[クラブW杯]柏が120分間の死闘の末にPK戦で勝利!“世界ベスト4”の座をつかみ、次戦は名門サントスと激突!!
[12.11 クラブW杯準々決勝 柏1-1(PK4-3)モンテレイ 豊田ス]
FIFAクラブワールドカップ2011は12日、豊田スタジアムで準々決勝の2試合を行った。第2試合ではJリーグ王者で開催国枠出場の柏レイソルと北中米カリブ海代表のモンテレイ(メキシコ)が激突。柏は先制点を奪ったが追いつかれ、1-1のまま延長、そしてPK戦に突入。柏がPK戦4-3で4強入りを果たした。120分間を超える死闘を制した柏は、14日の準決勝で南米王者のサントス(ブラジル)と対戦する。
柏は8日のオークランド(ニュージーランド)戦で左膝を痛めたDF酒井宏樹の状態が心配されたが、先発を果たした。システムは4-4-2でGKは菅野孝憲、DFラインは右から酒井宏樹、増嶋竜也、近藤直也、橋本和。ダブルボランチは大谷秀和と栗澤僚一が組み、2列目は右にレアンドロ・ドミンゲス、左にジョルジ・ワグネルが入った。2トップは田中順也と工藤壮人が組んだ。
モンテレイは4-4-2を採用。前線は強力な選手が顔を揃えた。2トップはチリ代表FWウンベルト・スアソと元アルゼンチン代表FWセサル・デルガドが組み、2列目左には元アルゼンチン代表MFネリ・カルドソが入った。その他もDFヒムラ・ミエルやMFヘスス・サバラら新旧メキシコ代表がスタメンに名を連ねた。
大方の予想通り、序盤からモンテレイが主導権を握った。開始2分、柏がピンチを迎える。カルドソのスルーパスからスアソに突破を許し、スアソにシュートを打たせなかったが、つながれてデルガドにシュートを打たれた。これはGK菅野が好セーブで防いだが、こぼれ球から再びシュートを打たれた。危なかったが、これも菅野がセーブ。早い時間での失点を何とか防いだ。
その後もモンテレイが巧みなパスさばきで主導権を握る。柏は前半5分、FKのこぼれ球から栗澤が左足で狙ったが、上に外れた。同10分、柏は中盤でボールを奪われ、カルドソにシュートを打たれが、GK菅野の正面だった。そして同15分、柏は再び大ピンチを迎えた。左サイドをデルガドに突破されて速いグラウンダークロスを入れられた。これがうまくスペースを見つけて走り込んだスアソの足元へ。点取り屋は左足で合わせ、会場の柏ファンは悲鳴を挙げたが、幸い柏にとっての左ポストを叩き、失点を免れた。
柏は積極的なプレスでボールを奪い、レアンドロとワグネルにつないでカウンターを仕掛ける作戦をとっていたが、ボールが獲れない。だが、前半も半分を折り返すと、柏も相手の上手さに慣れたのか、対応できるようになった。前半35分、田中のパスからワグネルが左足で強烈ミドル。しかし、わずかに上に外れた。同41分には田中のポストプレーから工藤がシュート。GKの正面だったが、攻撃にリズムが出てきた。そして同46分、決定機を作った。右サイド、工藤のパスから酒井がクロス。ファーサイドに走り込んだ田中がヘディングシュートを放ったが、惜しくも上に外れた。柏は再三のピンチを防いで0-0で折り返すことに成功した。
後半、ともにメンバー変更なくスタートした。立ち上がりの3分、柏がチャンスを作った。酒井が右サイドを駆け上がってクロス。これは相手にクリアされたが、こぼれ球をレアンドロが浮き球で入れ、ワグネルがヘディングで競り勝つ。PA左にこぼれたボールに工藤が左足を振り抜いたが、惜しくも上に外れた。
前半と違い、攻撃にリズムが出てきた柏だったが、後半8分に大きな先制点を奪った。ゴール前に入った浮き球パスにレアンドロが反応。これはキープしきれなかったが、田中順也がうまくかっさらってPA内右に進入。利き足とは反対の右足でクロスを入れると、レアンドロ・ドミンゲスが右足ボレーで沈めて1-0のリードをもたらした。
後半12分には左CKのチャンスで、ワグネルのキックに酒井が飛び込んでドンピシャヘッド! しかし、わずかに上に外れて頭を抱えた。チャンスのあとにはピンチあり。同13分、柏は同点に追いつかれてしまった。縦パス一本で左サイドをデルガドに破られてクロスを入れられ、スアソに押し込まれて今大会初失点を喫した。
だが柏は、集中力が途切れることはなかった。ボールを繋ぐ時間が増え、チャンスも作った。同15分には酒井が右を仕掛けてCKを獲得。レアンドロにキックに、ファーサイドで工藤が反応してヘディングシュート。これは叩きつけすぎてバウンドして上に外れたが、少しずつカウンターでチャンスを作る回数が増えていった。
後半29分、柏はスアソの突破を防ごうとした酒井が左足をつらせて担架でピッチの外へ。その後、ピッチに戻ったが、左膝を痛めているだけに心配の種となった。この時間帯、柏はボールつなぐ時間も増えたが、相手のプレッシャーに苦しみ、パスミスが多く見られた。同33分、柏はモンテレイにショートCKからゴールを割られたが、これはオフサイドの判定となり、運よく失点を免れた。
柏は後半38分、右サイドで栗澤が粘ってつなぎ、左サイドへ展開。最後は橋本の左クロスに田中が頭を合わせたが、ジャストミートできなかった。そして同41分、柏は再びチャンスを迎える。パスをつないで持ち込み、左サイドのワグネルが中央へパス。これをレアンドロがダイレクトではたき、走り込んだ酒井がPA右からミドルシュート。流れの良い攻撃だったが、惜しくも上に外れた。
ロスタイムの2分に突入。同47分、に柏が好機を迎えた。レアンドロが田中にスルーパス。これを右サイドにはたき、酒井がクロスを入れた。相手に跳ね返されたが、レアンドロが拾ってドリブルから右足シュート。勝利を決める劇的ゴールが生まれるかと思ったが、シュートは相手に当たって弱まりGKにキャッチされた。
試合は1-1のまま延長戦に突入した。モンテレイはDFダルビン・チャベスに代えてMFワルテル・アジョビを送り、試合をスタートさせた。延長前半4分、柏は酒井が右サイドを深く突破してグラウンダークロス。ニアで工藤が合わせようとしたが、相手にクリアされた。モンテレイは同7分、FWセルヒオ・サンターナに代えてFWアルド・デニグリスを入れた。さらに同10分、カルドソに代えてDFセルヒオ・ペレスを送り出した。延長前半は共に決め手がなく、同後半に突入した。
柏は延長後半開始、ようやく最初の交代カードを切る。工藤に代えて高さのあるFW林陵平を送り出した。残り約15分とあり、お互いロングボールが増えてくる。だが、ともに最終ラインが固く決定機を作ることはできなかった。延長後半11分、柏がチャンスを迎える。左サイド、橋本のパスに林が抜け出し、田中から中央のレアンドロへパスが出された。司令塔は反転してDFを交わそうとした際、PA手前で相手に倒されたが、ファールはもらえなかった。
柏は交代枠が2つ残っていたが、ネルシーニョ監督は動かない。120分間の戦いを終えて1-1のままでPK戦に突入した。モンテレイが先行だったが、柏のGK菅野孝憲がMFルイス・ペレスのキックをセーブして優位に進めると、そのまま流れに乗って4-3で勝利。昨年はJ2だった柏が“世界ベスト4”という偉業を果たし、念願だったブラジルの名門サントス戦に駒を進めた。
(取材・文 近藤安弘)
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FIFAクラブワールドカップ2011は12日、豊田スタジアムで準々決勝の2試合を行った。第2試合ではJリーグ王者で開催国枠出場の柏レイソルと北中米カリブ海代表のモンテレイ(メキシコ)が激突。柏は先制点を奪ったが追いつかれ、1-1のまま延長、そしてPK戦に突入。柏がPK戦4-3で4強入りを果たした。120分間を超える死闘を制した柏は、14日の準決勝で南米王者のサントス(ブラジル)と対戦する。
柏は8日のオークランド(ニュージーランド)戦で左膝を痛めたDF酒井宏樹の状態が心配されたが、先発を果たした。システムは4-4-2でGKは菅野孝憲、DFラインは右から酒井宏樹、増嶋竜也、近藤直也、橋本和。ダブルボランチは大谷秀和と栗澤僚一が組み、2列目は右にレアンドロ・ドミンゲス、左にジョルジ・ワグネルが入った。2トップは田中順也と工藤壮人が組んだ。
モンテレイは4-4-2を採用。前線は強力な選手が顔を揃えた。2トップはチリ代表FWウンベルト・スアソと元アルゼンチン代表FWセサル・デルガドが組み、2列目左には元アルゼンチン代表MFネリ・カルドソが入った。その他もDFヒムラ・ミエルやMFヘスス・サバラら新旧メキシコ代表がスタメンに名を連ねた。
大方の予想通り、序盤からモンテレイが主導権を握った。開始2分、柏がピンチを迎える。カルドソのスルーパスからスアソに突破を許し、スアソにシュートを打たせなかったが、つながれてデルガドにシュートを打たれた。これはGK菅野が好セーブで防いだが、こぼれ球から再びシュートを打たれた。危なかったが、これも菅野がセーブ。早い時間での失点を何とか防いだ。
その後もモンテレイが巧みなパスさばきで主導権を握る。柏は前半5分、FKのこぼれ球から栗澤が左足で狙ったが、上に外れた。同10分、柏は中盤でボールを奪われ、カルドソにシュートを打たれが、GK菅野の正面だった。そして同15分、柏は再び大ピンチを迎えた。左サイドをデルガドに突破されて速いグラウンダークロスを入れられた。これがうまくスペースを見つけて走り込んだスアソの足元へ。点取り屋は左足で合わせ、会場の柏ファンは悲鳴を挙げたが、幸い柏にとっての左ポストを叩き、失点を免れた。
柏は積極的なプレスでボールを奪い、レアンドロとワグネルにつないでカウンターを仕掛ける作戦をとっていたが、ボールが獲れない。だが、前半も半分を折り返すと、柏も相手の上手さに慣れたのか、対応できるようになった。前半35分、田中のパスからワグネルが左足で強烈ミドル。しかし、わずかに上に外れた。同41分には田中のポストプレーから工藤がシュート。GKの正面だったが、攻撃にリズムが出てきた。そして同46分、決定機を作った。右サイド、工藤のパスから酒井がクロス。ファーサイドに走り込んだ田中がヘディングシュートを放ったが、惜しくも上に外れた。柏は再三のピンチを防いで0-0で折り返すことに成功した。
後半、ともにメンバー変更なくスタートした。立ち上がりの3分、柏がチャンスを作った。酒井が右サイドを駆け上がってクロス。これは相手にクリアされたが、こぼれ球をレアンドロが浮き球で入れ、ワグネルがヘディングで競り勝つ。PA左にこぼれたボールに工藤が左足を振り抜いたが、惜しくも上に外れた。
前半と違い、攻撃にリズムが出てきた柏だったが、後半8分に大きな先制点を奪った。ゴール前に入った浮き球パスにレアンドロが反応。これはキープしきれなかったが、田中順也がうまくかっさらってPA内右に進入。利き足とは反対の右足でクロスを入れると、レアンドロ・ドミンゲスが右足ボレーで沈めて1-0のリードをもたらした。
後半12分には左CKのチャンスで、ワグネルのキックに酒井が飛び込んでドンピシャヘッド! しかし、わずかに上に外れて頭を抱えた。チャンスのあとにはピンチあり。同13分、柏は同点に追いつかれてしまった。縦パス一本で左サイドをデルガドに破られてクロスを入れられ、スアソに押し込まれて今大会初失点を喫した。
だが柏は、集中力が途切れることはなかった。ボールを繋ぐ時間が増え、チャンスも作った。同15分には酒井が右を仕掛けてCKを獲得。レアンドロにキックに、ファーサイドで工藤が反応してヘディングシュート。これは叩きつけすぎてバウンドして上に外れたが、少しずつカウンターでチャンスを作る回数が増えていった。
後半29分、柏はスアソの突破を防ごうとした酒井が左足をつらせて担架でピッチの外へ。その後、ピッチに戻ったが、左膝を痛めているだけに心配の種となった。この時間帯、柏はボールつなぐ時間も増えたが、相手のプレッシャーに苦しみ、パスミスが多く見られた。同33分、柏はモンテレイにショートCKからゴールを割られたが、これはオフサイドの判定となり、運よく失点を免れた。
柏は後半38分、右サイドで栗澤が粘ってつなぎ、左サイドへ展開。最後は橋本の左クロスに田中が頭を合わせたが、ジャストミートできなかった。そして同41分、柏は再びチャンスを迎える。パスをつないで持ち込み、左サイドのワグネルが中央へパス。これをレアンドロがダイレクトではたき、走り込んだ酒井がPA右からミドルシュート。流れの良い攻撃だったが、惜しくも上に外れた。
ロスタイムの2分に突入。同47分、に柏が好機を迎えた。レアンドロが田中にスルーパス。これを右サイドにはたき、酒井がクロスを入れた。相手に跳ね返されたが、レアンドロが拾ってドリブルから右足シュート。勝利を決める劇的ゴールが生まれるかと思ったが、シュートは相手に当たって弱まりGKにキャッチされた。
試合は1-1のまま延長戦に突入した。モンテレイはDFダルビン・チャベスに代えてMFワルテル・アジョビを送り、試合をスタートさせた。延長前半4分、柏は酒井が右サイドを深く突破してグラウンダークロス。ニアで工藤が合わせようとしたが、相手にクリアされた。モンテレイは同7分、FWセルヒオ・サンターナに代えてFWアルド・デニグリスを入れた。さらに同10分、カルドソに代えてDFセルヒオ・ペレスを送り出した。延長前半は共に決め手がなく、同後半に突入した。
柏は延長後半開始、ようやく最初の交代カードを切る。工藤に代えて高さのあるFW林陵平を送り出した。残り約15分とあり、お互いロングボールが増えてくる。だが、ともに最終ラインが固く決定機を作ることはできなかった。延長後半11分、柏がチャンスを迎える。左サイド、橋本のパスに林が抜け出し、田中から中央のレアンドロへパスが出された。司令塔は反転してDFを交わそうとした際、PA手前で相手に倒されたが、ファールはもらえなかった。
柏は交代枠が2つ残っていたが、ネルシーニョ監督は動かない。120分間の戦いを終えて1-1のままでPK戦に突入した。モンテレイが先行だったが、柏のGK菅野孝憲がMFルイス・ペレスのキックをセーブして優位に進めると、そのまま流れに乗って4-3で勝利。昨年はJ2だった柏が“世界ベスト4”という偉業を果たし、念願だったブラジルの名門サントス戦に駒を進めた。
(取材・文 近藤安弘)
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