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Jを目指せ! by 木次成夫

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第203回「JFL後期1節 栃木ウーヴァ対流通経済大学FC」
by 木次成夫

ワールドカップが外国に興味を持つ“きっかけ”になりえるように、国内サッカーは日本の様々な地域を知る“きっかけ”になりえます。先週末、栃木ウーヴァのホームである栃木県栃木市を訪れました。試合会場の栃木市総合運動公園陸上競技場は栃木駅(JR、東武)から約4kmで、新栃木駅(東武)から2,5km。江戸時代の情緒を残す「蔵の街」も見てみようと思い、栃木駅から歩きました。

途中で観光客のグループは見かけましたが、『ウーヴァ・ホーム』を感じさせるものは発見できず。ただ、「昔の人は、ここを通って日光東照宮に行ったのか」など、想像しながら歩くのは楽しかったです。

●7月4日 JFL後期1節
栃木ウーヴァ 2-2 流通経済大学FC

前期終了時点でウーヴァは13位(勝ち点20)。開幕前「残留が目標」(横浜誠監督)と言っていたチームとしては上々ですが、16節はホンダに0-4、17節はガイナーレ鳥取に0-6の大敗を喫しています。

流経戦は2点先取したにもかかわらず、後半に追いつかれる展開でした。前半は完勝ペースだったものの、後半は、若き学生相手にスタミナ切れ。仕事とサッカーを両立させ、平日夜間練習をしているチームゆえ、蓄積疲労が影響しても不思議ではない時期です。ただ、だとしたら、守備重視の“省エネ”サッカーで逃げ切る策もあると思うのですが、その気配はナシ。2失点とも、相手FW(グレイブズ・ジョシュア、18歳、前・流通経済大学柏高校)に1対1で、かわされた末のシュートでした。

「守備陣に難がある」というよりは、「チーム全体として、守備意識も足りない」という印象でした。本来はCBの中川勇人(26歳=今季加入、前・町田ゼルビア)を左SBで起用するなど、一見して試行錯誤しているのは明らかですが……。

[個性溢れる魅惑的な攻撃陣]
勝負弱い一方で、MFとFWに攻撃センスがある選手を置いた布陣は魅力的です。

ボランチ:前田和也(26歳、前・山形、栃木県出身、佐野日大高校卒)
*高さ(183㎝)と突破力、巧さを兼ね備えた「攻守の要」

ボランチ:岸田茂樹(31歳=今季加入、前ヴォラドール松江、元バンディオンセ加古川など)
*的確なボールさばきが魅力の職人肌

右MF:石舘泰樹(25歳=今季加入、前・栃木SC、元・柏)
*キレ味鋭いプレーが持ち味のレフティ。本来はFW

左MF:濱岡和久(29歳=今季加入、前・バンディオンセ加古川、元・愛媛など。05年JFL最優優選手&ベストイレブン)
※的確なボールコントロールと際立ったセンスで決定的シーンを演出するファンタジスタ。08年の地域決勝にバンディの主軸として出場したが、昨季は登録チームなし。

FW:若林学(31歳=今季加入、前・栃木SC)
*高さ(188㎝)とリーチの長さを活かしたプレーが光るベテラン

FW:高橋駿太(21歳、前・山形)
*元U-18日本代表のスピードスター

[前Jリーガー、高安亮介の今]
ウーヴァは全員が「プレー報酬0円」のアマチュア・チームです。経費削減のため、関東地方のアウェーは「試合当日に栃木から移動しています」(クラブ関係者)。つまり、今季のJFL所属チームの中では、もっとも厳しい環境でプレーしているわけです。

そんな中、気になっていた1人がMF高安亮介(26歳=今季加入、前・栃木SC)でした。
市立船橋高校3年時は全国選手権優勝。大久保裕樹(栃木)、小川佳純(名古屋)、原一樹(清水)、石川航平(昨季まで松本山雅)らと同学年です。国際武道大学卒業後の07年に栃木SCにアマチュアとして加入。翌08年にはプロ契約し、JFL2位→Jリーグ参入に貢献したものの、昨季末に戦力外通告。つまり、「夢のJリーガー」は1シーズンだけに終わりました。

ウーヴァに移籍した今季は開幕スタメン→やがてサブ→ここ数戦はベンチ外。怪我かと思いきや、「コンディションの問題です。仕事が忙しいようです」(横浜誠監督)。

流経戦では久々にベンチ入りし、後半出場。持ち味のサイドアタックで何度かチャンスを演出しました。

「現在は養護学校に勤務しています。仕事が忙しくて、練習に参加できない日も多いんですよ」(本人)。

大卒4年目。この不況下、就職難の時代、“忙しい”くらいの仕事に就けたのは幸いというべきかもしれません。また、今後、地域密着型クラブを目指すウーヴァとしても、高安“先生”の存在は大きいと思います。

[栃木県のセカンドチームとして]
栃木県の人口は約200万人。県南部に位置する栃木市は約14万人。ウーヴァはもともと、去る3月に同市へ吸収合併された大平町をホームにしていました。今後は小山市(約16万人)やラーメンで有名な佐野市(約12万人)など近隣都市を含め、いかに「県南」のクラブとして知名度を高めていくかが発展のカギになるでしょう。

流経戦の観客数は、わずか585人。しかし、3試合で1000人以上を記録するなど、昇格1年目のクラブとしては健闘しているとも言えます。スタジアムグルメも、あります。この日は3店舗。トルコ風ケバブなどを販売していた店員いわく「先週(17節)に続いて、今日が2回目の出店です」とか。

ちなみに、栃木SCは最近3試合の観客数は4000人以下。つまり、レベルは低くても相対的に近場のウーヴァを見ようというファンがいるということ。

やがて、名産のブドウ(ウーヴァ=ポルトガル語)を販売すれば、アウェーのファンも観戦モチベーションが高まると思うのですが……。

次節はアウェーでアルテ高崎(群馬県高崎市)戦。栃木市と高崎市はJR両毛線“つながり”。いわば「両毛ダービー」です。

[国民体育大会展望]
昨年、栃木県はウーヴァとヴェルフェたかはら那須(関東1部)の選手をメインにチームを構成して、国体に参加しました。今年の国体サッカー競技は9月26日から30日まで。JFL日程を見ると、ウーヴァは26日にゼルビア戦予定。「まだ、具体的なことは(栃木県サッカー協会から)言われていません」(ウーヴァの横浜監督)とか。

ただ、ウーヴァ選手が国体に参加するためには、日程を変更せざるをえません。あるいは、主力以外を派遣するか――。ちなみに、国体を考慮したと思われる日程を組んでいるのは、ジェフリザーブズ対Honda、MIO対佐川印刷(共に23日)の2試合。

少なくとも昨年準優勝の京都(佐川印刷メンバーで構成)と、今大会開催の千葉(昨季はジェフリザ・メイン)は、やる気があるということでしょう。

<写真>競技場に掲げられた”のぼり”
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