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ピッチに恋して by 松原渓

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J1第33節・川崎F対浦和
by 松原渓

川崎Fvs浦和
@等々力陸上競技場…19411人

 優勝チームが決まり、3位以内(ACL出場権)を目指すチーム、残留を争うチームも絞られました。
 これらのクラブにとって、残りの試合でいかに勝ち点を積み上げるか。勝ち点「1」差を競う紙一重のドラマもいよいよクライマックス!
 ただ、それ以外の、明確な目標を失ったチームにとって、残り2試合は「勝利へのモチベーション」をいかに絞り出すか、まさに「自らとの戦い」と言えそうです。

 そんななか、先週末はフロンターレ×レッズ戦に行ってきました。
 タイトルとACLの可能性がほぼなくなった両チームの勝利へのモチベーションは、それぞれのサポーターへの「感謝」という点で共通していたと思います。

 前節セレッソに敗れてACL出場権を得る3位以内の可能性もほぼ絶たれてしまったフロンターレは、ホーム最終戦で、来シーズンに希望の持てる勝利をサポーターにプレゼントしたいところ。ただし、今シーズンフロンターレがホームで勝てていないことと、中でもレッズは相性が良くないのは気になるデータでした。

 一方、タイトルの可能性はなくなったものの残留争いとも無縁の11位~8位の中位にいるレッズは、今季限りでの退団が発表されたポンテ選手と、同じく契約更新がなされず今季いっぱいでの退任が報じられているフィンケ監督の花道を飾りたいところ。

 会場にはアジア競技大会でU-21日本代表チームを率い初の金メダルの快挙を成し遂げた関塚監督の姿もありました。

 3トップの攻撃的な布陣で積極的に攻めに出たフロンターレは、開始37秒、右サイドの伊藤宏樹選手のクロスに矢島卓郎選手が飛び込んで先制!

 一瞬のすきを突かれ出鼻をくじかれたレッズでしたが、切り替えて攻めに転じ、ボールを支配する時間が増えます。
 レッズのボールはいかなる状況でも徹底してポンテ選手に集められ、長短自在の魔法のような柔らかいパスは健在でしたが、悪く言えばポンテ選手に頼りきりで受け手の積極性がなく、サイドからのクロスの質が低いため攻撃が細切れになっていました。

 幸先のいい先制点を奪ったフロンターレは、矢島選手のポストプレーを生かしたカウンターで応戦。遅攻ではボールを中村憲剛選手に集めますが、こちらは周りが良く連動できていました。
 しかし、「前半は中村憲剛に自由を与えすぎた」(フィンケ監督)という中盤をケアした後半、レッズは全体に落ち着きを取り戻し、後半から出場したエスクデロ選手のゴールで降り出しに。

 しかし、その後はどちらも決定機を決められずドロー。

 ホーム最終戦を白星で飾れなかったフロンターレですが、この試合で印象的だったのがFW矢島選手とGK相澤選手の活躍。矢島選手は黒津選手とのスタメン争いを経て一回り強くなった気がしました。今シーズン先発の座を勝ち取った相澤選手には守護神としての安定感と貫禄がありました。共に、鄭大世選手と、川島選手が海外移籍で空いたポジションで存在感を発揮し、2人が抜けた大きな穴を埋める、とまでは行きませんでしたが、来シーズンさらにブレイクする可能性を見せてくれたと思います☆

 一方のレッズは、やはりポンテ選手の存在感、これに尽きました。
 レッズの中盤で絶対的な存在感を放ってきた背番号「10」。ACLや、初のリーグ優勝を牽引したそのプレーが見られるのもあと1試合だと思うと寂しさがつのります……。
 Jリーグの成長にも多くの貢献を見せてくれたポンテ選手のホームでのラストマッチ、しっかりと目に焼き付けておきたいと思います!

※本コラムは毎週月曜+αの更新予定です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

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