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南アフリカW杯便り

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ブブゼラとクラクションに包まれて…

[6月9日午後8時@ヨハネスブルク]

 1ヵ月余りに及ぶ南アフリカでの取材が始まった。日本時間8日午後4時55分発のタイ国際航空で成田空港を出発。約6時間半かけてタイ・バンコクに到着し、バンコクの空港で3時間ほど時間をつぶし、いよいよ南アフリカへ。ヨハネスブルクの空港に着いたのは現地時間9日午前7時半(日本時間9日午後2時半)。約21時間半の長旅だった。

 本来はそのまま国内線に乗り換えて、日本代表がキャンプを行っているジョージへ向かう予定だったが、ゲキサカで原稿及びコラム「SAMURAI密着日記」も書いていただいている矢内さんに電話したところ、この日の代表はあいにく午前練習1本のみとのこと。このままジョージに移動しても、着くのは昼過ぎで、取材には間に合わない。もともとジョージでの取材は9日だけで、10日朝にはW杯開幕に備えてヨハネスブルクにとんぼ返りする予定だったので、「練習が1回も見れないなら行っても仕方ない…」ということで、そのままヨハネスブルクに滞在することに。

 とはいうものの、ヨハネスブルクのホテルは10日からしか予約してない。とりあえずホテルに行って、1日早くチェックインさせてもらえないかお願いしたんですが、「部屋がいっぱい」とのことで、あえなく断念。お世話になっているフリーカメラマンが6日から近くのホテルに宿泊していたので、1泊だけお邪魔することにしました。

 僕らが泊まっているのはヨハネスブルクの郊外にある「サントン地区」というところで、「世界で一番危ない都市」と言われるヨハネスブルクの中では比較的、治安も良いとされる場所。昼前にサントンに着くと、すでに街はにぎやかな雰囲気で、サントンの中心部に位置する高級ホテルや大型ショッピングセンターが立ち並ぶ一角は、南アフリカ代表のユニフォームやTシャツを着た人たちでお祭り騒ぎになっていました。

 ちょうどこの日は「バファナ・バファナ」(南アフリカ代表チームの愛称、ズールー語で「少年たち」の意味)が2日後に迫った開幕戦に向け、パレードをする日だったのです。南アフリカのサポーターにイングランドやアルゼンチン、メキシコ、オーストラリアなど世界中から集まったサポーターも加わり、まさに“W杯前々夜祭”(まだお昼でしたが…)。

 南アフリカの人たちだけでなく、いろんな国の人が「ブブゼラ」(細長いラッパ型のチアホーン)を吹き、車はクラクションを鳴らし、隣の人と話すにも大声を張り上げなければならない状態。自分の真後ろでブブゼラを吹かれたときは、耳が「キーン」となって一瞬、何も聞こえなくなるほどでした。

 その後、ADカード(大会を取材するために必要な資格認定証)を受け取るために、開幕戦や決勝の舞台で、今大会のメイン会場となる「サッカーシティ」に移動したんですが、ここでまたもトラブル…。ホテルからメディアバスに乗ったんですが、バファナ・バファナのパレードで道路が一時封鎖された影響でサントン周辺は大渋滞。サントン地区などで働く人たちが郊外へ帰宅する道と、サッカーシティに向かう道が一緒だったこともあり、午後2時半にホテルを出発したにもかかわらず、サッカーシティに到着したのは午後5時前。本来なら1時間で着くと言われている距離で、2時間以上もかかってしまった。

 南アフリカは車社会で、多くの人がマイカーを使っている。ただでさえ、混むことの多い道路事情にバファナ・バファナのパレードなどが重なり、とんでもない大渋滞に巻き込まれてしまったわけです。大会が開幕してからもヨハネスブルクは渋滞が付き物になりそうな予感。試合に行くときは、早すぎるぐらいに出発しないと、大変なことになりそうです。

 そして今、無事にADカードを受け取り、サッカーシティのメディアセンターで、このコラムを書いています。時刻は午後8時。ホテルに帰り着くのは何時になるのか…。

(文 西山紘平)

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