ぐ解任は指揮官だけにとどまらない。唐井直・前GMはわずか1シーズンで解任され、後任の昼田氏も2シーズン目の終了を待たずにクラブを追われることになった。

 一線級の補強、特に外国人補強で後手を踏み、戦力を整えられなかった昼田氏の責任は重い。解任の決断自体は仕方がないにしても、チームへの影響が避けられないシーズン中に解任を通達するタイミングには疑問が残る。移籍市場が閉まり、まだ降格が決まっていない以上、この時点で強化トップを替える理由はなかった。

 クラブのビジョンが見えないことが最大の問題だ。低迷するたびに監督やGMを解任してゼロからのスタートを切るため、クラブ自体に成長がなく、徐々に弱体化している。

 ミラー前監督の解任も三木博計社長が主導したものだったという。突然の指揮官交代にクラブ関係者からも「なぜ、このタイミングなのか」「解任するなら昨季終了後でもよかった」との声があった。昼田氏解任のタイミングも含め、三木社長の判断は正しかったのか。その責任も問われるべきだろう。江尻監督の来季続投は既定路線になっており、低迷の責任を昼田氏にかぶせる形になったが、果たしてそれでサポーターは納得できるのか。

 監督にしてもGMにしても、毎年のように誰か一人に責任を押し付け、安易に“リセット”を繰り返す限り、千葉に明るい未来は待っていない。

(取材・文 西山紘平)

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