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大分が“Wの劇的ロスタイム弾”で首位撃破!F東京はリーグ戦10試合ぶりの黒星

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[10.26 J2第7節 F東京1-2大分 国立]

 J2は26日、東日本大震災の影響で延期されていた第7節を行った。国立競技場では首位のFC東京と前節12位の大分トリニータが対戦。大分はオウンゴールで先制を許したが、前半ロスタイムに後半ロスタイムといずれも“劇弾”を決めて2-1逆転勝ち。F東京に8月28日の富山戦(0-1)以来となる10試合ぶりの黒星をつけた。F東京は首位はキープしたが、2試合連続白星なしでJ1復帰へ足踏みとなった。

 F東京は日本代表DF今野泰幸が出場停止だった。システムは4-5-1でGKは権田修一、DFラインは右から中村北斗、徳永悠平、森重真人、椋原健太。ダブルボランチは高橋秀人と梶山陽平が組み、2列目は右に谷澤達也、左に田邉草民、トップ下には羽生直剛が入った。1トップはルーカスが務めた。

 対する大分は出場停止選手はなし。システムは3-4-3でGKは清水圭介、3バックは右から土岐田洸平、作田裕次、池田達哉。中盤はダブルボランチを姜成浩と宮沢正史が組み、右MFにイ・ドンミョン、左MFにチェ・ジョンハンが入った。3トップは前田俊介を中央に、その下に森島康仁と永芳卓磨が構えた。

 序盤、両軍ともに守備をしっかりとしたため攻めあぐねる時間が続く。だが前半7分、大分は森島がミドルシュート。同10分には前田が得意の左足でミドルシュートを打った。いずれも決められなかったが、積極的な姿勢を見せた。地力に勝るF東京は中盤でボールをつなぐが、ルーカスと羽生の前線にうまくボールが入れられず、DFラインを崩すことはできなかった。

 それでも圧倒的な個人技を誇るF東京は、少しずつ押し込む時間が増える。前半16分には突破口を開こうと梶山が左足ミドルシュート。その直後にはルーカスがゴール前の相手クリアボールからオーバーヘッドを繰り出すなどゴールを狙っていった。そして同22分、F東京が待望の先制点を奪った。

 羽生が右サイドからクロスを入れると、これを中央で田邉がヘディングで競り勝つ。このボールに谷澤達也が胸トラップから右足ダイレクトシュート。これはGK清水にセーブされたが、跳ね返りが大分守備陣に当たり、ゴールイン。谷澤の華麗なシュートからオウンゴールが生まれ、ホームのF東京が1-0リードをつかんだ。

 これで完全にF東京がリズムをつかみ、サイドを起点にして攻め込んでいく。前半33分にはルーカスが右足シュート。コースは良かったが、わずかに外れた。同35分にはゴール前の攻防から最後は羽生が左足ミドルシュート。これも惜しくもゴール上のネットに刺さった。

 大分はさっそく選手交代が行われた。前半40分、池田に代えてF東京からレンタルで加入しているMF幸野志有人が出場。幸野は左FWへ入り、姜が3バックの左に、永芳がボランチへ回った。

 前半のロスタイムは1分。ここで大分の前田俊介がスーパーシュートで同点に持ち込んだ。PA右からのクロスに対し、ゴールに背を向けていたが、胸トラップから反転して前を向き左足ボレー。これがゴール左隅に突き刺さり、1-1と振り出しに戻した。直後に前半が終了。大分にとっては大きなゴールとなった。

 後半、大分が前田のキープ力を活かして攻撃を展開。開始1分、前田がゴール前で倒されてFKをゲット。これを森島をおとりに元F東京の宮沢が得意の左足で狙ったが、壁に当ててしまった。その後も大分は前田の個人技を活かして高い位置でボールをつないだ。それでもF東京DFは固く、ゴール前を崩すには至らなかった。

 大分は後半8分、チェに代えてMF長谷川博一を投入。対するF東京もその1分後に動いた。田邉に代えてMF石川直宏を送り出した。石川は右MFに入り、谷澤が左MFに回った。直後、石川が魅せる。右サイドを快足を活かして中に切れ込み左足シュート。GK清水にセーブされたが、リズムをもたらした。

 後半12分、大分がチャンスを作った。前田が中央をドリブルして守備陣をひきつけてスルーパス。これに長谷川が走り込んでGK権田と1対1となった。右足で狙いすましてシュートを放ったが、これはGK権田の好セーブに阻まれた。

 F東京は後半もボールをつないだが、バイタルエリアをうまく仕掛けられない。そこで後半17分、羽生に代えてFWロベルト・セザーを投入した。F東京はその後、フレッシュな石川やセザーのスピード、梶山のパスワークで仕掛けるが、なかなかゴールを奪えなかった。

 その後もF東京が押し込むが、大分が粘り強い守備で跳ね返す。後半30分、F東京は梶山が自らインターセプトしてドリブルでPA内に突進。大分選手に倒されたが、PKは得られなかった。その1分後にはセザーがドリブルで左サイドを突進。3、4人を交わしてシュートまで行こうとしたが、防がれてしまった。

 大分は後半35分、最後の交代カードを使う。永芳に代えてMF藤川祐司を送り出した。対するF東京も同39分、3枚目のカードを切る。谷澤に代えてMF永里源気を送り出した。永里は右MFに入り、石川が左MFに回った。その後もF東京が攻め込むが、大分が必死に守った。

 ロスタイムは4分。46分に大分がチャンスをつかむ。カウンターから最後は左サイドを駆け上がったイ・ドンミョンがゴール前に走り込んで右足を振り抜いた。決定機だったが、これは右に外した。F東京に運があるかと思われたが、大分が劇的逆転に成功した。

 後半49分、森島康仁が右サイドから長谷川博一にパスを通し、長谷川がGK権田との1対1からシュート。股を通す形で決めて2-1逆転に導いた。直後に試合は終わり、大分が2試合ぶり勝利で、F東京にリーグ戦10試合ぶりに黒星をつけた。

[写真]後半ロスタイム、大分のMF長谷川博一が劇的な決勝点を決める

(取材・文 近藤安弘)

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