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豊田が仲間も公式記録員も“混乱”させるゴール、「川相みたいなバントと言われた」

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[8.21 J2第25節 東京V0-2鳥栖 味スタ]
 サガン鳥栖の北京五輪代表FW豊田陽平が、チームメイトもサポーターも、公式記録員も“混乱”させるゴールを決めた。東京V戦の後半15分、右サイドでMF藤田直之が右足で強烈なミドルシュートを放った。ゴール前には敵味方複数の選手がおり、PA内で誰かに当たってコースが変わって、ゴールネット左に突き刺さった。
 今季初ゴールを決めたと思った藤田はガッツポーズを繰り返し、大喜びした。スタジアムの場内アナウンスでも『藤田』の名前がコールされ、Jリーグの公式サイトでも藤田のゴールとなっていた。サポーターも藤田コールを繰り返して賞賛した中、豊田も自分のゴールだとアピール。果たしてどちらなのか……。数分後、公式記録員がVTRで確認して“答え”が出た。電光掲示板もJリーグの速報スコアも得点者が『豊田』に変わった。
「おめでとうと言われても照れくさいですね。決まった瞬間、俺だと思ったけど、アナウンスは藤田だった。でもあれは、藤田が蹴って、俺に当たった。このへん(下腹部)に当たったんです。みんなには『バントしたな。川相みたいなバントしたな』と言われました」
 豊田によると、PA内でまず東京V選手に当たり、それが自分の下腹部に当たって入ったという。運営関係者によると、藤田のシュートは枠を捉えておらず、豊田に当たったことで枠内にボールが入ったと判定し、豊田のゴールになった。豊田にとってはラッキーなゴール。チームメイトからは、プロ野球の巨人や中日で活躍したバントの世界記録保持者・川相昌弘内野手(現巨人二軍監督)に例えられ、茶化されたという。
 しかし、ゴールはゴールだ。豊田にとっては4試合ぶりの今季7得点目で、得点ランク5位に浮上した。FWにとってはどんな形であれ、ゴールが取れると勢いに乗れるもの。豊田は「ゴールはラッキーな形だったけど、これをきっかに取れるようになればいいと思う」と前向きに語った。
 勝ち点を33に伸ばし、首位のFC東京とは8差、J1昇格圏内3位の栃木とは同7差となった。鳥栖にとっては“逆転昇格”の可能性が広がった。豊田にとっては、この日は運も味方したゴールだったが、J1昇格戦線にさらに食い込むために、今度はストライカーらしい“誰もが認めるゴール”を決めて白星をもたらす。
(取材・文 近藤安弘)

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