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[ACL]憲剛が復帰戦でゴールを演出! 岡田監督も評価

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[4.14 ACL GL5節 川崎F3-0城南一和 等々力]

 頼もしい男が帰ってきた。2月23日の城南一和戦(アウェー)で下あごを骨折して離脱していたMF中村憲剛が後半21分から途中出場し、50日ぶりに復帰を果たした。

 出場から2分後には、絶妙の浮球パスでFW黒津勝の突破を引き出し、PKゲットにつなげた。その後も、サイドチェンジやスルーパスで試合のリズムを作った。ゴール後は8日に生まれた長女のためにチームメートとゆりかごダンスを披露。至福の時間が流れた。

 計24分間のプレーだったが、持ち味を発揮。MF稲本潤一も「頼もしい。助っ人外国人がきた感じ」と歓迎した。試合後は、サポーターの前で拡声器を持ちパフォーマンス。まだあごが完全に開かない中、「等々力、最高!!」と絶叫し喜びを体中で表現した。

 「よかった。ほっとした。2-0にチームがしてくれてたので、気持ち的には楽に入れた。PKにつながったパス? あれでだいぶ肩の荷が下りました。(サポータらは)どういうプレーをするんだろうと思われていたと思うので、あれが得点につながり、プレッシャーが薄くなったのは間違いない。流れに乗るのに必死でしたから。帰ってこれた喜びの方が大きすぎて、2-0だったし、思い切ってやろうとピッチに入った」

―どんな気持ちでプレーした?
 「タッチラインに交代で入ったとき、みんながワッーとなってくれた。これでやらなきゃ男じゃないだろう、と入りました。この等々力でサッカーやれたことがうれしかった。すごく楽しんでやれた感じがします。きょうの試合は、チームとしても非常に大事な試合で、勝ち点3をとらないといけなかった。それを達成する手助けになれたのは自分としてもうれしかった」

―気持ちも高ぶりましたよね?
 「やはりあそこに帰ってこれたというのは、ゾクゾクした。うれしかった。久しぶりに大声を出せた。結構、口開いたね。リハビリになりました。完全復活? まだ(100%は口は)開かないかな。でも、ほとんど支障ないところまできた。最後のあれ(マイクパフォで)でよくわかった。ピッチでも指示とかけっこう声を出せた」

―プレーも裏に通したパスはさすがでした。50日ぶりとは感じなかった。
 「2-0で勝ってたのもあって相手が前がかっていたのをアップから見ていた。裏に一本、あれが通っても通らなくても牽制になるかなと思っていた。黒津がいい動きをしてくれた。まあ、時間帯も時間だったし、相手のプレスをうまくいなしながら、自分のところにボールが入ってきた。いいボールもあったけど、ミスもあった。課題が出た。(練習や試合を)やりながら解消していかないといけないと思います。もっと走らないといけないし、プレーの質も上げないといけない。50日ぶりだったと考えれば、まあまあかな」

―あごは大丈夫?
「大丈夫なんじゃないかな。(相手のチャージが)あごに入ってきたら別ですけど。肩と肩とかだったら大丈夫。きょうは韓国のチームが相手だったので、こういうところでやれれば自信がつく。Jリーグでもやれるかなと思います」

 この日の試合には日本代表の岡田武史監督が視察に訪れていた。日本代表は7日のセルビア戦に0-3惨敗するなど苦境が続いているが、中村憲剛の復帰は、指揮官もうれしい限り。「悪くなかったね。いいパスを出していたね。代表にもプラス? そうだね」とうなずいていた。中村憲剛にとっては、日本代表メンバー入りに向けても、大きな一歩となった。

―岡田監督が視察に来ていた。W杯のメンバー入り向けてアピール?

 「ま、けど、個人的にはまだまだだと思っている。もっとプレーの質を高めていかないといけない。ただ、それに向けての大きな一歩を踏み出したことには間違いない。やることは限られているけど、プレーでしっかりチームのためにやるしかない。コンディションを上げていきたい。まだまだと思うので」

―次は先発復帰できそうか?
 「どこかでそれを踏み切らないといけない。そこは監督と話をしながら。チームの勢いを邪魔しないようにしたい。きょうみたいたな使い方でもかまわない。いつ出番があってもいいように準備したい。自分は出番が来たときに、しっかりチームのためにやるという気持ちは、怪我の前から変わっていない。あとはしっかり信頼を取り戻したい」

 まだ、あごが完全に開かないため言葉は少しぎこちなかったが、明るく復帰戦を振り返った。とにかくサッカーをやれたことが楽しくてしかたなかったようで、取材のときには、まるでサッカー少年のような瞳を見せていた中村憲剛。この日をステップに完全復活、いやさらに成長したいと誓う司令塔だが、その正確無比の右足とキャラクターで、川崎Fはもちろん、日本代表にも明るい話題をもたらしてくれるはずだ。

<写真>川崎F・MF中村
(取材・文 近藤安弘)

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