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ピッチに恋して by 松原渓

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Fリーグ第22節・府中対大阪
by 松原渓

今週はFリーグ第22節府中アスレティックFC×シュライカー大阪戦に行ってきました。

会場は広大な敷地を持つ駒沢公園の中にある、駒澤体育館。休日を健康的に過ごすのにうってつけ。ランナーの「聖地」には、老若男女問わずカラフルなトレーニングウェアのランナーが目立ち、他にもストリートバスケットや子供達のサッカー、フリースタイル、自転車から犬の散歩まで、休日とあってスポーツを楽しむ人で溢れていました。

Fリーグは21試合が終わり、残すところ6試合。
Fリーグ4連覇という前人未踏の記録に向かって突き進む名古屋オーシャンズを追う2位につけているのが、昨年参入1年目で最下位に沈んだ府中アスレティックFC。チームの柱でもある上澤貴憲選手を中心に、2年目で一気に上位に躍り出ました。
対するは、開幕初年度から安定した力を発揮して中位以上を守り、特にカップ戦では王者オーシャンズを破る波乱も何度か起こしてきたシュライカー大阪。

見どころは何と言っても、逆転優勝に望みをかける2位の府中が食い下がるのか、それとも大阪が勝って上位との差を詰めるのかというところでしたが…試合は2-0でシュライカーが完封勝利!
昨年MVPに輝いたシュライカー大阪のGKイゴール選手の本領を引き出せないまま、スコア以上の差を感じた80分。
Fリーグ取材は久しぶりでしたが、ずっと気になっていた府中の今季の快進撃の「理由」を自分の目で確かめたいと思ったのですが…今季初の3連敗となったこの日の府中には、残念ながらその「理由」は見つけられませんでした。

両チームの勝敗を分けた「差」にはいくつかの要因が挙げられますが、中でもはっきりしていたのが「連動性」。狭いコートで行われるフットサルは、一瞬のタイミングの中で、いかにフィールドプレイヤーの意思が合った攻撃ができるかがポイント。1、2本のダイレクトパスを交えたぐらいではなかなかゴールに迫れません。
両チームのキープレイヤーの出来も明暗が分かれました。私が注目していたのは、府中の上澤選手と大阪のエビーニョ選手でした。両チームにとって、この選手が点を取ったらチームが波に乗る、と考える両キープレイヤーですが、こちらも対照的な結果に。
点が欲しい府中は上澤選手にボールを集めますが、シュートはいずれも枠の外へ…一方、常に前がかり気味だった府中のサイドのスペースを効果的についたシュライカーは後半、エビーニョ選手の冷静な股抜きゴールで試合を決定づけました。やはり決める人が決めれば、チームは自然と波に乗るものですよね。

この結果、府中は首位のオーシャンズとの差が広がり、翌日の試合で名古屋が北海道に勝利したため、5試合を残して、早くも名古屋オーシャンズの4連覇が決まりました!
しかも、名古屋は過去4回の優勝のうち、今回の優勝が史上最速。うーん…強すぎます!!

しかし、その強さには確かな理由があります。
まず、安定したスポンサーの支えをバックに、選手全員がプロ契約を結ぶ唯一のクラブであること。圧倒的な設備を誇るホーム・オーシャンアリーナで練習できるという、恵まれた環境。それらによって、選手のプロ意識が、プレー面にいい影響を与えているのは確かでしょう。
また、「欧州一プレイヤー」の肩書を持つリカルジーニョ選手を始め、世界レベルの選手達の存在が、各々に刺激を与え、選手個々のポテンシャルがさらに引き出されていることも考えられます。

とはいえ、リーグ全体の盛り上がり、ひいては日本でフットサルの知名度を上げていくためにも、一強時代が続くことのリスクをそろそろ考えなければいけません。

オーシャンズがリカルジーニョ選手の獲得によってフットサルをエンターテインメントとしても魅せるなど、あらゆる面でリーグを引っ張ってくれているのは正しい方向性だと思いますが、同時に各チームがさらなるレベルアップを目指し、何と言っても圧倒的王者の連覇に「待った」をかけるダークホース的存在の登場が待たれます。
全く隙がないようにも思える名古屋オーシャンズに勝つためには、どうすればいいのか。
まさに、漫画『GIANT KILLING』の世界ではないですか☆

一昨年は浦安、昨年は町田が首位・名古屋を追い、今年は府中。いずれも2位でシーズンを終えましたが、最終戦までタイトル争いを繰り広げることはできず、独走優勝に待ったをかけるには至りませんでした。
今シーズン、オーシャンズが喫した2敗は、偶然にも今回の対戦となった府中と大阪。しかも、大阪は名古屋のホームで5-1と圧勝したにもかかわらず、その後4連敗。
昨年2位だった町田が今シーズン最下位に沈んでしまったことも、大阪の4連敗と似ており、安定した強さを発揮してオーシャンズを脅かすことはできていないのが事実。

来シーズンは、そういった課題も含め、シーズンを通したスタミナ勝負でも名古屋と張り合えるライバルの登場に期待したいと思います☆

※本コラムは毎週月曜+αの更新予定です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

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