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清水ユース、FW田代寛人の土壇場同点弾&1年生GK大石息楓のPKストップ2本で仙台ユース振り切りベスト8へ!!

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PK戦を制し、喜びを爆発させた清水エスパルスユースの選手たち

[7.27 クラブユース選手権(U-18)大会決勝T1回戦 清水ユース 1-1(PK4-3) 仙台ユース 前橋フA]

 27日、日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会決勝トーナメント1回戦の各試合が群馬県内各地で行われた。コーエィ前橋フットボールセンターAグラウンドではグループG・1位通過の清水エスパルスユース(東海第4代表)と、グループB・2位通過のベガルタ仙台ユース(東北第1代表)が対戦した。

 清水はグループリーグでは札幌に3-2、浦和に1-1、秋田に4-0で2勝1敗、仙台は広島に1-1、JFAアカデミー福島に2-2、湘南に2-1で1勝2分、それぞれ無敗で勝ち上がってきた。

 前半は清水が仙台をほぼ圧倒して試合を進めた。FW田中侍賢(3年)やMF小竹知恩(2年)、MF西原源樹(2年)、そしてU-17日本代表でU17アジアカップ優勝メンバーのMF矢田龍之介(2年)らが仙台ゴールへ襲いかかった。しかし仙台もGK室井陸杜(2年)やDF中田琉雅(3年)、DF稲葉爽来(2年)を中心に必死の守りを見せ、前半は0-0で終えた。

 後半に入ってもしばらくは清水が優勢だったが、仙台は後半頭から投入したFW古屋歩夢(1年)の高い推進力を生かしてゴール前に迫るようになり、形勢が徐々に仙台へと傾く。古屋の他にもMF齋藤俊輔(2年)や途中出場のMF松本康汰(3年)らが果敢にゴールを狙うが、清水GK大石息楓(1年)も落ち着いたセービングでゴールを割らせない。

 0-0のままPK戦に突入するかと思われた後半37分、試合が動いた。仙台は右サイドを駆け上がった古屋がゴール前の齋藤にパス。そして、左サイドから猛然と駆け上がってきたのが左サイドバックのDF高橋昂平(3年)だった。「抜けていったのが(古屋)歩夢で、(齋藤)俊輔に入った瞬間に自分に流れてくるという予感がありました。目の前が空いていたので、インステップで思い切り打ちました」というシュートがゴールネットに突き刺さり、仙台が先制に成功した。

 しかし後半39分、清水は猛暑の中、力を振り絞って猛攻を見せる。そして、キャプテンのDF岩崎海駕(3年)のクロスに飛び込んだのが、途中出場のFW田代寛人(2年)だった。「(岩崎)海駕君が良いボールを上げると信じていたので、自分がしっかり中に入って、触るだけでゴールになりました。ヘディングは身長が小さいのでそんなに多くないのですが、(高いボールが)来たら決められる自信はありました」と思い切って放ったヘディングシュートが決まって、土壇場で同点に追いついた。1-1で試合はPK戦に突入した。

 PK戦で活躍を見せたのが清水GK大石だった。「PKは特にプレッシャーを感じません。自分しかやれないことですし、自分が止めて勝たせようと強い気持ちで入りました」と語る1年生GKは「最初の1本目で早く跳びすぎ、高ぶり過ぎたと思いました。教わったことを思い返して応用して臨みました」と語る通り少し落ち着いて臨んだ2人目、仙台MF里頼都(2年)が右に打ったPKを見事にストップした。さらに仙台4人目齋藤のPKも止めることに成功。清水は1人目の岩崎が失敗した以外は全員成功し、最後は矢田が落ち着いて決めて、4-3でPK戦勝利。清水が苦しみながらも準々決勝、鹿島アントラーズユース戦へと駒を進めた。

 非常に苦しんでの勝利に清水の澤登正朗監督は「お互い研究した中での戦いになりました。前半再三のチャンスを決めきれず、嫌なムードでした。当然そうなってくると後半やられてしまったり、自分たちの時間がつくれなかったりした中で、最後田代がクロスからヘディングを決めましたけど、何とか最後追いついた勢いがPK戦につながったと思います。疲労度マックスだと思うのですが、この暑さの中、走りきってくれました」と逆境の中、同点に追いつき、PK戦を制した選手を讃えた。

 そしてPK2本ストップの大石については「大会を通じて成長しています。まだ1年生ですけど、今年から試合に出始めてようやく夏になってものになってきました。成長の度合いがPKやシュートストップにつながって非常によく戦ってくれたと思います」と、抜擢した1年生GKの活躍に目を細めていた。プリンスリーグ東海ではやや苦戦していたチームが大会を通じてタフに成長しており、準々決勝にも期待が持てそうだ。

 一方の仙台はあと一歩で白星をつかみ損ねた格好にはなったが、8年ぶりにグループリーグを突破して、この試合も全力尽くして戦い、やり切った表情の選手が多かった。「見ている人に何かが伝わるような試合をと思って戦い、最後勝ち上がれませんでしたが、この子たちが頑張っている姿は何か感じてもらえるんじゃないか、そういう試合をしたんじゃないかなと思います」と木谷公亮監督も選手たちの奮闘を讃えた。「80分間主導権を握ることはできませんでしたが、試合の流れの中で我慢するところをしっかり我慢して、自分たちの流れに持って行った時に仕留めるという部分は、日頃からやっていたところが出たので、その辺はすごく満足しています」と手応えを語る。

「昨年は(コロナで辞退したチームがあったので)2試合でしたが、今年は4試合強い相手とできて、彼らにとってすごく良い経験ができました。今後これをどう生かしていくか。消耗して落ちていくのではなく、しっかりこの経験の上にまた積み上げるものができれば良いと思います」

 いずれの試合も強豪相手に健闘したことを自信とし、モンテディオ山形ユースと激しいプレミアリーグプレーオフ出場権争いを演じるプリンスリーグ東北での戦いに弾みをつけようとしていた。
   
(取材・文 小林健志)

●【特設】第47回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

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