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高校日本一・山梨学院碓井主将「ムヨクの挑戦者」

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第1回「ムヨクの勝利」

 年末から行われた第88回全国高校サッカー選手権は山梨学院大付(山梨)の初出場初Vという快挙で幕を閉じました。
 そのチームをプレー、精神面で力強く引っ張ったのが、MF碓井鉄平主将です。横森巧監督が「チームの心臓部」と評し、そしてチームメイトの誰もが優勝の要因に挙げていた碓井主将の存在。また青森山田との決勝で決めた、チームを日本一へ導く「無回転」の決勝弾は間違いなく今大会のハイライトでした。
 選手権決勝から1ヵ月。ゲキサカではその碓井主将に自分自身の高校サッカーへの思いのほか、日本一を勝ち取ったチームの日常、そして全国大会へどう臨んだかなど、碓井選手と山梨学院サッカー部の姿をコラムで紹介してもらいます。初めて全国大会へ臨んだ山梨学院が他のライバルたちをなぜ上回ったのか。注目のコラムスタートです!


 ゲキサカでコラムを担当させてもらうことになりました山梨学院の碓井鉄平です。このコラムを通じて山梨学院サッカー部のことを少しでも皆さんに知ってもらえればと思います。よろしくお願いします!

 「何で勝てたの?」って今でも良く聞かれますけど、自分たちに勢いがあったことは間違いないと思います。大会開幕前、本当は初戦で負けるんじゃないかと思っていました。自分は負けず嫌いだし、たとえヴァンフォーレ甲府や大学生相手でも試合をやるからにはいつも「負けたくない」と思っていますけど、選手権の初戦についてはすごく不安でした。対戦相手は05年度大会で優勝している野洲高校(滋賀)。夏に練習試合(0-4)で戦ったときはめっちゃ強くて歯が立たないという感じでした。

 ただ、練習試合で戦ったときは自分たちにはケガ人がいたし、あの時より力はついていた。「いい勝負はできるだろうな」と思っていました。そして、実際戦ってみたら普通に試合ができた。自分たちの方が落ち着いていたのもあると思いますけど、リードされてもみんなのおかげで逆転勝ちできて、勢いに乗ることができたと思います。

 自分としては1、2回戦の内容は最悪。もっと戦わないといけなかったし、もっと走らなければいけなかった。それでも普段「無理!」っていうヤツが次々と点を取った。8人が点を取って「山梨学院はどこからでも点が取れる」って言われていましたけど、実際はそんなヤツらじゃないんです。野洲戦で同点ゴールを決めた2年の関(篤志)は練習試合含めてもあれが初ゴール。ルーテル学院(熊本)戦の(藤巻)謙のミドルも相手より自分たちの方が驚いていたようなシュートでした。決勝のボクのシュートも同じ。自分は無回転は打てるけど、まさかあのタイミングで打てるなんて思わなかった。

 根拠のない、少しの自信はありました。でも自分たちが日本一になることができたのは、とにかく練習頑張って、一戦一戦頑張ろうとしてきた結果じゃないかなと思います。相手のほうが自分たちよりプレッシャーを感じてくれていた。でも自分たちは、先のことを考えるよりも山梨学院のサッカー場でやってきたことを初めての選手権で出すだけだった。そして自分たちは勝ち上がるごとに、いいところを出すことができた。

 コラムのタイトルにも入れてもらいましたが自分たちの勝利は「無欲」の勝利。80人の部員みんなの「ムヨク」のひたむきな頑張りがあったから。それだけです。

※本コラムは不定期更新です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

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