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[大学選手権]工藤4発!夏の王者・阪南大、圧巻7ゴールでJ内定5選手の中央大撃破!!

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[12.22 大学選手権準々決勝 中央大1-7阪南大 川口]

 平成24年度 第61回全日本大学サッカー選手権大会は22日、準々決勝を行い、今夏の総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント優勝の阪南大(関西1)とMF六平光成(4年=前橋育英高、清水エスパルス内定)らJ内定5選手を擁する中央大(関東4)との一戦は、FW工藤光輝(3年=札幌U-18)が前半だけでハットトリックを達成するなど阪南大が7-1で快勝した。夏冬連続日本一へあと2勝とした阪南大は、24日の準決勝で福岡大(九州1)と対戦する。

 注目対決は試合開始直後に放った3発の強烈パンチで阪南大が大きく流れを傾けた。まずは5分、工藤のスルーパスから全日本大学選抜MF泉澤仁(3年=新潟ユース)が抜け出す。これはGK岡西宏祐(4年=山梨学院高、ヴァンフォーレ甲府内定)に阻まれたが、こぼれ球をつなぐと、泉澤の右クロスをニアサイドへ飛び込んだ工藤が頭でゴールへ押し込んだ。

 阪南大はさらに7分、泉澤の右クロスを工藤が左足ダイレクトでゴールへと沈める。相手SBが攻め上がった背後や、SBとCBのギャップを的確に突く阪南大は10分にも全日本大学選抜の左SB二見宏志(3年=奈良育英高)のラストパスを工藤がワンタッチで合わせる。GKに当たってゴールエリアにこぼれたボールをMF河田篤秀(2年=阪南大高)が詰めて3-0とした。

 この日はチームのカギを握るMF窪田良(3年=東京Vユース)とMF谷本泰基(4年=広島皆実高)のダブルボランチが揃って欠場。関西リーグアシスト王(18アシスト)の攻撃的MF、可児壮隆(3年=川崎F U-18)をボランチで起用し、CFの河田を左MFに配置するなど苦しい布陣だった。ただ須佐徹太郎監督は「ボランチの弱いところを前の強さで補うことができた。一か八かの作戦でした」とニンマリ。わずか10分間で3点のアドバンテージを得た。

 まさかの出だしとなった中大だが21分、FW砂川優太郎(2年=広島ユース)の右FKをファーサイドのCB安田隆(4年=三菱養和SCユース)が頭で合わせて1-3。これで追撃を開始した中大は抜群のボールコントロールで「違い」を生み出す六平や変化をつけた動きからスペースをつくFW奥山慎主将(4年=帝京高)、右サイドで力強いドリブルを見せるSB今井智基(4年=大宮ユース、大宮アルディージャ内定)を中心に攻めると、30分、33分とFW安柄俊(4年=東京朝鮮高、川崎フロンターレ内定)が強烈なシュートへ持ち込む。そして37分には相手のわずかな隙を逃さなかった六平のスルーパスから、絶妙なトラップをした安が一気に抜け出す。だがこの1対1を阪南大GK原田直樹(3年=広島観音高)がストップする。「あれを止めるから原田」と指揮官も絶賛した相手の流れを止めるビッグプレー。完全に主導権を握っていた中大だったが、相手守護神の好守によって良い流れを止められてしまった。

 阪南大は逆に45分、右サイドでFW小池恭一(4年=佐賀東高)がタメをつくり、これを追い抜いた右SB飯尾竜太朗(4年=神戸U-18)がクロスボール。DFを振りきってニアサイドへ飛び込んだ工藤が完璧なヘッドでハットトリックを達成する。再び3点差とされた中大は後半、ボールを保持している時間こそ上回っていたが、阪南大のプレスの前にミスが増えて点差を縮めることができない。

 阪南大は後半19分、泉澤の右クロスを工藤が右足ダイレクトでゴールへ沈めて5-1。完全に落胆した中大に対してさらに攻めると、26分には二見が獲得したPKを可児が左隅へ沈め、31分にも可児の右CKから最後は二見が右足でゴール左隅へ決めて7-1で大勝した。関西から上京して今大会に臨んでいる阪南大だが、指揮官が「常にボーっとさせない。バスで送ってもらってハイ練習というのではなく」と説明する方針で、練習場に行くのも、ウェートトレーニングをするのも全て徒歩と電車移動。食事もチームで準備するのではなく、選手たち自身に取りに行かせることで環境の変化に自分たちで適応させている。選手たちもポジティブに対応したことでリズムよく2試合を終えた。主将の飯尾は「中央大はプロ5人で結構強いのは分かっていたんですけれど、勝てると思っていたし、気持ちの部分で上回ることができた」と会心の表情を見せた。

 過去5年で3度関西1部リーグを制している関西の雄も昨年はリーグ戦で7位に沈み、総理大臣杯も1回戦で敗退した。ただ飯尾は「先輩がやろうといたことを上手く積み重ねている。負けていることが人ごとにならずにみんなが危機感を持ってやってきた。初戦が大切とか、1試合1試合最後の最後まで流れがわからへんとか、先輩から学んで積み重ねてきた。それが結果として出ているのは間違い無いと思います。夏取ってからは夏冬連覇して今年終わる、(リーグ戦も含めて)3冠というのを目標としてやってきたので一戦一戦、いい準備して一丸で頑張りたいです」。MF梁勇基(現仙台)を擁した03年度以来となる4強進出。夏冬全国連覇へ力強い歩みを見せている阪南大が準決勝で福岡大の壁も突破する。

[写真]4ゴールを決めた工藤(左)の大活躍など、阪南大が7発勝利

(取材・文 吉田太郎)
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