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POINT OF SOCCER by 長谷川望

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心を鍛える「6つの約束」
by 長谷川望

「こんにちはっ!!!」。このチームを訪れて2回目になりますが、ここではいつも大きな声で子供たちが挨拶してくれます。簡単そうで実はなかなか出来ないことだと思います。

 昨年、神奈川県代表として全日本少年サッカー大会でベスト8に輝いたJFC FUTURO(フトゥーロ)は、出来ることを100%やるということを教えてくれるクラブです。鈴木友監督は「他から見たら不思議かもしれないが、僕らからしたら一番簡単な練習。自分のなかで一番大きな声を出せない人が、ピッチのなかで走りながら考えて、どんな判断ができるのかなと思う。出来ることを100%でやっていこうと言っている」と、大きな声の挨拶の重要性を語ります。

 日本人はマニュアルを求める傾向があり、自分を表現するのが苦手だと言われています。しかし相手にする挨拶を大きな声ですることで、自分を出すという意味で表現力に繋がるのではないでしょうか。

 声をだすことはチームのみんなが出来ること。それをみんながきちんとおこなっているJFC FUTUROは、どのような環境づくりをしているのでしょうか。クラブには、子供たちも口にする「6つの約束」がありました。

 ①あいさつをする。②人の話を聞く。③自分でできることは自分でやる。④1日1つ誰かのために良いことをする。⑤集合は走って集まる。練習中の私語禁止。(サッカーに集中すること)⑥応援してくれる人やモノを大切にする。

 鈴木監督は「技術、戦術、フィジカルを扱うのは自分の心だと思う。例えばC・ロナウドみたいなフィジカルや技術を持っていても、メンタル的に『サッカーやりたくない』という人だったら活躍できない。心技体をバランスよく鍛えていくが、割合的に大事なのは心の部分なのでないかと思う。6つの約束も心を鍛えるトレーニングに自然となっている」と、この約束事を徹底する意図を教えて下さいました。

 他にもJFC FUTUROは練習前、円陣になり大きな声で「今日はシュートを決めます!」「1対1は負けないぞ!」といった今日の目標を叫びます。それはみているこちらが驚くほど。技術でもなく、戦術でもなく、出来ることを100%やることで、自分がサッカーをやっているという意識を明確にします。JFC FUTUROの子供たちが明るく元気が良いのは、日常の取り組みから培われている表現力があるからだと感じました。

◆著者プロフィール◆長谷川望(はせがわ・のぞみ)
1987年生まれ。福島県出身。ロンドン五輪で女子レスリング金メダリスト伊調馨を取材。2020年東京五輪を見据え、サッカーを中心にスポーツの育成年代を精力的に取材している。フジテレビ『とくダネ!』、TBS元旦スポーツ祭り『2013年にかけるアスリートたち』、WOWOW『金曜カーソル』などテレビ番組でも活躍中。
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