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[選手権予選]「このまま終わるわけにはいかない」山梨学院、6発快勝でV4王手!:山梨

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[11.3 全国高校選手権山梨県大会準決勝 山梨学院6-0甲府城西 中銀スタ]

 第91回全国高校サッカー選手権山梨県大会は3日、準決勝を行い、大会4連覇を狙う山梨学院は甲府城西に6-0で快勝。日本航空との決勝(10日)へ進出した。

「我々は今年、このまま終わるわけにいかない。残された時間をしっかりと使いたい。王者ではない。チャレンジャーだし、何も手にしていない飢えた状態なので、貪欲に戦いたいと思います」。山梨学院の吉永一明監督は試合後、厳しい表情を変えなかった。09年度に全国高校選手権優勝を成し遂げるなど近年、全国トップクラスのチームをつくり上げ、FW白崎凌兵(清水)やFW加部未蘭(北九州)、そして甲府入り内定が発表された中央大GK岡西宏祐とプロ選手を輩出してきた山梨学院。山梨県内では圧倒的な強さを示してきたが、今年は新人戦こそ制したものの、関東大会予選、総体予選はいずれも優勝を逃している。

 間違いなく全国クラスの名門へ近づいている。だが、全国大会に一度も出場していない今年は挑戦者の立場だ。町田ゼルビアへ練習参加しているFW齋藤翔太(3年)が「自分たちは谷間世代と言われている。ズバ抜けた選手はいないけれど、チーム全員で戦うことができている」と話すようにこの日も控え組を含めて全員で戦い、アディショナルタイム突入後も2点を加えるなど最後まで集中力を切らさずに決勝進出の権利を勝ち取った。

 試合は立ち上がりから個々の能力で上回る山梨学院がプッシュ。8分には右サイドで齋藤からのパスを受けたMF山口一真(2年)が強引に甲府城西守備網をこじ開けてPAへ侵入し、そのまま右足を振りぬいて先制ゴールを叩きだす。その後も右の齋藤と左の山口の両ワイドの個人技などから相手を攻め立てた山梨学院だが、個人技で切り崩すことができていたことが悪い方向へ影響したか、やや力任せのサッカーとなってリズムを崩してしまっていた。

 それでも29分、右サイドから逆サイドへ展開すると、縦に仕掛けたSB石塚紀貴(2年)のクロスを齋藤が頭で合わせて2-0とリードを広げる。一方、応援席の後押しを受けて戦う甲府城西は前半だけでシュート13本を放たれながらも耐えたGK川村夏輝(3年)中心に士気を落とさずに守ると、正確なパス交換で自陣からビルドアップ。MF山中真輝人(3年)の左足FKがゴールを脅かすなど反撃する。後半もFW狐塚悠(1年)の豪快なドリブル突破などスタンドを沸かせる場面があった。

 だが毛利駿也と樋口竜也の2年生ボランチコンビを中心に終始優勢に試合を進めていた山梨学院は、後半9分に山口が右足シュートをゴールへ突き刺して3点差とすると、21分には樋口の左CKをCB平田葵一(3年)が頭でゴールへ突き刺して4-0。1点を奪おうとする甲府城西を後半シュートゼロに抑えたチームは、アディショナルタイム突入後の41分、石塚からのパスを受けたFW名嘉真朝季(3年)が弾丸ミドルをゴール右隅へ突き刺す。さらに42分にも果敢なプレッシャーからPAでインターセプトした名嘉真のラストパスを交代出場のMF椚仁徳(3年)が難なく押し込んでゴールラッシュを締めた。

 準々決勝から登場した山梨学院は初戦が2-0、この日も6-0と危なげない戦いぶりで決勝進出を決めた。だがゴール前でのテンポの悪さなど課題を残した。指揮官も「今のままじゃ勝てない。もう一つギアを上げて、チームとしてしっかりと戦えるようにしたい」と決勝を見据えて厳しい言葉を並べていた。

 ただし斎藤が「4連覇がかかっている。先輩たちの積み上げてきたものを崩すわけにはいかない」と話すなど、選手たちにも気の緩みはない。流動的な崩しから相手の隙を的確に突く技術があり、覚醒しつつある山口と斎藤の両翼の攻撃力など全国でも十分に通用するレベルにあることは間違いない。今年1年間の悔しさを挑戦者として決勝にぶつけ、名門としての“ノルマ”を果たすことができるか。最後方からチームを鼓舞するGK山田純平主将(3年)は「自分たちのサッカーができれば大丈夫。相手は関係ない。自分たちのサッカーで勝つ。まずは来週勝って全国へいく」ときっぱり。選手権で何としても全国へ。このまま終わるつもりはない。

[写真]前半29分、FW斎藤(左端)がヘディングシュートをゴールへ叩き込む

(取材・文 吉田太郎)

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