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FBN密着インタビュー

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日本対トリニダード・トバゴ 06年8月9日 国立競技場

イビチャ・オシム日本代表監督会見要旨

 私の予期しなかった「嬉しい誤算」があった。日本人が本当にサッカーを好きなんだということを本日この競技場を満員にした4万人を超える観客の熱心な声援に感じた。

 そのことは私にとって「嬉しい誤算」であった。私の代表の初陣というとても大事な試合に際して、私の仕事は協会にとってもJリーグにとっても選手にとってもそして何よりも日本のサッカーを愛する人々のためにもとても大事な仕事だと痛感した。

 私はこのヒトたちを失望させてはいけない。そう思った。

 今日の試合はよいテンポでよくないところもあったが3日間の練習のわりにはコンビネーションもうまくいった。

「90分間走る」日本人のように欧米人に較べて体格が小さい選手にとって大事なこと。大きい選手に1対1で負けるところを「走る」ことで勝てる。その点、90分間走り続けることができない選手がいたことは、日本サッカー全体の問題だと思う。

「90分間走る」ことができない選手が実はJリーグにもたくさんいる。(だから代表にもそういう選手がいる)これは日本サッカー全体の大きな問題といえる。日々ひたむきに努力することで得られるこのシンプルな「90分間走る」ということは、日本サッカー全体が毎日努力するようにしなくては出来ない重要な問題だ。

 私は魔法使いではない。たった3日間の練習でまとまりのあるチームを作ることはできない。他の日程の試合があって選手を召集できないような日程で勝つチームを作るのは無理だ。

 ピッチのコンディションが悪いといったのはそのような外的な要因があまりにも不備が多い中での初陣に対しての私の気持ちだ。

 こんな日程で試合をするのはやめてもらいたい。最初に言ったが私は「責任感」を持ってこの仕事をしたい。日本の多くの監督がそうであるようにまた日本の社会がそれを当然とするように私は「責任感」をもって日本代表監督の仕事をしたい。

 こんな状況でも私はよりよい試合をしたかった。こんなときは私の経験からコンビネーションが出来ている同じチームの選手を「ひとかたまり」代表にしてその「ひとかたまり」を補足するようなチーム作りをする。それが今日の試合だ。

 私は「責任感」を持って代表チームの仕事をやりたい。そのためには私がどれだけ未来に対してこのチームを任される時間を持っているのかが問題だ。どれくらい私は日本代表の監督をやる時間を与えられているのか? そしてそれは誰決めるのか? (ここで記者会見が終了する。その後に一言オシム監督は得意の捨て台詞を残す)私が記者会見を終わりにすると言っていないのに司会者は会見を終了してしまった。(会見の最後のこの言葉は、自分に与えられた時間を誰かが勝手に終わりにしてしまうということを比喩として使った)

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