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ピッチに恋して by 松原渓

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ジャンルカ・トト・富樫さんを偲んで
by 松原渓

2006年2月にエジプトの地で急逝したサッカージャーナリストの富樫洋一さんを偲んで行われる「ジャンルカ・カップ」も今年で5回目を迎えることとなりました。

富樫洋一さんと言えば、セリエAやアフリカサッカーの魅力を日本に積極的に伝え、サッカーライターとして執筆業の傍らサッカー番組で解説者、コメンテーターとしても活躍されていたサッカー・ジャーナリスト。

ジャンルカ・トト・富樫という愛称は、ジャンルカ=ヴィアリ、サルヴァトーレ(トト)=スキラッチという、90年代のセリエAを代表するゴールゲッターとして名を馳せた往年の名選手2人にちなんだもの。アロハシャツ、金髪といった個性的なファッションや、常にダジャレを交えたユーモラスな語り口は、サッカーファンにはお馴染みだったのではないでしょうか。

すっきりと晴れた快晴の下、横浜・みなとみらいの「キャプテン翼スタジアム」で行われた大会は、雑誌・マスコミ関係からプロカメラマンばかりが集まったチーム、大手企業チームなど、総勢150人が参加する賑やかな大会になりました。

富樫さんとはスカパーのサッカー番組でアシスタントをさせていただいていた頃にご一緒させていただいたご縁がありますが、生放送中、ふとした時に見せた「サッカーについて話せることが楽しくてたまらない」という、富樫さんの少年のような無垢で優しい笑顔が今でも鮮明に、まぶたの裏に蘇ります。

イタリアと同じぐらい、アフリカサッカーにも精通していらっしゃった富樫さんが最後に訪れた地は、2006年にエジプト・カイロで行われたアフリカ・ネイションズカップ。現地観戦にこだわり、海外にのスタジアムにも積極的に足を運び続けた富樫さんはアフリカサッカー協会にも知人が多く、富樫さんのアフリカサッカーへの貢献に感謝し、同大会決勝のエジプト×コートジボワール戦ではキックオフ前にスタジアムで黙とうが捧げられたというエピソードも。

あれから5年。あっという間にも思えますが、365日眠らないサッカー界には様々な動きがあり、日本にも様々な変化がありました。

中でも、インテリスタだった富樫さんにとって、今年ついにインテルに初の日本人プレイヤーが名を刻む日がきたことは、特別な感慨があるのではないでしょうか。

海外組が増えたことで世界への道もかなり拓けてきて1部リーグの強豪クラブに移籍する例も増えましたが、中でも長友佑都選手は希望の星ですね。クラブの規模では中田英寿選手のローマ以来、アジアではマンUでプレーするパク・チソン選手以来のビッグクラブ。人懐っこいキャラクターでチームにあっという間に溶け込み、サネッティ選手やカンビアッソ選手といった偉大なプレイヤー達と並んで取り組む練習風景の映像を見る度に新鮮な感動を覚えます。
モウリーニョ監督も褒めたというその可能性を、持ち前の前向きさと向上心でさらに広げていってほしいですね☆
再び5年後、5回目のワールドカップに出場した日本がどれほど成長できているのか、楽しみでなりません。

日本サッカーの発展に足跡を残した偉大なジャーナリスト、富樫洋一さんに、改めて黙祷を捧げます―

※本コラムは毎週月曜+αの更新予定です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

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