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直伝 澤穂希 in USA

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アジア大会金メダル!!

みなさんこんにちは!アジア大会帰りの澤穂希です。
アメリカから帰国して、ベレーザに戻って、日本代表の合宿にいって中国でのアジア大会……。

帰ってきてからは毎日練習があって、プラス、たくさんの取材を受けています。プライベートでもたくさんの友だちに会って。忙しいのですが毎日充実感があって、全ての人に感謝しております!

更新が遅くなってしまいましたが、アジア大会で感じたことをお話したいと思います。
前回のアジア大会は北朝鮮との決勝戦で自分がPKを外して負けてしまいました。
だから絶対リベンジしたい!って思って臨んだ大会なのですが、同じ北朝鮮とまた決勝で対戦できて本当に嬉しかったです。
正直、決勝戦の私は足が本調子ではなかったのですが、若手のみんなやGKの山郷さんの大活躍で見事優勝に導いてくれました。
東アジア選手権では優勝しましたが、アジアチャンピオンになるのは初めてで……、代表に入ってから17年でやっと夢がかないました!

もちろんアジアの頂点を目指していましたし、「絶対優勝する!」という意気込みでした。
ただ、来年のワールドカップで結果を残したいという思いもあって、今大会はワールドカップへの通過点という位置づけでもあったんです。
記録だけを見れば強さを見せつけての優勝、となるかもしれませんが、5日間で3試合を戦うという日程は正直しんどかったですし、他にも苦しさは多々ありました。

ただ、ひとついえるのは「今回は優勝できる!」っていう手ごたえがあったことです。
チームもまとまっていましたし。
やっぱり私はなでしこが好きだな、と実感しました。
ベレーザでプレーするのももちろん楽しいのですが、なでしこ=代表は特別な場所ですし、誰でも簡単に入れる場所ではないので自分の中では凄くこだわりがあります。
目標を高く持っている選手が集まって、世界の舞台で頂点を目指して戦えるという楽しさはなでしこでしか味わえません。
一人ひとりの技術も高いし、いっしょにプレーして自分のいいところも引き出してくれる選手がいっぱいいます。そこになでしこ独特のサッカーの楽しさ(強さと言ってもいいのかも?)があるんですね。

楽しかったといえば、今大会は宿泊している部屋が3人部屋で私は山郷さんと大野選手といっしょだったのですが、それが本当に楽しかった!
山郷さんの天然ぶりに、大野選手と大笑いの毎日でした。この楽しみを伝えたいのですが……ここで書き表すのが難しいです。この2人と同部屋だったからさらに大会を楽しめたというのは確かなんですけどね。
また、アジア大会だったので選手村でいろんな競技の友人と会って話したことも楽しかったです。友人の結果が気になって応援したり、といった機会も普段はないことなので。

さて、なでしこがアジアで優勝できる手ごたえを感じるようになってきた理由には、チームのまとまりもあるんですが、アジア各国の印象が以前と変わってきた、というのもあります。

中国は5月のアジアカップ時よりはレベルが上がっていた気がします。
若い選手も伸びてきています。特に中盤で対戦した選手は、これまでベンチにいましたが、今や中国の中心選手になっていました。対戦していてやっかいでしたね。これから要注意です。

北朝鮮は相変わらず簡単には勝てない相手です。今大会2度対戦して、ピンチも多々ありましたし……。
でも、正直言うと全盛期の北朝鮮と比べるとそこまで「怖い!」っていう印象はありませんでした。もちろん今は若手とベテランを融合させて世代交代をはかっていたりする段階かもしれませんが。

一方で今、アジアでもっとも警戒すべきは韓国かもしれません。
今回もアジアカップでも対戦はしていないので細かなことは言えませんが、9月のU-17女子ワールドカップで優勝したりと若い世代が結果を残しています。
今後はもっと女子サッカーの底辺がしっかりしてきて、アジアから世界へ簡単には行けなくなってくるかもしれません。1年あれば、チームはかなり成長できますから。

当然かもしれませんが、なでしこも変われば各国も変わっていくんですね。
ただひとつ言えるのは、私にとってなでしこは今最も好きなチームであり、いつもサッカーの楽しさに気づかせてくれる場所であるということ。
来年もその先も、なでしこにはこだわっていきたいです!

▼関連リンク
澤選手自身が女子サッカーのすべてを説き明かした自著『直伝 澤穂希』

※本コラムは隔週更新予定です。サッカーをしている女性で澤選手への特に技術的な質問を大募集中。こちらまでお寄せください。

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