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[MOM716]立正大淞南FW田路大樹(3年)_骨折の「相方」に託されたキャプテンマーク

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 八千代1-7立正大淞南 フクアリ]

 無念の離脱を強いられた「相方」の分まで戦った。立正大淞南(島根)のFW田路大樹(3年)はキャプテンマークを巻いてプレー。大会直前の練習試合で鎖骨を骨折し、最後の全国選手権出場が夢に消えたエースのFW林大貴主将(3年)から託されたものだった。

 島根県予選5試合で55得点を量産した攻撃陣を2トップとして牽引してきた田路と林。林がケガをしたその日に「任せた」とキャプテンを託された。「2年半ずっと相方としてやってきて、最後の最後にケガをしてしまった。林の仕事を自分がやって、林の思いも乗せてやろうと思った」。最後は選手ミーティングで田路が自ら手を上げ、キャプテンとして選手権に臨むことが決まった。

 1-0の前半21分、前線からMF隅田竜太(3年)がプレッシャーをかけ、こぼれ球に素早く反応した田路が左足で追加点。3-0で折り返した後半には林に代わって先発したFW坂口健太(3年)がハットトリックを達成した。林がベガルタ仙台の練習に参加していた時期などは田路と坂口が2トップを組むこともあった。「春先とかは坂口と2トップを組んでいたし、戸惑いはなかった」と話す田路。後半23分、坂口の3点目は左サイドを抜け出した田路のクロスに合わせる形で生まれた。

 6-1の後半25分には右CKから隅田のショートコーナーを坂口がスルー。田路がヒールで落とし、DF甲斐健太郎(3年)が右足で蹴り込んだ。南健司監督が「必殺技」と話すトリックプレーだったが、坂口を含めた選手間の阿吽の呼吸が生み出したダメ押しゴールだった。

「(林がケガをして)最初は全員落ち込んでいたけど、すぐに切り替えて、林がいない分、全員が『俺がやらなきゃ』という気持ちでいる。だれが出てもやってくれると信じていた」

 試合後はロッカールームで林と顔を合わせた田路。「林も全然満足していない顔だった。『切り替えて、次も頼むぞ』と」。そう言って林とのやり取りを明かした新キャプテンは「大会前から1試合1点取ることを目標にしていた。まだ満足していない。チームが一番苦しいときに点を取って、チームを助けたい」と、3日の3回戦・旭川実戦へ気持ちを切り替えていた。

(取材・文 西山紘平)

【特設】高校選手権2012
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ

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