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POINT OF SOCCER by 長谷川望

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メンタルや性格などいろいろな分野からとらえる育成
by 長谷川望

 育成の分野は、技術面だけではなくメンタル面、食育など様々な要素をとりいれ発展してきています。サッカーでも国内ではもちろん海外のプレーを簡単に目にする事ができるようになりました。今までよりも多くのイメージを持もつことができ、このような環境も発展の一つでしょう。体幹トレーニングの普及や食育基本法の制定など、各分野でも同じように発展し、育成にいかすことができるようになりました。

 日本全国126校、生徒数は2万人を超えているというジュニア向け「クーバー・コーチング・サッカースクール」。オランダ人が発案した独自の指導法「クーバー・コーチング」は、世界各国に広まっています。そこには指導法が確立されてから変わらず続けていることがあります。サッカーはチームでおこなうスポーツですが、最後に局面を打開するのは個人の力。「クーバー・コーチング・サッカースクール」ではこの個の力を伸ばす育成を行っているのです。ここで注目したいのは、個の力を伸ばすために様々な分野からアプローチしていること。

 埼玉県の浦和校で指導をされている田辺竜太コーチは「良い選手というのは、いつでも安定したパフォーマンスを出せる選手。子供も自分の所属チームがあり、上手になれば地域のトレセン、もっと上手くなれば県選抜と上がっていく。環境が変わっても良いパフォーマンスを出すためにはメンタル面のコントロールが大事」と、個の力を伸ばすうえではメンタル面も重要視しなければいけないと指摘します。

「クーバー・コーチング」では指導者向けの講義だけでなく、今月からはゴールキーパーの子供や保護者に対してもセミナーを開くなどメンタルトレーニングに関するアプローチを行っています。パフォーマンスを維持するために必要なメンタルコントロールとは具体的にどのような事をすればいいのでしょうか。

「『目標設定』をして、達成するためにどういうプロセスがあるのか、ある程度理解し自分で準備していく。目標があれば途中で挫折したときも、自分のすべきことが明確になる。例えば怪我をなおす、レギュラーを目指すなど、ゴールがあることでそれに向かうプロセスを考えていける」。『目標設定』は、遠回りしてもゴールを目指していける心の強さを養い、モチベーションとなります。このような日常的な意識が、どんな状況でも安定したパフォーマンスに活きてくるのでしょう。

 興味深かったのは、「クーバー・コーチング・サッカースクール」ではメンタル面のほかに「アイカラー(i-color)統計心理学」という性格判断の指導者・保護者向けセミナーを実施したという話です。それは、人には発する色があり、それぞれがどんな性質があるのか分かるもの。効果的に指導にいかせる要素を、様々な分野から取り入れ進化している育成環境。「変化なくして成長なし」という言葉があるように、育成環境の進化はより良い子供の成長につながっていくでしょう。

◆著者プロフィール◆長谷川望(はせがわ・のぞみ)
1987年生まれ。福島県出身。ロンドン五輪で女子レスリング金メダリスト伊調馨を取材。2020年東京五輪を見据え、サッカーを中心にスポーツの育成年代を精力的に取材している。フジテレビ『とくダネ!』、TBS元旦スポーツ祭り『2013年にかけるアスリートたち』、WOWOW『金曜カーソル』などテレビ番組でも活躍中。
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