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[全日本女子選手権]2011年無敗のINAC、元日決戦へ川澄「今年同様、いいスタートを」

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[12.27 全日本女子選手権準決勝 INAC神戸4-1岡山湯郷 国立]

 左手の負傷も関係ない独壇場だった。INAC神戸レオネッサのFW川澄奈穂美が1得点2アシストを含む全4得点を演出する活躍でチームを2年連続の元日決勝に導いた。なでしこリーグとの2冠、大会連覇まで、あと1勝。「自分たちにとっては、ここがスタートライン。ここに来て、やっと連覇に挑める」。4発快勝にも表情を緩めることなく、「次、勝たないと意味がないし、ここまで来たことが無駄にならないようにしっかり勝ちたい」と、来年1月1日の決勝へ気持ちを切り替えていた。

 23日の準々決勝・AS狭山戦(2-0)で左手甲を負傷。出場も危ぶまれていたが、「普通の手ではないですけど、できないわけではないので。影響がまったくないかと言われたらありますけど、できるのでやりました」とテーピングを巻いて強行先発。「コンタクトを受けたり、転んだときに手を付かないようにして、ブサイクな転び方になりました」と笑ったが、90分間フル出場で両チーム最多となる9本のシュートを放つなど躍動した。

 前半立ち上がりの2分、中盤のルーズボールを拾ったDF那須麻衣子からくさびを受けた川澄がワンツーの形で絶妙なスルーパスを通し、那須の先制点をアシスト。前半24分にはMFチ・ソヨンとのワンツーで自らゴール前に抜け出し、右足で追加点を決めた。同44分、左サイドから仕掛け、中央のFW大野忍に流すと、大野のシュートはFW高瀬愛実に当たってコースが変わり、ゴールネットを揺らす。高瀬の得点となったため、川澄の2アシスト目とはならなかったが、3得点すべてに絡み、前半で試合の大勢を決定付けた。

 ふくらはぎを痛めたMFチ・ソヨンが大事を取ってハーフタイムに交代した影響もあり、後半は岡山湯郷の反撃に遭った。後半22分には1点を返され、1-3と詰め寄られたが、後半45分、川澄のひと蹴りが試合を締めくくる。左サイドの高い位置までプレッシャーをかけ、ボールを奪うと、そのままスピードに乗ってPA内に進入。GKもかわして無人のゴールに流し込み、4-1とダメを押した。

 今年1月1日の全日本女子選手権決勝で初優勝を飾り、2011年をスタートさせたINAC。オフにはMF澤穂希、大野、DF近賀ゆかり、MF南山千明という4選手が日テレ・ベレーザから加入し、なでしこジャパンに7選手を輩出するまでになった。今季のなでしこリーグは無敗で初優勝。連覇を目指す今大会も元日の決勝まで駒を進め、公式戦無敗のまま11年を終えた。

 川澄は新潟レディースとの決勝に向け「連覇も大事ですし、リーグと両方取るチームは最近なかなかいないので、本当に強いことを証明するためにも勝ちたい」と、08年度の日テレ・ベレーザ以来となる2冠へ意気込んだ。今季の締めくくり、そしてロンドン五輪を控える2012年の始まりとなる決勝戦。「元日もしっかり勝って、今年同様、いいスタートを切りたい」。有終の美を飾るタイトル獲得で、来シーズンに向けても弾みを付けるつもりだ。

(取材・文 西山紘平)

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