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シャビを育てたコーチが語る「バルサが強い本当の理由」

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 日本のバルサ・ファンのみなさん、こんにちは。ジョアン・ビラです。私は現在、FCバルセロナのメトドロヒーア(メソッド部門)のディレクターをつとめています。これはバルサのスポーツ部門において、練習内容の分析、改善、コーチの育成等を統括するポストです。

 以前は、カンテラ(下部組織)の監督として、たくさんの原石を指導してきました。私が指導した選手にはシャビやプジョル、ビクトル・バルデスなど、トップチームで活躍する選手がたくさんいます。

 わたしが考えるに、トップレベルの選手になるためには、2つの大切な「T」があります。ひとつは「Talent(才能)」、もうひとつは「Training(練習)」です。両方とも大切なもので、どちらかが欠けていても、トップレベルの選手になることはできません。

 才能とは、選手が持って生まれたもの。そして、練習はコーチが与えるものです。持って生まれた才能を、適切なトレーニングをすることで磨きあげた結果、トップレベルの選手に到達するといえます。

 その代表的なモデルがシャビです。私が彼を最初に指導したのは、彼が13歳の頃でした。インファンティルAというカテゴリーです。13歳はサッカー選手というよりも、まだまだ子どもです。まず、その年代で大切なのはサッカーを楽しむこと。トレーニングを通じて監督から学び、上達すること。そして、毎日努力をすることです。

 シャビはプロになりましたが、すべての子どもたちがプロになれるわけではありません。ですが、プロを目指す以上、それぞれの選手が自分の限界(リミット)に近づくことができるよう、努力をすることが重要なのです。

 15歳前後は、学ぶことが多くある年代です。たとえ、ひとつの試合でいいプレーができたとしても、プロになりたい気持ちを持っているのであれば、常に学び続けなくてはいけません。「ここまでうまくなったから、プロになれる」というボーダーラインは存在しないからです。学ぼうとする姿勢は、どんな選手であっても大切なものです。それこそが、トップレベルの選手になるために欠かすことのできない条件でもあります。

 選手を育てるための重要な役割を果たす、日本の情熱あふれる指導者にアドバイスをしたいと思います。頭の片隅に入れておいてほしいことは、『自分はサッカーの練習の仕方を知っているんだ』と思わないことです。サッカーは進歩し、止まりません。常に自分の教え方、指導法について研究していく必要があると思います。

 たとえば他のチームの監督を訪ねてみたり、他の国の指導者がどういう練習をしているかを学び、トレーニングを常に見直し、改善していくことが大切です。私は20年以上、育成年代の選手を教えてきましたが、毎年、トレーニングを見直してきました。オランダやイタリア、ドイツやフランスなどに出向き、他国から得たものを吸収して、トレーニングを改善してきました。サッカーは止まりません。常に進化を続けています。我々指導者も止まることなく、進化していきましょう。

(構成 鈴木智之、写真 小川博久)


カンテラでシャビなどを14年間指導し、バルサの現役ディレクターとして活躍するジョアン・ビラ。彼が監修したトレーニングDVD『知のサッカー』が発売中

@thinksoccer【ジョアン・ビラの日本の育成年代に向けた提言】

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