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レッズの真相「ビッグクラブ2」

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 思いがけない苦戦だった。A3チャンピオンズカップ参加により、8月1日開催に振り替えられた第14節・広島戦のことである。

 スコアは4-1。得点者は田中マルクス闘莉王、ロブソン・ポンテ、田中達也、ワシントンと、レッズのオールスター揃い踏みである。しかし、特に前半の内容は非常に低調で、広島の組織立った戦いに成す術がなかった。
「前半、チームとして良い戦いができたのは浦和ではなく、ウチだったと思う」
 54分に先制点を挙げてレッズを脅かした日本代表の佐藤寿人は、そう言って胸を張った。かたやレッズの面々は、大勝の後にもかかわらず、少し恥ずかしそうにミックスゾーンを通り抜けた。

 相手FWの佐藤と同様、アジアカップ終了後、強行軍で日本へ帰国して先発出場を果たした鈴木啓太は憮然とした表情で言い放った。
「皆、急ぎすぎるんだよ!」
 レッズは、リーグ中断期間のなかでチーム戦術を熟成させる機会を正直逸した。他クラブが長い中断期間を利用して海外遠征やミニキャンプを張っているのに対し、レッズはつかの間のオフと大原グラウンドでの通常練習に明け暮れるだけだった。そもそも中核となる鈴木、阿部勇樹、坪井慶介が日本代表に選出されて不在。ワシントン、闘莉王はブラジルに帰国と、ベストメンバーが揃っていなかったことも指揮官、ホルガー・オジェックの頭を悩ませたことだろう。
 中断前の4試合、組織力が向上して4連勝、無失点を飾った当時と比べると、広島戦では個人能力を全面に押し出した戦い方に逆戻りしていたが、その裏には前述のような事情がある。
ネガティブなことばかり言ってしまったが、広島戦の勝利によって、レッズは首位・G大阪に勝ち点2差まで詰め寄った。8月15日に行われる万博での天王山で、もしG大阪を下せれば、リーグ連覇の可能性もグッと近づく。

 広島戦で分かったことが2点。田中達のプレーは今まで以上に破壊的かつ組織の歯車として効果的だ。今後、レッズの攻撃の軸は彼となるのは明白だ。一方、“大砲”ワシントンのコンディションは著しく停滞している。これまでワシントンは、得点源として獅子奮迅の活躍を見せてきたが、ゴールに固執するあまり、ひとりで状況を打開するようなプレーが目立った。しかし現況では、その責任感がチーム戦術を崩壊させる危険性を生み出している。もし今後も、ワシントンが独善的なプレーを続けるようならば(コンディション良化への努力も含めて)、オジェックは早めに何らかの決断すべきだ。
 願わくは、G大阪戦までに、その懸念が解消されていることを祈る。

<写真説明>1日の広島戦でホーム初ゴールを決めた田中達也

※本企画は毎週水曜更新予定です

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