beacon

レッズの真相「ビッグクラブ2」

このエントリーをはてなブックマークに追加
 浦和はチームの成熟度を高められないでいる。第21節・FC東京戦、第22節・ジュビロ磐田戦と、久しぶりの連勝を果したが、その成果は第23節・東京V戦のドローで消し飛んでしまった。
 ゲルト・エンゲルス監督の采配は試合毎にめまぐるしく変化する。以前はDFの田中マルクス闘莉王を守備的MFやトップ下で起用する奇策を見せた。また相手が4-2-3-1や4-2-2-2などでサイドから攻撃を組み立ててくると試合中に慌てて3-4-1-2から変則4バックに移行したりする。スタメンやベンチ入りの選手の起用法も千差万別。第19節・鹿島アントラーズ戦での劇的なドローに貢献したエスクデロ・セルヒオはそれ以来アピールのチャンスに恵まれていないし、今季大分トリニータから獲得した若手有望選手、梅崎司はベンチに座らされたまま90分間を終えることが多い。就任直後はユース上がりの選手までもピッチに上げて若手の底上げを図った指揮官が、今は人材育成を先延ばしにして目先の勝利に躍起になっている。
 東京V戦のFW陣は受難だった。先発した高原直泰と田中達也は前半終了とともに交代の憂き目に遭い、代わりに投入されたエジミウソンと永井雄一郎は1点リードされた後、闘莉王のオーバーラップによって働くスペースを奪われ、サイドへと追いやられていった。どうも指揮官は、現況の浦和FW陣をまったく信用していないようだ。確かに浦和の今季のスコアラーを見ると、トップは闘莉王の9点。エジミウソンは7点取っているが、次はMF阿部勇樹の6点で、阿部は東京V戦でもロスタイムに同点ヘッドを叩き込んでチームの敗戦危機を救っている。
 エンゲルス監督は常々、「レッズには優秀なFWがたくさんいる」と述べているが、その豪華絢爛な陣容を万華鏡のように並べ、ある試合ではスタメン、ある試合ではベンチ行き、ある試合では出場さえさせないなど、選手に動揺を与える起用法を乱発しているような気がしてならない。誰がファーストチョイスで誰が2番手、そして3番、4番は誰としっかりと格付けされたほうが、選手たちは目標も責任も備えやすいと思うのだが……。鹿島戦の試合中に高原が足を痛めると、エンゲルス監督は本人に症状を聞かずにすぐさま交代のカードを切った。高原は激高して声を荒げ、試合後は「選手なら、誰でも試合に出続けたいのが本音。わだかまりはないけど、正直悔しかった」と本音を述べた。どうも、監督と選手の意思がシンクロせず、団結心が宙を舞っている印象だ。
 チーム戦術を成熟させるにはコーチングスタッフの強固な意志と選手のモチベーションが合致しなければならない。今季の浦和は、どうもその点が欠落しているように感じる。

<写真説明>東京V戦は阿部(左)のゴールで同点に終わった。FW陣は何を思うか?

※本企画は毎週水曜更新予定です。感想はこちらまでお寄せください。

TOP