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[クラブW杯]酒井がサントスからヘディング弾も涼しい顔、「J2の水戸戦以来だったので、すごく嬉しいです」

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[12.14 クラブW杯準決勝 柏1-3サントス 豊田ス]

 ブラジルにネイマールなら、日本には酒井がいる。やはり期待に応える男だ。スケールの大きな仕事を大舞台でやってのけた。柏レイソルのDF酒井宏樹が“世界のゴール”をこじ開けた。0-2の後半9分、左CKのチャンスでMFジョルジ・ワグネルのキックに飛び込んだ。当然、開幕戦で負った左膝負傷は治っていないが、マークをうまくかいくぐり、打点の高いヘディングシュート。ゴール右上に突き刺し、1点差に詰め寄った。酒井が南米王者を慌てさせた。

 日本の、世界のサッカー史に名を刻むゴールだったが、本人は至って“普通”だった。「1点取れればチャンスだったので、取れて良かったです。0-2のスコアは今年の試合で経験していて、そこから逆転してきたチーム。まだやれると思っていたので、早いうちに取れて良かった。強豪から世界大会でゴール? (柏では)J2の水戸戦以来だったので、すごく嬉しいです」。

 大げさに喜ぶことはない。クラブW杯という国際大会で記録したゴールだが、昨年10月のJ2・水戸戦(アウェー)で決めたゴールを思い出す“クール”さを見せた。U-22日本代表では、6月23日のロンドン五輪アジア2次予選、アウェーのクウェート戦でゴールしているが、柏では約1年2か月ぶり。それが嬉しかった。世界大会で決めたという点に、はしゃぐことはしない。マイペースな性格だが、大舞台でも姿勢は変わらなかった。それがプラスに働いたかもしれない。

 対面には、ブラジルの至宝で“ペレ2世”と呼ばれ、あの“メッシを抜く男”としても期待されているFWネイマールがいた。この男を止めることがポイントだったが、いきなり酒井がガツンとかました。前半9分、この日最初のマッチアップが実現したが、酒井はファールで食い止めた。

「ファーストプレーでいけると思われたらヤバイ。理想は普通に獲れるのがよかったけど、そう、うまくは行かないので、ファールで倒しました」。涼しい顔で明かしたが、これが効いたのか、実際にネイマールは酒井のサイドではあまり、決定的な仕事ができなかった。前半19分に技ありゴールを決められたが、PA右サイドでの出来事。酒井が持ち味のフィジカルを活かしてネイマールを苦しめた。ネイマールに試合後、「酒井はいい選手だった」と言わせたほどだ。

 酒井はネイマールについて「足元はほんとにうまいと思ったけど、日本でもうまいドリブラーはいるので。でも、上手いと思いました。一人じゃ、やっぱり難しいと思った。クリさん(栗澤)とか、マスくん(増嶋)がサポートしてくれた。自分一人ではなかなか難しかった」と振り返りつつ、「でも、Jリーグでもそういうふうにしてるので、いつも通りやっただけです。決定的な仕事、ゴール前ではやられましたけど、五分に持っていける時もあった。ほんと、いつも通り戦っただけです」と涼しい表情だった。

 守備だけでなく、攻撃でも魅せた。「前半は、あまり上がらないようにしていた。ネイマールが攻め残っているんで、それが怖かった。機を見て上がるようにした」が、後半は再三、オバーラップしてチャンスを作った。「自分のサイドが空いてたし、レアンドロが崩してくれた。自分一人ではできなかった。Jリーグではレアンドロと崩してきたけど、同じようにそれができて良かった」と1年間、J1で積み上げてきたことが出せ、胸を張った。

 敗れたことは悔しいが、かけがえのない経験になった。「世界のスタープレーヤーと戦えたので、ほんとに経験になった。実際にやってみて凄い選手で、ボールは獲れるときと獲れないときがあった。経験として次に活かしたい。具体的な収穫? 具体的に話して伝えるのは難しいです。自分で感じるところはあったので、活かしたい。これからも、こういう経験ができたらいいなと思います」。まだ21歳の酒井。来年はロンドン五輪予選やA代表での活躍も期待される。サントス戦でのプレーは、改めて世界舞台での活躍を期待させるものとなった。

(取材・文 近藤安弘)

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