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「ボールは丸い」~慶大ソッカー部マネージャー戦記 by 呉田幸子

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アスレチック・ビルバオ~バスク人の誇り
by 呉田幸子

 ソッカー部は、開幕3連敗中です。先週、昨季関東リーグ王者の専修大学と対戦しましたが、屈辱の6失点。大変不甲斐ない結果となってしまいました。

 ちょっとそのことは避けて(連敗から抜け出したらきちんと書きます)、今日は違う話題を書きたいと思います。

 6/29の早慶定期戦の準備をしているんですが、目標の2万人を動員するためにどうすればいいかと悩みに悩む日が続いています。スタジアムに足を運ぶ動機を作るのはとても難しいです。

 スペインのようにサッカー文化が根付いていればな~とふと思ったので、ちょっと飛躍しすぎですが、今回はスペインの話を思い出してみます。(チャンピオンズリーグはスペイン勢ピンチですね!)

 去年の3月、2軍以下のチームの有志で2週間弱のスペイン遠征があり、私も無理言って帯同させていただきました。
 行き先は、バスク地方のビルバオとバルセロナ。
 ビルバオでは、アスレチック・ビルバオ(Athletic Club)に密着した6日間を過ごしました。

 このチームはバルセロナ、レアルマドリードと並んで、創立以来一度も降格していないクラブで、バスクにゆかりのある選手のみが所属できるというのが特徴です。スペイン代表のフェルナンド・ジョレンテが代表的な選手です。監督はマルセロ・ビエルサ、2011-2012シーズンは国王杯とヨーロッパリーグで準優勝という成績を収めています。

 私達は、運良く、ヨーロッパリーグ(EL)でマンチェスターユナイテッドに勝利した歴史的瞬間に遭遇しました。

 遠征のコーディネーターの方が、「ELがあるから街に出掛けてみよう」と言ったので、皆で郊外の宿泊施設からバスでスタジアム周辺に行きました。
 街のあちらこちらにベランダに吊り下げられた旗が目立ちます。赤と白の縦しまのユニフォームをまとったハイテンションな人が次々にバスに乗ってきます。降りると、マンチェスターユナイテッドのサポーターが旗を掲げ、大声をあげて現地の人を挑発しています。

 街は大騒ぎ。スタジアムに入ることができなかった人たちも周りのバルで大騒ぎしていました。ホームスタジアムのSan Mamesに入れるのは4万人、でもその倍くらいの人がスタジアムのすぐ近くのバルや道端で試合を映像で見ながら応援していました。

 アスレチックは終始マンチェスター・ユナイテッドを圧倒し、歴史的な勝利をあげました。
 街の人に聞いても、こんなに街がお祭り騒ぎになることはないと言うほど、道路で人が踊りだし、車の上によじのぼって叫んだり。そして比較的治安の良いバスクではあまりないスリも多発していたそうです(部員も被害に遭いました)。

 翌日もアスレチックの話は街のあちらこちらで聞こえます。ミーハーなソッカー部員たちは、試合の日に買ったユニフォームを観光にも着ていきました。ユニを着た日本人集団を目にすると、バスクの人たちは車の鳴らしたり、応援歌を歌って歓迎してくれました。

 このような貴重な瞬間に居合わせて、少し大学サッカーと共通する点を見つけました。アスレチック・ビルバオは創立以来、バスクにゆかりのある選手のみを受け入れてきました。その制限は、学生スポーツと類似しています。私たち大学チームは、慶應義塾生のみが所属できます。途中で他から選手を買ってくることはできません。

 その融通の利かなさはチームを強化する上で弊害になることももちろんあると思います。でも制限がある故のまとまり、そこに誇りを持ち、それを守ろうとする姿をビルバオの人達から学べた気がします。
 どんなときでもアスレチックはバスク人にとって、大切な存在です。

 大学サッカー、大学スポーツもその学校の人にとって、憧れで誇りの存在になりたいと思います。
 母校の誇りを早慶戦でもたくさんの人に感じてもらいたいなと思います(そのためにはチームがしっかり成績を残さなければ…)。

 スペインでの経験はまた書きたいなと思うので、お楽しみにお待ちください!

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