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蹴れるって素晴らしい by DJ KOHNO フロム ケツメイシ

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日本対バーレーン戦
by DJ KOHNO フロム ケツメイシ

 未だ岡田監督解任騒動がくすぶっている中で迎えた、アジア杯最終予選の対バーレーン戦。
本来ならば本大会出場権をすでに獲得しているため、完全な消化試合であったはずです。

 こういう時こそ両センターバックが怪我、もしくは累積などで出場出来ない時の事などをシミュレーション出来る絶好のタイミングだったわけですが、今の岡田ジャパンにそれが許されるはずもなく、海外組を交えた現時点での恐らくベストメンバー(岡田ジャパンにとっての)で臨む事になった。

 試合前、報道でも出ていたテスト内容的なモノはせいぜい、中村俊輔、本田圭佑両選手の共存。それも報道側が無理に話題を作ろうとした感がどうしてもしてしまう。

 オランダ遠征の前はあれだけ本田、HONDA、ホンダと騒いでいたのに、この前チャンピオンズリーグに出場するまではビックリするくらい彼の周辺は静かになってしまっていた。
 本田選手にとっては、チャンスをもらえればいつだって魅してやるといった気持ちは、様々なタイミングのコメントに現れていたが、非常に複雑な状況で巡って来たチャンスだと言えるだろう。

 海外組を呼ぶからには使うと明言していた岡田監督だが、なにも全員スタメンとは早い時期には言ってませんでした。ACLでの中村憲剛選手の怪我や、大久保嘉人選手の怪我等も加わり出した決断だったと思う。事実、森本貴幸選手のみはベンチスタート。このチームにおいての実績や練習を見た上で岡崎慎司選手を選んだんだとは思うが、正直残念なポイントでした。せっかくの欧州5(中村選手はJ復帰しましたが、この時点では欧州組で良いと思います)を全員揃って長い時間出せる時だったと思うんですよね(岡崎選手は本番までにまだ代表戦に出るチャンスがあるので)。

 そのポイントとして世論的なモノもあるんですが、ジーコ時代には海外組を重視するあまり、国内軽視との批判が続出。あの時と比べ、今は明らかにそういった人達(海外組)を見てみたいという意見が巷にあふれている絶好のチャンスだったと思うし、岡田監督の思い切ったところを見てみたかったです。

 そして肝心のゲームの方ですが、バーレーンとは岡田監督になってからの顔合わせは何と6度目。ここまでが3勝2敗と結果だけ見れば決して格下ではないんですよね。今回のW杯にもあと少しというところまで上ってきている。ですが相手の監督のマチャラ監督は毎度のように言っているが、リーグのレベルの違い、選手のスキルなどまだまだ大きな差があると言ってくる。実際見ていてもそう思いますが、なぜかいつも接戦なんですよね。その度に悲しくなるのは僕だけではないはず。

 結果から言えば2-0で勝利。これを完勝と見るかどうかは大きく分かれるところだと思うが、僕は完勝には見えなかったが良い点も沢山あったと思う。海外組も現在の代表が国内でどういう状況か聞かされての帰国だったのが伝わって来た。

 これまで海外組がいても横パス主体の組み立ては同じように批判されていたポイントだった。しかし今までだと出していないと思われるところで縦へボールを運んでいた。トップ下に本田選手が入った事も大きい理由の一つだと思うが、それだけじゃない事を感じさせてもらえた。個々の意識の問題だと思う。

 思わず声が出てケツが浮いてしまったシーンで前半ロスタイム。
 自陣深い位置で中村選手と内田篤人選手で囲み、中村選手がボール奪取。長谷部誠選手に簡単に預け、次の瞬間、内田選手は開いたポジションで長谷部選手からのパスを受けくさびに入って来た本田選手に預ける。受けた本田選手はややセンターよりにポジションを取った長谷部選手に落とす。

 時間帯考えたらクリアすると思ったんですが、キックフェイントを入れ次のポジションに怒濤の勢いで走り込む本田選手に長谷部選手からスルーパス。この時点でハーフライン超えた位なんですけど、すでに岡崎選手も走り出していて本田選手から岡崎選手へ。そして岡崎選手から本田選手へボールが帰って来た所で左サイドから猛スピードで松井大輔選手が入ってくる。そこにどんぴしゃりのスルーパスが通り松井選手のスーパードフリー。フリー過ぎて迷ってしまったんでしょう、ゴールはならずでしたが、一連のボール回しには関与していなかった遠藤保仁選手がきちんとファーサイドに詰めてたんですよね。

 この攻撃には本当に迫力あったし、タッチ数はあるけどみんな2タッチ以内で最低限で本当に素晴らしい日本式のカウンターだったと思う。一試合の中でこういうのが出せる回数が増えると、より日本のボール回しが効くだろうなと思ったシーンでした(だからこそ決めないとね)。日本でも何度か流れてる(過去試合映像での)カメルーンの失点シーン。結構ぼんやりしてるところをやられてると思うので、カウンターは効果的だと考えられます。

 逆に日本も攻めの時は人数かけてる分、カウンターからはピンチになりやすいので、そこは根強い課題になるでしょう。それとポジションチェンジした時に出来るスペースのケアですよね。バーレーンはミスで自爆してくれたけど、本当に危ないシーンにつながってしまうと思います。

 そして前回のコラムでも触れましたが、選手選考にはもう一考工夫があってもよいと思います。この日のベンチに入っていたメンバーはキーパーを除くと六人中三人が守備的、そして半数を攻撃的な選手を入れていてもスペシャリストというよりユーティリティ性が持ち味の選手達だったと思われます。それが本当にベンチも含めて戦って行くのにベストの選択なのかどうしても疑問です。

 今週末から始まるJリーグを見て今一度考えてみる余地を持っておいて欲しいと僕は思いました。
 この時期はチームを固める時期であり、今更テストしている場合ではないという意見も目にしますが、今よりも良くなる可能性を探るのは決して無益ではないと僕は思いますし、今回の勝利で解任論が完全に消えた訳でも去っていったサポーターが帰ってきたわけでもない。少しでも上を目指す努力をサポーターに見せ続ける事は責任ある代表の宿命だと思いますよ。

※本コラムは隔週金曜更新予定です。感想はこちらまでお寄せください。

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