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蹴れるって素晴らしい by DJ KOHNO フロム ケツメイシ

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ロナウド引退
by DJ KOHNO フロム ケツメイシ

 今の若人たちにとって、現在“ロナウド”といえばご存知レアル・マドリー所属のクリスティアーノ・ロナウドですが、僕と同年代から上の年代の人にとってロナウドといえば当然ブラジルのロナウドだ。

 W杯歴代得点王であり、日韓大会では大五郎ヘアースタイル。そしてすきっ歯で見せる屈託のない笑顔などサッカー以外でも多くの人を魅了してくれたあのロナウドが遂に引退を発表しました。
 年齢は34歳。まだまだ出来ると見るか、適齢なのかは分からないですが、残念と思うより、素直にお疲れ様でしたと言いたい。
 やりたい気持ちがあっても、現実的に続けられない事が突きつけられるのが全てのプロの世界だと思う。そんな中、自分の意思で幕を敷けるのは限られた人の特権だろう。

 そんなロナウドですが、バルサ時代に見せていたプレーは本当に凄かった。
 初めて僕が映像で見た時に思ったのが『足が手』、つまりバスケのスーパープレーを見るような感覚だったということ。マラドーナが見せた伝説の5人抜きはスピードとボールタッチの妙技だったが、ロナウドの通常のプレーはもはやサッカーというルールの中で違うスポーツをやっているような感覚に陥らせてくれたものです。

 全てのプロが一般人に与えなければいけないのは、「とてもじゃないが自分には出来ないな』と思わせるスーパーな事を、夢を見せる事だと思う。サーカスやダンス、オペラやその他諸々、マイケル・ジャクソンが絶対的なスーパースターなのはそういう世界に連れて行ってくれたからだ。

 ロナウドの引退を受け、本来純粋に見たいものを思い出させてくれたと思います。
 今のサッカーを見る時に、システムや戦術など複雑な要素を見て行くのも楽しいのですが、もっと素直に『あれスゲー』なんて言えるプレーを楽しむ姿勢を忘れてはいけないなあと思いました。

 そんな事を感じるのも現在僕ら(ケツメイシ)がレコーディングを終えて、3年ぶりのツアーのリハーサルに入っているからなんですが、メンバー間で話す事が、自分達のパフォーマンスでお客さんを“こっち”の世界に引きずり込む事、ヒット曲に頼る事ではない新しい事を提示して行く事です。
 凄く難しい事だし、ステージに立つ事が正直怖く感じるときもあり、若干ナーバスになっていましたが、純粋に自分達がやりたい事を見せる事が一番大事だなと思い出させてくれました。

 良く目にする『サッカーを楽しむ』楽しみ方は人それぞれだけど、今年は減点方ではなく加点方で楽しんで行こうなんて思ってます。

[写真]97年、バルセロナ時代のロナウド

※本コラムは隔週金曜更新予定です。感想はこちらまでお寄せください。

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