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南アフリカW杯便り

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勝ったからこそ大事なこと

[6月15日午前2時@ブルームフォンテーン]

 やってくれました、日本代表! 8年ぶりのW杯勝利、自国開催以外では初勝利。大事な大事な初戦で勝ち点3。もちろん、このあと対戦するオランダ、デンマークは間違いなくカメルーンよりも強いでしょう。それでも、どん底の状態だったチームが初戦で勝利を飾った意味はとてつもなく大きいと思います。

 試合前は岡田ジャパンに対する批判的な報道も多かったですが(ゲキサカもそうですね…)、それが選手の反骨心につながったのであれば、厳しい意見を言ってきたメディアやサポーターの声にも意味はあったのかもしれません。

 とはいうものの、「手のひら返し」もうまいのが日本のマスコミ。試合直後、選手がミックスゾーンに来るのを待っていた報道陣は(僕を含めて)「やっぱり岡田監督は名将だった」なんて自虐的な冗談を言い合いながら日本の勝利を喜んでいました。

 確かに岡田監督の狙いはずばり的中しました。引いた位置からプレッシャーをかけ、中盤のゾーンできっちり抑える。決定力のある本田圭佑を1トップに置き、数少ないチャンスにかける。岡崎慎司や矢野貴章という運動量のあるアタッカーを試合終盤に投入し、サイドに“ふた”をする。「これしかない」という手がことごとく当たり、「唯一」と言ってもいい勝ちパターンにはまりました。

 だからこそ、ここで過信したり、油断したりするわけにはいきません。試合後、監督も選手も「勝負はこれから」と口をそろえていました。報道するマスコミも、応援するサポーターも、同じ気持ちでいないといけません。

 周囲の批判の声が逆にチームの力になったというなら、なおのこと、ここで周りが浮かれてしまっては、それがチームに影響する可能性だってあるのです。

(文 西山紘平)

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