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ピッチに恋して by 松原渓

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J1第29節・F東京対G大阪
by 松原渓

J1第29節
FC東京×ガンバ大阪@味の素スタジアム・・・27816人

負ければ再び降格圏のFC東京と、負ければ優勝争いから一歩後退してしまうガンバ。3位と15位の両チームの順位には大きな開きがありますが、終盤戦の楽しみはここから。
毎週1試合はロスタイムの逆転劇や、カテゴリこそ同じですが下位チームが上位チームを倒すジャイアントキリングが起こります。

しかも、1シーズンを通したチーム戦術の成熟、涼しくプレーしやすいピッチコンディシ、タイトルがかかったモチベーション。そこには単なる勝ち点3以上の重みがあり、スリリングで質の高い試合が楽しめます。

先週末は11月にしては温かい小春日和でしたが、日陰はぐっと温度が下がり、スタンドにはユニフォームにダウンジャケットを羽織った人もちらほら。私は冬のスタジアムにはベンチに敷く携帯座布団と、ブランケットとホッカイロの3点セットが必携です☆

試合はFC東京ペースでスタート。FC東京は、米本拓司選手の復帰で中盤のボール支配率が上がり、安定感がぐっと増しました。その米本選手とキャプテンマークをつけた徳永選手がガンバの心臓であるボランチの遠藤選手と明神選手を徹底マーク。
そのマークを嫌がってか、ガンバは攻撃が横へ横へと消極的になりがちで、前節神戸に2-4と逆転負けした精神的ショックの影響?も。

前半19分、FC東京は左の羽生選手が中に切れ込んで入れたボールを大黒将志選手が体を投げ出してバックヘッド! GKの手を掠めてゴール左隅に決まり、FC東京が先制。
最近の大黒選手のプレーからは持ち味である裏への鋭い飛び出しが陰を潜めてしまったような印象を受けていましたが、ゴール不足に陥った期間がチームの不調と重なったストライカーは、違う形でゴールへの近道を模索し続けていたのでしょう。どんな形でもゴールに捻じ込もうとする気迫が表れた美しいバックヘッドでした。
その後も2回ほど決定的なチャンスを迎えながらも、2点目を決められなかったのが悔やまれるところですが…。

一方、後半は見違えるように生き生きとした攻撃を仕掛け始めたガンバ。チームを変えたのは、ハーフタイムの西野監督の的確な指示でした。
「厳しいところにボールが入っていない。どっかで入れていかなきゃテンポが上がらない!」遠藤選手、二川選手、明神選手、橋本選手ら、チームの屋台骨とも言える中盤のベテランに向けた言葉。
確かに、前半戦のガンバは攻撃で横パスばかりが目立ち、一向にゴールに近づかないもどかしさはありました。たった一言でチームを劇的に変えることができる指示、また、その意図をすぐにピッチで表現できる選手の多さもガンバの強さの秘訣。両監督のハーフタイムコメント(選手への指示)には監督の色、力量、選手との信頼関係なども見えるので興味深いです。
ハーフタイムで流れを変えたガンバは82分、中澤聡太選手のゴールで追いつき、1-1。勝ち点1を分け合う結果になりました。

「内容を見れば妥当な結果」と、西野監督は勝ち点1を評価しましたが、勝ち点2を失ったのは致命的。
優勝争いの行方は、鹿島に敗れたとはいえ首位の名古屋が依然圧倒的に有利です。

そして残留争いは、大宮、神戸、FC東京がほぼ横並びで最終コーナーに突入。

残り6試合、スタンドの悲喜こもごもをぜひスタジアムで体感しましょう♪

※本コラムは毎週月曜+αの更新予定です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

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