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南アフリカW杯便り

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白旗を上げるのはまだ早い

[6月14日午前1時@ブルームフォンテーン]

 13日朝、ヨハネスブルクの空港から国内線に乗り、日本対カメルーン戦の舞台となるブルームフォンテーンに移動してきました。

 スイス・シオンで行われた4日のコートジボワール戦後、いったん帰国し、南アフリカに入ってからもヨハネスブルクを拠点に開幕戦などを取材してきたため、日本代表を取材するのは実に9日ぶりでした。

 初戦を目前に控えた岡田ジャパンの状態はどうなのか。試合会場となるフリー・ステイトでの公式練習前、プレスセンターにいる顔馴染みの記者に聞いて回ったのですが、彼らの口から出るのはこちらが滅入るほどネガティブな言葉ばかり…。あらためて日本代表の厳しい現状を痛感しました。

 「ポジティブになれる要素がひとつもない」「先制されたら終わり」「運良くセットプレーで1点取るしかない」「今までの2年半の積み重ねがこの3週間で全部無駄になった」などなど…。悲観的どころか、絶望感すら今の報道陣を包んでいるのは否定できません。

 久しぶりに取材する選手の表情はどうか。練習後、不安な思いでミックスゾーンに行きました。ただ、選手はここまで来たら開き直っているというか、あとはもうやるしかないという強い決意が伝わってきました。

 今さら「あれをこうしておけばよかった」などと言っても、時計の針は戻りません。これほど期待感のないままW杯を迎えたことは過去にないかもしれません。しかし、だからこそ、選手の意地や誇りが、そんな周囲の予測をいい意味で裏切る結果につながることを願っています。

(文 西山紘平)

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