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ヤング魂 by 長谷川望

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[特別編]木場克己・前篇「久保建英が小5から始めたKOBA式トレーニング」
by 長谷川望

 ジュニア、ジュニアユースの取材をしているなかで、力を入れているトレーニングを聞くと「体幹」という言葉を多く聞くようになった。それほど体幹トレーニングは、幅広い年代で一般的に取り入れられている。

 体幹トレーニングを知ったきっかけが、「長友佑都(インテル)が実践した」からという人も多いのではないだろうか。

 長友のパフォーマンス向上に繋がったのは、今では多くの人たちが実践している木場克己氏のKOBA式体幹バランストレーニングだ。今回は世界で活躍するスポーツ選手を支えてきた木場氏が、育成年代の体幹の重要性を語る!

PICK UPトレーナー
 体幹トレーニングの第一人者である木場氏は、セリエ Aで活躍している長友など、数々のプロサッカー選手のパーソナルトレーナーを務めている。今シーズンから瀬戸内高校から鹿島アントラーズに加入した注目ルーキーの安部裕葵もその一人だ。

 また育成年代の選手たちの指導にも力を入れており、U-20日本代表にも選出された久保建英(FC東京U-18)、レアル・マドリーのカンテラに所属している中井卓大の指導も行っている。「私が小学生向けのイベントを行っているときに、久保くんのお父さんと出会ったのがきっかけでした。久保くんは小学5年生からここに通っています。長友選手でも、久保くんでも弱点を見つけてあげるのがトレーニング方法の土台としてあります」と木場氏は指導する経緯について話す。世界で注目されている久保の活躍の裏には、KOBA式体幹バランストレーニングの成果があると言えるだろう。

 将来が期待される選手がこぞって通うKOBA式体幹バランストレーニングとはどのようなトレーニングなのか。プロも実践している大事なポイントを押さえておこう!

KOBA式トレーニングのポイント
 小学5年生から木場氏のトレーニングを受けている久保は、今でも週に一回程度体幹トレーニングを受け続けている。

「頭がブレないことを意識しながら、チューブを使ったバランスをとるトレーニングをやっています。頭がブレて、重心がブレると、サッカーでターンしても0コンマ何秒動作が遅れることになります。久保くんは高校生だが、プロと練習する機会が増えてきているので、一番こわいのが怪我。なかでも膝の怪我が一番こわいです。膝の上や太ももで自分の上半身を支えることが重要になってきます。強くて大きい大人の身体がぶつかって膝崩れしちゃうと、前十字靭帯や半月板の怪我に繋がるケースがあるので、膝の怪我をしないようにチューブを使ってトレーニングをしています」。

 体幹トレーニングをするうえで、頭がブレない身体づくりが重要ポイントとして挙げられる。私もチューブトレーニングを体験させてもらったが、専用のゴムチューブをつけて、頭がブレないように行うステップ動作やストップ動作は、想像以上に難しく、普段使わない筋肉が刺激され高い効果を実感できた。体幹トレーニングをする際は、「頭がブレない」を意識して自分の弱点を見つけることで、効果的に体幹が鍛えられるのではないだろうか。

気になる質問‼
――プロ選手は体幹トレーニングを毎日やっているのですか?
「私が担当している選手は毎日行っています。約10分〜15分で出来るメニューを渡しています」

――例えばどのようにサッカーに活かされますか?
「基本的にアジリティーに繋げなければいけないと思います。アジリティーもおしりの筋肉で身体をしっかり支えないとスムーズなジグザグ動作が出来ないのです。おしりの筋肉と脇腹の筋肉をいかに連動させて使わせるかがすごく重要になってきます」

――どのようなバランストレーニングを行っていますか?
「不安定なマットの上でブレずに姿勢をキープさせる練習をしています。不安定なところに立つと、ふくらはぎがブレてきます。例えば、同じふくらはぎでも外側部分を使うときは、逆側の筋肉が支えなければいけません。寝ている筋肉を目覚めさせるイメージでやっています」

――育成年代の身体づくりで大切だと思うことを教えてください。
「各年代に必要な筋力や身体の作り方があると思います。やはり怪我をしない身体づくりを、若いうちから理解させて『これをやらないと将来怪我に繋がる』ということを指導者やトレーナーが伝えていくことが必要です」

◆著者プロフィール◆長谷川望(はせがわ・のぞみ)
1987年生まれ。福島県出身。リオ五輪で4連覇を成し遂げた女子レスリング伊調馨を取材。2020年東京五輪を見据え、サッカーを中心にスポーツの育成年代を精力的に取材している。フジテレビ『とくダネ!』、2016年『林先生のあのアスリートを一流にした劇的スイッチ』他多数出演。
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