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[プレミアリーグ参入戦]“戦うエリート軍団”JFAアカデミー福島が「最短」4年でプレミアリーグ昇格決定!

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高円宮杯U-18サッカーリーグ2012プレミアリーグ参入戦
[12.15 プレミアリーグ参入戦 JFAアカデミー福島4-0広島皆実高 埼玉第3G]

 高校年代の全国リーグ、高円宮杯U-18サッカーリーグ チャンピオンシップ プレミアリーグ参入戦が15日に行われ、プリンスリーグ東北1部優勝のJFAアカデミー福島(福島)と同中国1部優勝の広島皆実高(広島)との一戦は、JFAアカデミー福島がFW金子翔太(2年)の2ゴールなど4-0で快勝し、来季のプレミアリーグ昇格を決めた。

 U-18福島県サッカーリーグ2部に初参戦した09年からわずか4年。JFAアカデミー福島が“最短”で全国リーグへ昇格した。試合後は応援に駆けつけていたU-18チームの控え選手、U-15チームの選手たちとともに喜びを爆発。大分トリニータ加入内定のU-19日本代表MF松本昌也(3年)は「気合は凄い入っていたので、絶対に負けたくないという気持ちでした。勝ちたいと思って、ずっとこれに向けて調整してきました。(選手たちは)気持ちの面でもタフになったと思います」と胸を張った。

 ともにポゼッションを持ち味とする広島皆実との“埼玉決戦”は意外な形から先制点が生まれた。前半12分、広島皆実GKのミスパスを右サイドでインターセプトしたMF小池龍太(2年)がドリブルで切れ込んでラストパス。これを金子が右足ダイレクトで決めて先制した。MF高岡大翼(2年)とMF田中崚平(3年)、MF東森翔大(3年)が中盤で上手くパス交換しながら攻めていた広島皆実にとっては流れの良かった時間帯で痛恨の失点。このあとは非常に利いていたMF橋田慎太郎(2年)とMF飯干雄斗(3年)のJFAアカデミー福島のダブルボランチが広島皆実の攻撃を完全に封鎖した。

 広島皆実は自陣から徹底してボールを動かしていたが、アタッキングサードに入る前にボールを失うと簡単に自陣へと押し返された。その悪循環から脱することができずに前半はシュートわずか1本。一方、JFAアカデミー福島は攻撃から守備への非常に速い切り替えで相手をPAにも近づけていなかったが、攻撃面では攻め切れずに内容のいい前半ではなかった。だが、後半11分、右サイドからのクロスボールをファーサイドの金子が中央へ折り返すと、FW平岡将豪(2年)のヘディングシュートのこぼれ球をCB平澤俊輔主将(3年)がワンタッチで押し込んで2-0へとリードを広げた。

 突き放されてしまった広島皆実も11分に右サイドからのラストパスをFW松枝功起(3年)が決定的な右足シュート。さらに19分には東森、21分には交代出場のFW安部誠太郎(2年)が流れのいい攻撃からフィニッシュへと持ち込んだ。運動量の落ち始めた相手を押し込んでいた広島皆実だが、次の1点を奪ったのは再びJFAアカデミー福島だった。後半26分、インターセプトした平澤が左サイドを駆け上がってラストパス。これを平岡がダイレクトでゴール右隅へ沈めて3-0とした。

 広島皆実は最後まであきらめずに攻める姿勢を見せていたが、それ以上のパワーを持ってゴールへ迫っていたのがJFAアカデミー福島。主将の平澤は「ここ最近、あまり気持ちの入った試合はできていませんでした。でもきょうは3年生が最後だし、お互いが声を出し合って、一体感を出していこうといっていました。今までで一番気合が入っていたと思います」と振り返っていたが、無尽蔵とも言えるスタミナで金子と小池が前線を駆けまわると、点差がついても気を緩めることなく相手ボールに襲いかかる。後半アディショナルタイムには交代出場のファジアーノ岡山加入内定MF幡野貴紀(3年)のスルーパスで抜けだした金子がこの日2点目のゴールを決めてダメ押した。

 日本サッカー協会技術委員会、スポーツ医学委員会などによる、メディカル、栄養、フィジカル、テクニカル等、最高のサポート環境の中、成長してきたエリート軍団。この日もそのテクニックの高さを駆使したパスワーク、非常に速い攻守の切り替えなどを披露していたが、最も印象的だったのは苦しい時間帯に見せた戦う姿勢だ。試合終盤は足を攣らせる選手が続出していたが、それでもそれぞれが最後まで役割を徹底して走り切った。平澤は「もちろん、ボクらが目指しているのはエリートであって、周りではよく『エリートのいい子ちゃん』と言われるんですけど、サッカー選手として、エリートというものは戦う気持ちだったりが必要だと思います。そういったところで、きょうはいいところが見せれたんじゃないかと思います」

 来季、初参戦するプレミアリーグへ向けて中田康人監督は「アカデミーでやっていることはテクニック重視のところなんですけど、ある時期、テクニックを重視しているときになかなか背後をつけないことがあった。やはり、本当にチャンスがあればいつでも狙っているよ、ということ出していきたい。テクニックはもちろんなんですけど、判断というか、サッカーはゴールを奪うことが一番の目的なんだというところからの逆算を我々ではなく子どもたちがプレーの中でできるように。これ(きょうの勝利)で上がることができた。厳しい中で十数試合できるということは彼らにとっても大きな財産になってくると思います」。来季最大の注目チーム、JFAアカデミー福島。“闘争心を備えたエリート”たちは来季、全国リーグでどのような戦いを見せるか。

(取材・文 吉田太郎)
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