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レッズの真相「ビッグクラブ2」

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 先週に引き続き、ストーブリーグの話である。高原直泰の加入によって補強が一段落した感のある浦和レッズだが、今度はクラブを去る者の動向が注目されている。

 1月15日。長谷部誠のブンデスリーガ・ヴォルフスブルク移籍が事実上決まった。スーツ姿で大原グラウンドのクラブハウスに現れた長谷部は、チームフロントに退団、移籍の意思を伝えたのだった。
「海外に挑戦できるのは、浦和にかかわるすべての人のおかげです。恩返しするためにも(ドイツで)活躍したい」
 この後、長谷部はドイツへ旅立った。18日にはヴォルフスブルクと正式に契約を交わす予定だ。浦和の至宝として成長したファンタジスタが、新たな挑戦を始めることになった。
 長谷部を受け入れるヴォルフスブルク側は期待を隠さない。ヴォルフスブルクの現監督は名門バイエルン・ミュンヘンを率いた経験もある名将、フェリックス・マガト。指揮官は長谷部について「すでに2年前からリサーチしていた。ブッフバルトとも話したが、長谷部はドイツでやっていけると確信している」と述べた。昨年末まではイタリア・セリエAのシエナ入りが確実視されていたが一転、ブンデスリーガへの参戦を表明した長谷部の決断に、マガトは心から歓迎の意を表している。

 実際、長谷部はブンデスリーガで結果を残せるのだろうか。
長谷部が移籍するヴォルフスブルクは、ブンデスリーガ1部で常に中位に位置する中堅。クラブはヴォルフスブルクに本拠を置く世界的な自動車メーカーであるフォルクスワーゲン社のスポンサードを得て近年、精力的に強化を図っている。しかし最近の成績は2005-2006シーズン・15位、2006-2007シーズン・15位と低迷。テコ入れを図るために2007-2008シーズンの今季はマガトを招聘して巻き返しを期しているが、現在の選手層はそれほど厚くない。ちなみにウインターブレイクによる中断前までの現順位は、首位バイエルンに勝ち点16離された11位である。

 しかしヴォルフスブルクの強化プランとして長谷部に白羽の矢を当てるのは理に適っている部分もある。マガトが2年前から長谷部をスカウティングしていたと言う通り、ヴォルフスブルグは中盤のチャンスメーカーを欲していた。2006年までチームに在籍していたアルゼンチン人MF、アンドレス・ダレッサンドロの後継者を長らく探しているのだ。現在、リーガ・エスパニョールのレアル・サラゴサに在籍するダレッサンドロはボールキープ力に優れ、卓越したパスと機を見たドリブル突破でチャンスを生み出す中盤のファンタジスタだった。そのプレースタイルは長谷部と被るものがある。
 かつて、長谷部と同タイプの選手が活躍した事実。ここに一筋の光明が見える。またヴォルフスブルクにはかつて、トミスラフ・マリッチ、そしてロブソン・ポンテという浦和とゆかりのある選手が在籍していたクラブでもある――。

 荒波に打って出る覚悟を決めた長谷部。その前途は不透明だが、今はそのチャレンジを暖かく見守りたい。
「浦和のサポーターがボクを育ててくれた。浦和で育った選手の代表として頑張りたい」
 将来はまた、浦和への復帰を希望しているという。“赤の魂”を携えて、長谷部は“緑のクラブ(ヴォルフスブルクのチームカラー)”に身を置くことになった。

 そしてもうひとりのファンタジスタ、小野伸二もまた、ドイツの地で復活を期そうと今、選択のときを迫られている。その詳細は次回、お伝えしたい。

※本企画は毎週水曜更新予定です。感想をこちらまでお寄せください。

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