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[天皇杯]J2にも勝てない千葉、江尻監督は戦力補強を要望

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[11.15 天皇杯4回戦 岐阜1-0千葉 熊谷陸]

 ふがいない。情けない。J2降格の決まったジェフユナイテッド千葉はJ2で11位の岐阜に0-1で敗戦。降格による精神的ショックも言い訳にできないような完敗だった。

 前半のシュート数はたったの2本。ロングボールばかりの単調な攻撃が目立ち、岐阜の守備網にかかると、後半も攻撃の形を見せることさえできず、零封負けに終わった。

 試合終了の笛が鳴ると、MF工藤浩平はピッチに仰向けに倒れ込み、悔し涙を流した。「本当に悔しかった。降格が決まって、今日勝てばリーグ戦が終わっても、このチームで試合をしていける。重要な試合だったし、本当に勝ちたかった」。報道陣の前に姿を見せたときも、工藤はまだ目を赤く腫らしていた。

 岐阜は来季、J2で戦う相手でもあった。1年でのJ1昇格を目標に掲げる千葉にとって、来季のシミュレーションになる貴重な試合だった。「ジェフは強いというイメージを与えておきたかった。レベルの差はなかった試合だし、このままだったら絶対に1年で(J1に)上がれない」と工藤は危機感を強める。

 試合後、ゴール裏のサポーター席からは、降格が決まってもなかったブーイングが飛んだ。「受け止めます」とFW巻誠一郎。ファンの不満も、我慢の限界を超えた。

 来季の続投要請を受けている江尻篤彦監督は「選手のメンタルの部分を1週間で上手く変えられなかったことが内容の乏しさにつながった。試合に集中させることができなかった僕の未熟さ」と精神面の影響を強調したが、いまだ攻守両面で形ができていないことの方が深刻だ。

 「クラブとして(チームを)編成していく中でやらなきゃいけないことはいっぱいある。ピッチの外をしっかりつくらないと、来年は戦えない。(補強選手を)クラブはリストアップしていると思うし、外国人の柱をつくることが我々の課題」。指揮官は来季の補強を要望したが、決して岐阜よりも個々の力で劣っていたわけではない。

 いくら戦力を整えようと、ピッチの中でしっかりとしたサッカーができなければ、ただの宝の持ち腐れだ。現状でさえ、現実はそれに近い。「今日のような試合をしたら僕が来年も(監督を)やる資格はない」とも話した江尻監督。チームにとって今何が一番大切なのか。フロントがそこを見誤れば、未来は何も開けない。

(取材・文 西山紘平)

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