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「しっかりと勝ち切る力を」逸材揃う全日本大学選抜がドイツ・韓国遠征へ

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 今夏のユニバーシアード(ロシア)で金メダル獲得を目指す全日本大学選抜が14日からドイツ・韓国遠征を行い、24日には韓国・安養総合運動場で韓国大学選抜とDENSO CUP SOCCER第10回大学日韓(韓日)定期戦を戦う。

 遠征出発前日の13日には千葉県の順天堂大学さくらキャンパスでフィジカル測定を実施。関東地方各地で吹き荒れた強烈な南風の影響でグラウンドで実施予定の測定が体育館へ変更されるアクシデントもあったが、選手たちは負荷の強い測定もチームメートを笑顔で鼓舞しながらメニューを進めていた。最後のメニューとなったYo-Yo テスト(シャトルラン)ではGK・DF組でDF廣木雄磨(東京学芸大2年=F東京U-18)が最も多く本数をこなし、MF・FW組ではMF長澤和輝(3年=八千代高)、MF下田北斗(3年=大清水高)、FW仲川輝人(2年=川崎F U-18)の専修大トリオが最後まで残って走り続けるなど周囲を沸かせていた。

 今回のドイツ・韓国遠征はユニバーシアードへ向けて重要な準備期間となる。すでにJクラブによる争奪戦が報じられている長澤とFW赤崎秀平(筑波大3年=佐賀東高)をはじめ、新4年生ではMF谷口彰悟(筑波大3年=大津高)やFW泉澤仁(阪南大3年=新潟ユース)、GK藤嶋栄介(福岡大3年=大津高)ら、現下級生にも仲川やMF武藤嘉紀(慶應義塾大2年=F東京U-18)ら前線からGKまで、進路を注目されるタレントたちの名が並ぶ。特に昨季の関東1部リーグ得点王・赤崎と同リーグで2桁の得点&アシストを記録している長澤と仲川ら攻撃陣に関しては金メダルを獲得した前回の11年大会メンバー以上という声もある。

 ただ、今月初旬に行われた地域選抜の全国大会、デンソーカップチャレンジ島原大会では優勝候補の筆頭に挙げられながらも準決勝で関西選抜に1-2で敗戦。それだけにチームリーダーの長澤は「デンソーカップチャレンジでこのチームは3位で勝てなかったり、その前にもプロのセレッソとやって0-6で負けたりと、チームとしての完成はできていないな、と感じている。(ユニバーシアード前には)ロシアでの事前キャンプがありますが、強化としての海外遠征は今回が最後。身体がデカくて足が長い、本番のユニバで戦うような相手を想定してできるのは、日本じゃなくてやっぱり海外遠征の機会で、今回はユニバに向けての仕上げの部分になる。守備の面であったり、もちろん攻撃面のパスワークの部分もそうですけど、まだまだすり合わせていかなければいけない部分が多いと感じています」と力を込めた。

 ドイツキャンプでは本番を想定した相手と3試合の対外試合を予定。そして今合宿の集大成となるのが、日韓戦だ。昨年、国立競技場で行われた日韓戦では延長後半終了間際に泉澤が決めた決勝ゴールによって2-1で競り勝った。ただ過去4度のアウェー戦の成績は1分3敗。今回はアウェー戦勝利が“使命”となっている。2年前のアウェー戦を経験している赤崎は「技術的な部分では前回よりも高いと思うし、でもデンソーで負けてしまったようにタフな試合になった時にどこまでできるのかな、どこまで戦える人がいるのかな、というところが不安材料。(日韓戦は)ホームでやるのとアウェーでやるのは全然雰囲気が違うと思う。前回のアウェーでの日韓戦は相手との力関係では上回っていたと思うんですけど、結果としては引き分けだった。しっかりと勝ち切る力がないとユニバでは優勝できないと思いますし、そういうところをドイツでの練習試合でもしっかりと突き詰めてきたいと思います」と語った。

 充実した戦力には自信がある。あとはその力をそれぞれがどれだけ引き出し、また本人がピッチ上で表現できるか。「学生スポーツの祭典」ユニバ―シアードについて「(大学サッカーで)自分たちを育ててもらった恩返しができればと思います」と口にする長澤は、今回の海外遠征へ向けて「チーム全体として個のレベルは本当に高いと思います。(ただし)個のレベルも大切ですけど、チームとして一人ひとりの力を足して1+1が2ではなくて、もっとプラスになるようなチームになればと思います。しっかり監督の目指すサッカーを自分たちが体現して、試合後に手応えの残るようなゲームができて、なおかつしっかり点を決めて勝てればいいかなと思います」と宣言した。逸材たちがアウェーでライバルを撃破してユニバ連覇へ弾みをつける。

(取材・文 吉田太郎)

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