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ブラジルサッカー通信 by 藤原清美

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94年優勝マジーニョの息子、スペイン代表へ
by 藤原清美

 8月10日の親善試合、スペイン対イタリアに臨むスペイン代表メンバーが発表された。その中でも、ブラジルで注目を集めたのは、94年W杯でブラジル代表として優勝したマジーニョの息子、チアーゴ・アウカンタラ(20)がフル代表に初招集されたことだ。
 チアーゴは、マジーニョがレッチェでプレーしていた1991年に、イタリアで生まれた。その後、3歳のときに、父がバレンシアと契約して以来、スペインとブラジルの両国に在住。2005年からは、バルセロナの下部組織で育ち、2007年にプロに昇格した。

 ブラジルとスペインの2重国籍を持つチアーゴは、昨年はバルセロナBチームをベースに、トップチームでも活躍をし始めるとともに、U-16から招集され始めたスペイン代表でもU-21まで順調に昇格し、攻撃的MFとして顕著な活躍をしていた。まさに伸び盛りの今、フル代表への招集が届いたというわけだ。

 父・マジーニョは、自分自身がブラジル代表として活躍したことから「スペインのフル代表として、ピッチに立つ瞬間までは、まだブラジル代表でもプレーするチャンスはある。気持ちは揺れるが、スペインサッカーで育った息子の夢は、スペイン代表だった。その夢の実現におめでとうを言いたい」と、複雑な心境ながらも、息子の成長を祝った。

 セレソンが昨年9月、バルセロナのトレーニングセンターで合宿を行なった際、マジーニョにじっくり話を聞いたことがある。マジーニョの引退後の人生は、まさにサッカーをしている長男チアーゴと、次男ハファエウ、そして、バスケットボールに夢中の、まだ12歳の娘タイーザ、この3人の子供たちのためにある。子供たちに落ち着いた暮らしと、高いレベルの教育を与えたいと考え、引退後、現役時代に8年間を過ごしたスペインに定住した。息子たちに「マジーニョの息子」というプレッシャーをかけないように、息子たちの選手名にはあえて自分のではなく、奥さんの名字「アウカンタラ」をつけさせた。

 サッカー選手である息子たちをサポートしているが、最大のアドバイスは、いつも「楽しんでプレーしろ。真剣に遊べ」だったと語ってくれた。おかげで、息子たちはのびのびと成長し、こうして夢を叶えつつある。

 マジーニョは「サッカー選手として現役を引退したあとに、サッカーのそばで生きていられるのは、大きな感動だよ。それも、息子がプレーしているのを見守るという違った形でね。それは素晴らしいことだし、何にも代えがたいことだ」と幸せそうだ。ちなみに、次男はまだ、父と同じブラジル代表を目指すか、兄と同じスペイン代表を目指すか、思案中だそうだ。

[写真]マジーニョと息子チアーゴ

※本コラムは不定期更新です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

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