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[ぎふ清流国体]三度追いつかれても力で王者ねじ伏せた!福岡が同県史上初の決勝進出!:少年男子準決勝

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[10.3 岐阜国体少年男子準決勝 福岡5-3静岡 飛騨古川V]

 福岡県が王者撃破し、初の決勝進出!! 第67回国民体育大会「ぎふ清流国体」サッカー競技少年男子の部は3日、準決勝を行い、大会連覇を目指す静岡県と福岡県との一戦は延長戦にもつれ込む熱戦の末、福岡が5-3で勝利。初の決勝進出を決めた福岡は4日、初優勝を懸けて兵庫県と対戦する。

 倒れても、倒れても起き上がってくる静岡を力でねじ伏せた。12年ぶりに準決勝進出を果たした福岡は前半2分、右サイドから切り崩すと、3試合連続で2得点を決めているFW中島賢星(東福岡高、1年)の右足シュートのこぼれ球を、FW中井栞吏(東海大五高、2年)が右足ダイレクトでゴールへ押し込んで先制。わずか2分後に静岡MF土居柊太(浜松開誠館高、2年)に同点ゴールを決められたが6分、右サイドから中央へ切れ込んだMF増山朝陽(東福岡高、1年)が右足シュートを叩きこんで再び勝ち越した。

 ボールは静岡が支配したものの、福岡は上手くスペースを消した守りで対抗。それでも背後を狙う前線の選手に正確なボールを配球してくる静岡の前に防波堤を崩されてしまう。32分、静岡は中央のMF西澤健太(清水ユース、1年)が右サイドへ展開すると、右SB及川純平(磐田U-18、1年)がディフェンスラインの背後を取った土居へピンポイントのクロスボール。これを10番が頭でゴールへと押し込んで難なく同点に追いついた。 

 静岡はさらに前半ロスタイムの36分、縦パスで背後へ抜けだしたFW松原后(1年)がGKと1対1に。だがシュート体勢に入った松原はスリップしてしまい、シュートを放つことができない。逆に37分、大きなピンチを逃れた福岡が勝ち越しゴールを奪う。左スローインから縦に仕掛けたFW瓜生昂勢(2年)がタイミング良く中央のMF下園直輝(2年)へつなぐと、「(瓜生は)小学校の頃から一緒にやった経験があって連係が分かっていた。イメージ通りだった。今まで決められていなかったので取り返したかった」という下園が弾丸ミドルをゴール左隅へ突き刺した。

 三度リードを奪われた静岡だが、王者は崩れない。後半8分に準々決勝2ゴールのMF小谷春日(藤枝東高、1年)、15分にMF望月大(清水ユース、1年)を投入すると16分、FKのクイックリスタートから左サイドへサイドチェンジ。これを望月が中央へ折り返すと、走りこんだ西澤が右足で同点ゴールをねじ込んだ。

 追いついた静岡はオープンスペースへボールを運ぶ攻撃から、右の小谷、左の望月の両翼が個人技で切り崩してくる。だが、より精度の高い攻撃を繰り出していたのは福岡の方だった。これまではどちらかというと、アバウトなロングボールを多用していた福岡だが、この日はハーフタイムに森重潤也監督(東福岡高)が「自分たちからつなげるんだ」とメッセージ。ポジショニング良く中盤のスペースでボールを受けると、テンポの良いパスワークで静岡のプレッシャーを剥がし、前線まで正確にボールを運んでくる。22分、24分にはいずれも中島の好パスから瓜生、下園がシュート。36分には中島のスルーパスに反応した交代出場のFW木藤舜介(東福岡高、1年)が決定的な右足シュートにまで持ち込んだ。

 福岡は3-3のまま突入した延長戦でも静岡に飲み込まれない。相手の縦パスをCB山下敬大(九州国際大付高、2年)が冷静なキックで跳ね返した福岡は前半10分、下園が獲得した右FKを左SB岩崎尚将(九州国際大付高、2年)が正確な左足でファーサイドへ蹴りこむ。これを相手DFの上方からCB加奈川凌矢(東福岡高、1年)がヘディングシュート。「クロスバーを越えたかなと思った」という一撃はGKの指先を抜けてゆっくりとゴールネットへ吸い込まれた。東京都との準々決勝で左手中指を骨折しているDFが魂の決勝ゴール。「入ってくれて嬉しかった。チームのために、自分が決めてやろうと思っていた」という背番号4は右手を突き上げて走りだすと、福岡イレブンの青いユニフォームの輪に吸い込まれた。

 静岡は直後に東海予選から8試合連続ゴール中のFW加藤豪(磐田U-18、1年)を投入。反撃に出ると、後半4分には小谷の右クロスから西澤がヘディングシュートを放つなど、必死の形相でゴールへ迫ってくる。だが、山下敬が「しっかり後ろが守って、前が点を取ることができている。負ける気がしなかった」という福岡は交代選手も含めてそれぞれが役割を貫徹。そして、粘る静岡をついにノックアウトする。9分、交代出場のMF末永巧(東福岡高、1年)が中央でのスライディングタックルでボール奪取。すぐさま右前方の中島へつなぐと、エースは木藤とのワンツーで中央突破して右足シュートをゴール左隅へ突き刺した。

 壮絶な打ち合いを制したのは福岡。森重監督が「一人ひとりの仕事がはっきりしている。チームがひとつになっている感じがする」というチームが同県史上初めて国体少年男子決勝のピッチに立つ。この日、20回優勝している王者撃破を果たした下園は「最高です。過去福岡は3位が最高。歴史を変えようとモチベーションが高かった。勝てて良かった」と会心の表情。山下敬は「ここまで来たら優勝しかない。力出しきって勝ちたいです」。福岡の歴史を変えたイレブンが兵庫との決勝を制して、U-16世代の頂点に立つ。

[写真]延長前半10分、福岡DF加奈川が決勝ゴール
(取材・文 吉田太郎)
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