beacon

山形残留の“救世主”山崎が加入後7戦4発、1-0勝利に「これが山形のサッカー」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[9.11 J1第25節 浦和0-1山形 埼玉]

 アウェーながら約1500人が集結したモンテディオ山形サポーターの笑顔が広がった。もちろん、選手たちも笑顔で手を振り、温かい歓声に応えた。逆転残留に向けて大きな勝ち点3をゲット。導いたのは“残留への救世主”だった。MF山崎雅人が開始2分にゴールを決める活躍を見せ、1-0勝利に貢献した。

「ビッグチャンスは多くないと思っていた。初めのチャンスに集中して決められた。狙い通りです。これが山形のサッカーですし、1点先制したら強いと言われていた。自分が加入して、先制して勝ったという試合はないので、今日は山形らしいサッカーが出来て良かった」

 虎の子の1点を奪った山崎も満足気な表情だった。勝ち点17の17位で迎えた浦和戦。相手も勝ち点28の14位と近い順位で、残留のためには負けられなかった。そんな中、前半2分に幸先良く先制に成功した。最終ラインのDF石川竜也のロングボールを中央で長身FWの大久保哲哉が競り勝つ。これがPA付近にこぼれ、山崎が拾って突進し右足を一閃。すぐさま、浦和サポーターから悲鳴が上がった。

 ここから山形の真骨頂が発揮された。組織的な守備を展開し、ゴールに鍵をかけた。タレントが揃う浦和も途中まではボールを運ぶが、バイタルエリアは崩せない。ロスタイムを入れると、90分以上、山形イレブンは走り回って、体を張って1点を守り続けた。山崎も「終了の瞬間? 早い段階に点が入って長い時間守ってたので、やっと勝てたなと思った」と安堵の表情で振り返り、「今日はほんとDF陣に感謝したい。先に1点とって守り切るのはなかなかできない。ほんと感謝したい」と守備陣を讃えた。

 4試合ぶりの勝ち点3をつかみ、勝ち点を20に伸ばした。順位は17位のままだが、残留圏内の15位大宮までは勝ち点8差とした。14位浦和とも同8差で、12位の川崎Fとも同10差と、少しずつだが差を縮めている。今後、さらに追いつくために必要なのは得点力で、この日のヒーローの山崎に期待がかかる。

 7月に広島から山形に加入した山崎にとって、この日のゴールは移籍後7試合で4得点目だった。サポーターからは残留に向けた“救世主”としての期待を寄せられているが、まずまずの結果を残しているといえる。この日もそうだったが、ゴール以外でも仕事をしている。持ち味の運動量を発揮して中盤に顔を出し、また守備面でも、前線からのプレスを90分間やり遂げた。今後も期待通りのプレーをする意気込みだ。

「アウェーで浦和に勝てたのは自信になる。今季は残り9試合? 自分らはもう後がないので、周りの結果云々じゃなくて、勝ち点3をしっかりと取れるようなサッカーをしたい。(勝ち点差は)急に縮むことはないので、1戦1戦しっかり勝っていって、結果的に追い付いたとなるように頑張りたい」

 山崎は山形らしい堅守を発揮して粘り強く戦い、勝ち点を重ねていくことを宣言した。次戦は17日にホームに川崎Fを迎える。相手も8連敗中と後がなく、必死に戦ってくるが、山形もひるむつもりはない。下位からしっかりと勝ち点を奪って“ミラクル残留”につなげる。

(取材・文 近藤安弘)

TOP