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セルジオ越後の越後録 by セルジオ越後

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日本がアジアで一番強いだなんて思っていたら、EUROで予選敗退したイングランドのようになっちゃうよ
by セルジオ越後

 ワールドカップアジア最終予選の組み合わせが27日に決まった。日本はオーストラリアとバーレーン、ウズベキスタン、カタールと同じグループAに入った。韓国、イラン、サウジアラビア、北朝鮮などが入ったグループBに比べると楽なように見えるけど、こちらのグループにはオーストラリアがいる。これは決して楽な戦いにはならないよ。

 現在のアジアの中では、オーストラリアの力が頭ひとつ抜けていると思う。3次リーグではエースの(ハリー・)キューエルやセルティック(スコットランド)のFW(スコット・)マクドナルドらを中心にアジアチャンピオンのイラクや中国もいた激戦区をしっかりと1位で勝ちあがってきた。現段階の実力を比較するとグループAの1位はオーストラリアになる可能性が強い。実質、残りの4チームで2位を争うことになるだろう。日本にとってワールドカップの出場権は2枠ではなく1枠しかないといっていいと思う。もし2位までに入れなかったらグループ3位同士が戦うプレーオフでは韓国やイラン、サウジアラビアと戦うことになるから、これはかなり厳しい戦いになる。

 日本は3次予選を1位で通過したけど、これは参考にならないね。ボールは支配していたけど決定力不足の課題は何も解決されなかった。確かにオマーンやタイ、あと練習試合で高校生と戦った時など力が弱いところからは点を取っているけど、バーレーンなど相手が一定のレベルになると取れないじゃない。(田中マルクス)闘莉王や中澤(佑二)のセットプレー頼みでは攻撃の駒不足は明らかだ。過去の日本代表と比べてもね。ワールドカップにはいけなかったけど94年の予選は勝負強いカズ(三浦知良)がいた。98年の予選は中田(英寿)と名波(浩)が中盤にいて2列目から点を取る形があった。06年予選には核として活躍した選手はいなかったけど、オマーン戦で決勝ゴールを決めた久保(竜彦)やホームの北朝鮮戦に決着をつけた大黒(将志)といったラッキーボーイがいた。今の日本にはこのラッキーボーイと言える存在すら出てこない。リーグ戦、代表含めて分析しても可能性のある名前はいないよ。

 加えてボクが気になるのは先に点を取られた試合に日本が勝っていないことだ。先制点を取られたアウェーのバーレーン戦は負けてしまったし、同じように先制点を取られたオマーン戦(アウェー、1-1の引き分け)も勝つことができなかった。最終予選には3次予選のように守って勝てる根拠はない。攻撃に関しては、正直言って高原(直泰)が復調するのを期待するしかない。ベスト4に入ったアジアカップでは高原が軸だった。彼は得点王になった。彼の力があったから、ベスト4に残れたのだから。今回、アジアカップで引き分けたカタールは、アジアチャンピオンのイラクを上回って最終予選に進出してきた。アジアカップでベスト8だったウズベキスタンは、サウジアラビアに3-0で勝つなど5連勝で3次予選を突破した。他の国はアジアカップの時より力をさらにつけてきている。でも今の日本は下の世代からの押し上げがないし、アジアカップからの上積みをまるで感じられない。高原がいなくなって、むしろ得点力は落ちている。3次予選の時よりレベルの高い相手に対して、もし先に点を取られたら・・・どうなるかとても心配だ。

 日本は00年と04年のアジアカップでアジアチャンピオンになった。ワールドカップには3大会連続で出場しているけど、これはもはや看板でしかない。サッカーは生ものだから、当然力が強くなったり、弱くなったりすることもある。今回もワールドカップに行ける保証なんてどこにもないんだ。また、岡田監督にはワールドカップ予選をスタートから最後まで通して指揮を執った経験はない。組み分けがやや楽になったからといって、日本が勝てるという保証はない。もし、日本がアジアで一番強いだなんて思っていたら、EUROで予選敗退したイングランドのように本戦に行けなくなっちゃうよ。

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