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Jを目指せ! by 木次成夫

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第269回 松本山雅対アルティスタ東御
by 木次成夫

269回 松本山雅対アルティスタ東御 

避暑にも期待して、長野県へ行ってきました。天皇杯長野県予選準決勝、松本山雅対アルティスタ東御。試合会場は伊那市陸上競技場。14時キックオフ、気温30度(公式記録)。地元の人たちは「暑い」と口にしていましたが、猛暑に苦しんでいた身からすると、かなり快適でした。

そして、試合後は松本市に戻り、しばし、駅付近の飲食店へ。夕方以降の気温低下が比較的早い、松本の心地好さを満喫しました。新宿行き『特急あずさ』終電は20時発。もっと遅ければ幸いなのですが……。爽やかなアルプスの風が名残惜しかったです。

●8月14日 天皇杯長野県予選準決勝
松本山雅 3-0 アルティスタ東御

[アルティスタ東御]
本拠は長野県東部の東御(とうみ)市。09年=県リーグ優勝、10年=北信越2部優勝。そして今季は北信越1部2位(優勝はジャパンサッカーカレッジ)。躍進著しいですが、メンバーを見ると、納得できます。山雅戦のスタメンを何人か挙げると――、

GK海野剛(27歳=今季加入、前・長野パルセイロ)
DF 西井光(23歳=今季加入、前ジェフリザーブズ)
DF土屋真(27歳=2年目、前パルセイロ)
MF斎藤智閣(28歳=今季加入、前・山雅)
MF犬丸圭吾(24歳=2年目、前・流通経済大学)
MF佐藤隼平(24歳=2年目、前・流経大)
FW石戸浩士(23歳=2年目、前・流経大)

パルセイロと山雅の戦力外になった選手と、学卒の活きの良い若手。立場は違っても、「上を目指してサッカーを続けたい」という選手の『受け皿』として、チーム強化を進めてきました。

例えば、海野剛は08年にFC岐阜からパルセイロへ移籍。昨季の地域決勝(全国地域リーグ決勝大会)ではPK戦の強さを期待されて試合終盤に起用されるなどJFL昇格に貢献した実績があります。しかし、シーズン終了後に“戦力外”通告。海野いわく「引退するつもりだったんですが、(アルティスタが)熱心に誘ってくれたので、現役を続けることにしました」。

[得点経過]
18分 1-0(得点:FW片山真人、27歳=今季加入、前・水戸)
*FW塩沢勝吾がヘディングで流し→フリ―でシュート

43分 2-0(得点:片山)
*FK(北村隆二)→フリーでシュート

74分 3-0(得点:CB飯田真輝、25歳、前・東京V)
*CK(北村)→ヘディング

[試合総括]
観客数3105人(公式発表)。山雅が「個の能力」を活かして順当勝ちしました。アルティスタは健闘したものの、肝心な場面で“チームの若さ”が露呈。例えば、片山の2得点はマークの甘さが要因です。もちろん、隙をモノにした片山も“さすが”ですが――。

シュート本数:山雅11本(前半5本、後半6本)、アルティスタ2本(前後半各1本)。

アルティスタにとっては、序盤にGK海野が右足を負傷したことも痛恨でした。その後もプレーを続行したものの、1失点を喫し、26分に交代。試合後はチームメイトの介助なしでは歩くのが至難なほど。骨折かどうかは「わかりません。(負傷の直後は)痛みが引くと思っていたんですが……。こんな負傷は初めてです」(海野)。

[長野第3勢力として]
完敗とはいえ、アルティスタには「限界」よりも「可能性」を感じました。今後も『受け皿』として、チーム強化を進めていけば、近い将来のJFL参入は決して夢ではないと思います。例えば、栃木SCのプロ化(Jリーグ参入)とリンクして、栃木ウーヴァの強化が進んだように――。

また、斎藤(前・山雅)が象徴的ですが、『ローカル・スター』の影響力は多大です。主軸として健闘しただけでなく、多くの山雅ファン(サポーター)を惹き付けました。もちろんアルティスタ・ファンが増えることが大事ですが、「2番目に応援する」というファンも多いに越したことはありません。今後は、山雅人気を高めて来た当事者経験を活かして、よりいっそう、地域密着サッカー文化の『伝道師』として頑張ってほしいです。

[今季3度目の信州ダービー]
同じ14日、長野パルセイロが上田ジェンシャン(北信越1部3位)に1-0で勝ったため、28日の天皇杯予選決勝は、山雅対パルセイロの『信州ダービー』になりました。4年連続の決勝対決で、過去3年連続で山雅が勝利。そして、今季のJFL直接対決は山雅の1勝1分け。ただ、JFL順位はパルセイロの方が上です(以下=8月17日時点)。

1位:SAGAWA SHIGA(勝ち点37=18試合消化)
2位:長野パルセイロ(32=17試合)
3位:V・ファーレン長崎(30=18試合)=Jリーグ準加盟
4位:町田ゼルビア(29=18試合)=Jリーグ準加盟
5位:Honda(29=17試合)
6位:ツエーゲン金沢(28=17試合)
7位:琉球(28=17試合)
8位:山雅(27=18試合)=Jリーグ準加盟

山雅はシーズン途中の移籍期間を利用してFW船山貴之(24歳、前・栃木)を期限付き移籍で、DFイ・ジョンミン(24歳、前・福岡)とDF飯尾和也(31歳、前・横浜FC)を完全移籍で獲得しました。現・監督の加藤善之氏がGMに就任した09年以降、シーズン途中の補強は恒例になっています。

この日のアルティスタ戦では後半、飯尾が『山雅デビュー』。シーズン途中の移籍を振り返ると、09年は鐡戸裕史(前・鳥栖)、昨季は弦巻健人(前・東京V、今季完全移籍)と飯田真輝(前・東京V、今季完全移籍)が活躍しました。

人脈を活かした臨機応変な対応とは言えますが、果たして、その成果は? 28日の決勝は『熟成重視』(パルセイロ)対『補強重視』(山雅)という観点でも注目です。ゼルビア、V・ファーレン、カマタマーレ讃岐なども『熟成重視』のサッカーをしている中、山雅の真価が問われると評しても過言ではないでしょう。

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