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レッズの真相「ビッグクラブ2」

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 9月19日、アジア・チャンピオンズリーグ(以下、ACL)2007・ノックアウトステージ準々決勝第1戦。浦和レッズは前年のACL覇者である韓国の全北現代と対戦し、2-1で勝利した。
 埼玉スタジアムに詰め掛けた赤きサポーターは試合終了の瞬間、沈黙した。これはロスタイムに失点したことによるダメージだろう。2-0ならば余裕を持って敵地に乗り込めるが、アウェーゴールを献上したうえに最小得点差では気が気ではない。9月26日に行われる第2戦には、少しばかりの暗雲が漂った。

 クラブが重要視するアジア制覇。その足がかりとなる準々決勝だったが、観衆は33,103人に留まった。平日ナイター、都心から遠い埼玉の浦和美園という立地も集客に影響を及ぼしたかもしれない。クラブはキックオフを30分延ばして19時半としたが、アッパースタンドには空席が目立った。まさか準々決勝は安全パイだからとサポーターが高をくくったわけでもあるまいが、油断をすると足下を掬われるのは誰もが知っている。

 少なくとも選手たちに慢心はなかった。相手を研究したうえで対峙し、試合中は細心の注意を払ってプレーしていた。長谷部誠が開始早々に先制弾を突き刺し、田中達也が何度もカウンターから好機を生み出し、後半の59分に理想的な追加点を挙げるなど、試合運びも順当だった。
 悔やまれるのはロスタイムの失点だが、このときの守備の危うさを坪井慶介に指摘すると、語気を強めて反論された。
「押し込まれても、ある程度は守れていたと思う。失点はアンラッキーだっただけ」
 この強気な姿勢はアウェーでの第2戦に向けて好影響を及ぼすと見る。田中達も得点に浮かれるどころか、好機を逃したことを悔やみ、真剣な表情を崩さなかった。
「次回は今日みたいにうまくいかない可能性もある。できれば0点でいきたかったけど、ウチのほうが得点しているわけだし、優位に立っている」
 レッズはACLのグループリーグでタフな戦いを経験した。シドニーでは早々に2点のビハインドを負い、上海では相手に粘られ、ソロでは気候・ピッチ・主審の不利がのしかかかる三重苦に遭った。その修羅場を乗り越えたことが選手の意識を高めている。阿部勇樹は言う。
「相手に対して、今日のイメージを持たないほうがいい。ホームでの勝ちは参考にならない。アウェーが勝負です」
 もしかしたら、焦り、危機感を感じているのは選手よりも観る側のほうかもしれない。サポーター、マスコミのほうが浮き足立っている? 選手たちの沈着冷静ぶりに触れて、第2戦への視界が明るく開けた気がする。

<写真説明>19日、全北戦でゴールを決めた田中達也

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