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「ボールは丸い」~慶大ソッカー部マネージャー戦記 by 呉田幸子

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110分とPK戦の激闘の一部始終。【アミノバイタルカップin時之栖】
by 呉田幸子

 6月1日から、御殿場・時之栖で「アミノバイタル」カップ2013 第2回関東大学サッカートーナメント大会<兼総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント関東予選>が行われています。
関東大学リーグ1部2部と都県リーグの予選を勝ち抜いた合計32チームによるトーナメント方式の大会です。関東の大学のカップ戦で、上位7校は8月に大阪で行われる総理大臣杯に出場することができます。

この形式になったのは去年からで、ほぼ全大学が時之栖に宿泊して大会が行われます。いろんな大学の部員が宿泊の敷地内にいます。

3日に2回戦があり、私達慶應義塾大学は、ベスト8に勝ち進むことができました。
1日の1回戦に明治学院戦に勝ち、中1日で迎えた2回戦・関東学院大学戦も目標の全国出場のためには絶対に負けられない戦いでした。
その一部始終をつづりたいと思います。

前半に3年の武藤嘉紀が1人で持ち込んでゴール。しかし、その4分後に失点してしまいました。そのまま前半を折り返しました。気合十分で臨んだ選手たちが少し空回りしていた印象もありました。情けないことではありますが、スタメンには4年生がおらず、3年生がキャプテンマークを巻くというチームでした。
しかし、後半10分に相手に勝ち越しを許してしまいました。
「まだ時間はある」ベンチから頻繁にその声が発せられましたが、時間はどんどんなくなり、焦りは増すばかりでした。今年も全国にいけないのかな、(負けたら御殿場から帰るという仕組みなので)今日東京に帰るのかな、といろんなことを考えました。

でも後半40分になったとき、ボトルを満タンにし、氷を作り、タオルをしぼろうと思い立ちました。最後まで選手を信じたいという気持ちからです。「延長の準備するよ!」みんなにそういったときは、まだ同点でもないのにこれは無駄ではないのかなという考えもありましたが、選手を信じて良かったと思います。
後半ロスタイム4分に2年の近藤貫太が決めてくれました!

後半終了のホイッスルが鳴り、用意したボトルや氷をサブの選手と一緒に配り、マッサージをしました。わざわざ応援に来てくれたB・Cチームの部員は、そのインターバルの5分間、ピッチの向こうで応援歌を歌い続けていました。

迎えた延長後半8分に、2年の端山豪が2枚目のイエローカードで退場になり、PKを決められ、残り2分というところでリードを許してしましました。
しかし、あきらめている人はいませんでした。最後の1秒まで信じることをやめませんでした。ロスタイム2分に3年の平戸奨眞が頭で合わせて同点!!!

直後にホイッスルが鳴り、PK戦へ望みをつなぐことになりました。2度目の逆境も跳ね返すことができました。

また、選手が戻ってきて、PK戦の順番の指示がありました。その間も応援の声は聞こえ続けました。「みんなが応援してるぞ!」「ここまで来たら楽しもう」「4年が全部責任取るから思い切ってやれ」「一丸になろう」円陣の中からいろんな声が聞こえました。
ここまできたら、負けてもいい。あとはこの後輩たちに思いきりやってほしい、結果は天に任せようと思いました。

皆で手をつないで見守りました。心臓の鼓動は手を介して隣の人に伝わっていたのではないかと思います。
PK戦は9人ずつまでもつれこみました。1回1回に緊張しては一喜一憂する張り詰めた精神状態は、今となっては良かったなと思いますが、本当にヤバかったの一言です。

最後は相手が蹴ったボールを3年のGK増川翔太がっちりキャッチしてくれました。いろんなものを背負って戦ってくれました。

歓喜の輪が広がり、私もなにがなんだかわかりませんでしたが、最後まであきらめないでよかった、心からそう思いました。
歓喜の輪から外れて、退場し涙を流していた端山のところには4年の日高悠太郎が駆け寄りました。ピッチの選手も応援や仕事の部員も、1年生も2年生も3年生も4年生も、お互いを称えあいました。

こんな試合年に1回あるかないかのことだと思います。本当に良かったと思うばかりです。

さあ、喜びに浸る暇はなく、明日には3回戦があります。相手は、関東王者専修大学を破った青山学院大学です。昨日の勝利を無駄にしないよう気を引き締めて臨みたいと思います。

ベスト8に残ったのは、関東1部の慶應義塾大学、中央大学、明治大学、流通経済大学、早稲田大学、関東2部の青山学院大学、東京国際大学、法政大学です。
何が起こるかわからないトーナメント戦。すでに姿を消した関東1部の大学のことも想い、プライドを持って戦いたいと思います。

順位決定戦は、7~8日に味の素フィールド西が丘など東京の会場で行われます。関東の大学サッカーはこんな熱い戦いが見られるので、ぜひ足を運んでみて下さい!
また様子を伝えたいと思います!

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