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鹿島旋風の“立役者”曽ヶ端「今度はアジア王者になって帰ってきたい」

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大声で指示を出すGK曽ヶ端準

[12.18 クラブW杯決勝 R・マドリー4-2(延長)鹿島 横浜]

 時間が進むにつれて、集中力が研ぎ澄まされていった。Jクラブ史上初の決勝進出を果たした鹿島アントラーズの立役者、GK曽ヶ端準が決勝戦の120分間で浴びたシュート数は30本。最終的には4失点を喫することになったが、90分まではPKを含める2失点にとどめた。ベテランの守護神は“本当に勝つチャンスがあった試合”でもやはり陰の立役者だった。
 
 前半9分、MFルカ・モドリッチのミドルシュートをパンチングで防いだが、その飛距離が短かったことでFWカリム・ベンゼマに押し込まれ、先制点を奪われた。「弾くところでうまく対応できなかった」。曽ヶ端は悔やんだ。

 けれどそこで気圧されないのが、鹿島一筋19年、下部組織時代を含めると22年間も“勝者のメンタリティー”の中で生きてきた男のなせる技なのだろう。その後の相次ぐCKのピンチに冷静に対応し、守りからリズムを整えていくと、チームは前半44分、カウンター攻撃から最後はMF柴崎岳がゴールを決めて同点に追いついた。

 2-2で迎えた後半36分にはFWクリスティアーノ・ロナウドとの1対1を見事に止め、焦る銀河系軍団から苦悶の表情を引き出した。延長前半8分、DFラインが一瞬の隙を突かれた形でC・ロナウドに勝ち越しゴールを許したのはもったいなかったが、「チャンスも十分にあった中で、タイトルの懸かった試合に負けてしまったのが残念」と悔やむ様子にすら、重厚さがにじみ出ていた。

 世界大会で4試合を経験した。収穫を聞かれると、「難しいゲームを数多く経験できたことは大きかったし、チームが成長できた」と胸を張った。

 今回は開催国枠での出場だったが、UAEで開催される17年、18年大会はACLで優勝しない限り、クラブW杯には出られない。アジアチャンピオンは鹿島にとって悲願のタイトルでもある。「こんな素晴らしい大会を経験できるというのは幸せなこと。ACLでしっかりした戦いをしてチャンピオンになってこの大会に戻ってきたい。頑張ります!」と力強く締めくくった。

(取材・文 矢内由美子)

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