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[選手権予選]全国V候補の桐光学園、決勝進出も「ここ数年で一番悪い試合」:神奈川準決勝

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[11.4 全国高校選手権神奈川県大会準決勝 桐光学園1-0日大藤沢 等々力]

 第91回全国高校サッカー選手権神奈川県大会は4日、準決勝を行い、2連覇を狙う桐光学園と日大藤沢との一戦はMF菅本岳(3年)の決勝ゴールによって桐光学園が1-0で勝った。桐光学園は10日の決勝で座間と対戦する。

「今季、いや、ここ数年で1番悪いゲーム。プリンスリーグでこのサッカーしたら毎試合5失点以上する」。佐熊裕和監督が厳しい言葉を投げかけ、ゲーム主将を務めたSB大田隼輔(3年)は「相手云々よりも自分たちのサッカーがチグハグ。普段の甘さが出た。(試合後の選手ミーティングで)グラウンドの中だけでなく、オン、オフのところを自覚を持ってやろうということを言いました」と引き締めた。

 日本クラブユース選手権(U-18)大会優勝の柏U-18、同準優勝の横浜FMユース、F東京U-18、市立船橋など強豪居並ぶプリンスリーグ関東1部で首位に立っている今年、桐光学園は全国大会に出場すれば有力な優勝候補のひとつになると言えるほどの実力を持っている。この日も前半7分、中央から仕掛けた同リーグ得点ランキング首位のFW野路貴之(3年)が「自分にDFが来ていなかった。自分も行けるし。(右前方の)菅本も行ける状態。より確率の高い方を選択した」と菅本へスルーパスを出すと、これを菅本が右足でゴールへと突き刺して先制した。

 その後も長短のパスから野路とFW市森康平(3年)の強力2トップを活かした攻撃を見せる桐光学園だが、試合の主導権を握ったのは日大藤沢の方だった。桐光学園は気の緩みがあったか、守備時の出足やパスコースの切り方に甘さが出て後手を踏む場面の連続。中盤で存在感を放つMF廣瀬圭主将(3年)やMF平信翔太(2年)を起点とした攻撃から、角度をつけたパスでボールを動かす日大藤沢にシュートまで持ち込まれてしまう。

 日大藤沢は両翼に入ったFW鈴木陽士(3年)とFW立石智也(3年)が個人技も活かして、ゴールへ迫る。16分には左サイドから仕掛けた鈴木が左足シュート。26分には平信の右足ミドルがゴール右ポストを叩いた。そして34分にはPAのこぼれ球に反応した立石が詰める。桐光学園はGK長津大裕(2年)の好守などによって救われたものの、流れの悪いまま前半を終えてしまう。

 後半、桐光学園は左MF橋本裕貴(3年)を中央へ移すなど守備体形を整えるが、1点を追う日大藤沢の攻勢は止まらない。4分に廣瀬が左足ミドルを放つと、15分にはダイナミックなオーバーラップを繰り返していた左SB八木沢丸位(3年)のラストパスから決定機を迎える。そして12分にはゴール正面でDF3人をかわした廣瀬がゴール至近距離から決定的な右足シュート。だが正面を突いたボールはGK長津の好反応によって阻まれて同点に追いつくことができない。

 日大藤沢は国体神奈川選抜で10番を背負った1年生FW田場ディエゴを投入するなど、選手を入れ替えながら桐光学園に食い下がる。26分には田場がファーストプレーでDFをかわし、サイドチェンジで得点機をもたらすが、足を攣らせる選手が続出した終盤に失速。桐光学園は右サイドでフリーとなった菅本や司令塔・松井修平(3年)を軸に相手を仕留めようとするが、38分に松井の決定的なラストパスに走りこんだFW植木隆之輔(2年)のシュートが枠を外れるなど2点目を奪うことができない。終盤は危なげない戦いを見せ、勝負強さを示したものの、選手たちの表情に明るさはなかった。

 主導権を握ることができず、隙のあった試合を終えた佐熊監督は「(決勝へ向けて)どうチームで変わるか。今週末の試合はもっといい状態でできると思う」。昨年も準決勝で終盤完全に押し込まれるなど悪い内容ながら、決勝までに切り替えてタイトルを勝ち取った。大田は「昨年の先輩は次の週から目の色を変えてやって全国へ行った。その背中を見ている。今まで以上にやりたい」。野路は「きょうは自分たちの甘さが一番出た試合。(プリンスリーグでは)勝っているけれど、自分たちが強いとは思っていない。次、しっかりいい準備をして自分は点を貪欲に狙って行きたい」。目標は県制覇ではなく全国制覇。不甲斐なかった試合を反省し、自分たちのサッカーでしっかりと全国切符を勝ち取る。

[写真]桐光学園は菅本の決勝ゴールで勝利も不満残る内容に

(取材・文 吉田太郎)
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