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蹴れるって素晴らしい by DJ KOHNO フロム ケツメイシ

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1対1
by DJ KOHNO フロム ケツメイシ

今年の浦和レッズはフィンケ前監督が掲げたコンビネーションサッカーから180度と言ってもいいくらい方向性を変えました。

新監督のペトロヴィッチにより導入されたサッカーは、オランダのアヤックスのように両ウイングがサイドに張り出し、そこでの個の勝負で勝つ事が絶対条件のサッカー。
現在、結果が出ずにサポーターもチームスタッフも皆がフラストレーションを抱えていると思いますが、僕は今やろうとしているサッカーに大きな魅力を感じています。

というのも、日本は随分昔から1対1で勝てない事を想定した戦術を採用してきました。(攻守両面において)今ペトロが指導し、やろうとしている事は真逆の「1対1で勝たなきゃ始まらん」というサッカーだと思うので、1対1の攻防に重要な任務が与えられていると思います。

正直かなりびっくりしました。サイドバックの攻撃参加への制限や、中盤の省略など現在ウイングを務める原口、田中達、エスクデロ、原、マゾーラにかかる比重が非常に大きい戦術だと思います。
それだけに彼らがボールを持った時には自己責任を持ちながらの自由がかなりあるし、彼らのワンプレーが得点に直結する事になる。1対1で負ける事を前提としてきた日本ではかなりの冒険であると思います。
サッカーのシンプルである魅力を追求したものを目指している事が良くわかります。

オランダサッカーにおいて重要なのはバランス取りで、ボランチとサイドバックにはコンパクトかつ安定性が求められるわけですが、ポジションが前に行く程自由度が増す。このようなサッカーは(感じ方は人それぞれとはいえ)やっている選手は楽しくてしようがないと思うんですよね。結果がついてこないのは、まだ選手が与えられている責任と自由を理解しきってないからだと思います。

目指している方向性でいけば、CFには独力突破よりも点であわせられる選手が重要となると考えられるのでエジミウソン、高崎はタイプ的にははまっているはず。「ウイングの出来次第のサッカー」という批判も出そうですが、どんなサッカーもストロングポイントがあるわけで、そこを潰されたらどんなチームも上手くはいかない。
そのストロングポイントを個の力に置く今年のレッズが完成してきたら、とても魅力的なチームになると思うし、それを見て育つ子供達もまずは1対1だと思うようになるだろうと思います。

かつて中田英寿氏が1対1で負けない事を絶対条件としてあげていました。そのようなサッカーがJリーグに入って来た事が本当に楽しみでなりません。昔からレッズの選手の個の力は定評がありましたが、それを思う存分発揮出来る戦術を取る監督と出会えたわけですから、選手はのびのびと良いプレーを見せて勝利に繋がるパフォーマンスを見せて欲しいと思います。

今やろうとしているサッカーが完成されてくれば、自然と生で見たくなる人も増えてくると感じます。バルサのようなパスワークもチャンスになる時はイニエスタらが相手を一人抜いてから生まれている事を考えれば、今やろうとしてる事は至極シンプル。ある意味(選手個々にとっては)見せ場を作ってもらっている戦術だけに、選手達の発奮を期待しております。

※本コラムは隔週金曜更新予定です。感想はこちらまでお寄せください。

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