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「ボールは丸い」~慶大ソッカー部マネージャー戦記 by 呉田幸子

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「ボールは丸い。」ボールは時に、不自然な軌道を描く
by 呉田幸子

 私たち慶應大ソッカー部は、先週日曜の試合に勝利し、後半戦開幕戦以来約2か月半ぶりに降格圏を脱出しました。

 前回のコラムでも書いたような、一糸乱れぬ和音を響かせることができました。

 明後日の最終節、流通経済大学戦に勝てば無条件で一部残留が決まります。

 自分達の最後の試合が、こんな試合になることは予想していませんでした。

 リーグ戦最終節では、インカレ出場を決める!とか優勝争いかも?!とか夢を描いていましたし、逆に後半戦に入ってからは、自力での残留決定を望めない順位に長らく滞在したからです。

 純粋に「勝利」のみを目指す。他の試合は関係ない。

 勝たなければならない試合、この一回のチャンスで勝てるかどうかは、このチームの真価を問われているということであり、まさに時間をかけて追求してきたことです。

 私はこの立場で数々の試合を見てきて、勝敗にはそれまでの準備がすべて繋がっているんだと本当の意味で理解しました。それは先輩たちにさんざん言われてきて、それは違うんではないかと思ったことも何度もありましたが、今はそう思います。

 メンタルトレーナーの森川陽太郎さんという方のブログをたまたま読んだのですが、そこにこんなことが書かれていました。

『フウガすみだはアップを笑いながらやる。「マジメ」にやることでその責任に保険をつくっているのです。どんなに大きな舞台でも過程に依存を起こさず、結果に責任を持って向き合えるチームです。』

 確かにそう考えることができれば気が楽だし、何も悩まなかったなぁと思いました。過程に依存してしまうのは確かに良くないことで、結果にこだわるというのは一番大切なことです。

 しかし、私は今、過程も大切にしたいと思います。それはピッチで何もすることのできないマネージャーとしての信念です。

 合宿所に貼ってある、マネージャーの心得にこうあります。

・最高の感動は最大限の努力から
・楽に生きてきた人間に心からの感動はありえない
・最後に最高の笑顔で感動の涙を流そう
・その為に、今を精一杯生きよう。
・今を頑張ろう。
・この部のマネージャーとしてふさわしくあるために。

 だから1つ1つ考えて、積み上げて、勝利を目指したい、目指してほしい。

 もう最後の戦いは始まっている。

 その過程が苦しくてももがき続け、最後に笑えれば…そう思っています。

 正直、最後の試合を目の前にして、コラムに何を書くか悩みました。そこで原点に立ち返り、このコラムのタイトルを考えてみました。

「ボールは丸い。」ボールは丸いから、どこに結果が転がるかわからないということ。両チームに等しくチャンスが与えられていて、ボールは時に、物理学では証明できない軌道を描き、あり得ないところに転がることがあると思います。

 その奇跡を起こすことができるのは、強い意志と努力によってのみです。

 86年の歴史ある慶應義塾体育会ソッカー部は、伝統を守り続けてきました。過去の記録を見ても、「一丸となって勝利した」という意味合いの言葉が、どの時代にも並べられていました。

 ずっと夢見た「日本一」は叶えられなかったけど、同時に目指しつづけてきた「一丸」になって、とてつもないパワーでボールを動かしたいと思います。

 最後に、この試合を存分に楽しむこと!優勝争いより、インカレ争いよりも面白い試合を、かけがえのない仲間と、(ちょっと遠いけど、)感謝の気持ちを持って沢山の応援して下さる方の前でできること!

 90分後にみんなと笑いあえることを楽しみにしています!

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