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ドリブラー河野和真が2ゴール!! 仙台ユースが湘南U-18を下し、8年ぶりのグループリーグ突破!!

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仙台ユースが2発勝利で決勝トーナメント進出

[7.26 クラブユース選手権(U-18)大会GL第3節 仙台ユース 2-1 湘南U-18 前橋フD]

 26日、日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会グループリーグ第3節の各試合が群馬県内各地で行われた。コーエィ前橋フットボールセンターDグラウンドでは東北第1代表のベガルタ仙台ユースと、関東第8代表の湘南ベルマーレU-18が対戦した。

 仙台はサンフレッチェ広島ユース、JFAアカデミー福島U-18といった強豪相手にいずれも引き分け。この試合に勝てば8年ぶりのグループリーグ突破が濃厚となる状況だった。一方の湘南はその2チームに連敗し、すでにグループリーグ敗退が決まっていた。

 立ち上がりは意地を見せたい湘南が、ある程度主導権を握って攻める展開となる。しかし先制したのは、この試合何としてでも勝ちたい仙台だった。前半16分、広島戦でゴールを決めているMF松本琉聖(3年)が右サイドから中へ切れ込んでパスを送る。MF横山颯大(2年)を経由して、MF河野和真(3年)にボールが渡る。「(松本)琉聖が中に仕掛けて、自分が(ボールを)もらって、ファーストタッチがうまくいったので、そのままゴールを狙ってシュートを打てました」と振り返った通り、右足を振り抜いてゴールネットを揺らした。

 さらに仙台は前半33分、横山が左サイドでフリーになっていた河野にパスを送る。ドリブルで突破していった河野は「味方がボールを持ったら前への意識を持っていました」と得意のドリブルでゴール前へ進入し、今度は左足でシュートを決めて点差を2点に広げ、前半は2-0で終えた。

 追い付きたい湘南は後半頭から選手を2人入れ替え、その交代選手が早速機能する。後半2分、FW森谷一斗(3年)のシュートのこぼれ球を押し込んだのは途中出場のFWメイソン埜吾(2年)。初戦JFAアカデミー福島戦に続く今大会2ゴール目で1点差に詰め寄る。

 同グループのもう1試合、広島対JFAアカデミー福島戦が引き分けに終わった場合、2点差以上の勝利が必要となる仙台ユースは、3点目を取りに行くために後半6分、JFAアカデミー福島戦でPKでゴールを決めたFW古屋歩夢(1年)を投入。古屋の推進力の高さを生かし、何度か決定機をつくり出す。

 一方の湘南も果敢に攻め立て、後半26分MF渡部一歴(3年)が放ったシュートがゴールポストを叩くなど惜しい場面をつくったがゴールを奪えない。試合終盤は湘南が何度もセットプレーのチャンスを迎えたが、仙台は全員が体を張った守備を見せ、湘南の猛攻をはね返した。このまま2-1で試合終了。広島がJFAアカデミー福島に2-1で勝利したため、勝ち点でJFAアカデミー福島を上回った仙台ユースが8年ぶり5回目のグループリーグ突破を決めた。

 猛暑の中、激闘を制した木谷公亮監督は、就任3年目にして初めてのグループリーグ突破。「やっぱりめちゃくちゃ嬉しいですね。選手の日頃の頑張りが報われるのは嬉しいです」と顔をほころばせた。「この試合にかける選手たちの思いが前半からしっかりと出ていたんじゃないかなと思います。相手は長いボールもそうですし、個々のドリブルで運ぶ推進力もあって、2連敗するようなチームじゃないのは見ていて分かったので、ある程度想定したところで、しっかりと我慢して自分たちのチャンスを仕留める、よく選手たちが狙い通り戦えたと思います」と、選手たちが相手の攻撃の特長をよく見て、我慢しながら効果的に得点できたことを讃えた。

 キャプテンのMF各務剛良(3年)は「『ベガルタが今こういう状況の中で、ユースの自分たちが見せよう』と(木谷)公亮さんが言っていたので、やってやろうという気持ちでした」と明かす。トップチームは監督交代もあり8戦勝ち無し。またフロントスタッフの不祥事が発覚し、多くのサポーターが試合後のトラブルで無期限入場禁止になるなど、クラブ全体で暗い話題が続く中、この大会で躍進することでクラブに明るい話題を提供したいと一丸となっている。「明日もあるので、ここから一つ一つ上に行けるように、また選手と一緒に頑張りたいと思います」と木谷監督は決勝トーナメント1回戦・清水エスパルスユース戦に向けて気を引き締めていた。

 一方、AFC U17アジアカップでも活躍したU-17日本代表DF小杉啓太(3年)、DF本多康太郎(2年)といったタレントを擁しながら、3連敗に終わった湘南の平塚次郎監督は「この大会を通して2試合とも先制点を取られてしまったので、守備も改善して臨みましたが、シュート2本で2点取られてしまったので、相手の決定力とこちらのゴール前の甘さがまだまだかなと思いました」と守備を改善しきれなかったことを悔やんだ。

 それでも「特に後半はそこ(守備)の課題も克服しながら、意図的にかなりチャンスはつくったと思います。身に付いているスタイルも発揮して、あとは決めるところだけでした。ポストにも嫌われて、セットプレーも含めて逆転できる可能性はあったんじゃないかと思います」と途中からは攻守ともに、湘南スタイルと言われる縦に速いスタイルも見せられたことを収穫に挙げた。

「各地域(東北、東海、中国)の1位のチームとやれて、個とグループが自分たちの現在地を知れて、われわれのリーグ(神奈川県リーグ1部)に対して良い収穫だったと思う。ここで得た経験をしっかりリーグに持ち帰って、みんなで目標に向かっていきたい」と平塚監督は目標であるプリンスリーグ関東昇格に向けて、強く意気込んでいた。

(取材・文 小林健志)

●【特設】第47回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

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