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元F東京指揮官、倉又新監督就任の日本体育大が開幕3連勝!!:関東1部

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[4.20 関東大学リーグ1部第3節 日本体育大3-1東洋大 夢の島]

 第87回関東大学サッカーリーグ戦1部第3節が20日に行われ、開幕2連勝中の日本体育大と昇格組の東洋大との一戦はFW田中豪紀(4年=三菱養和SCユース)の先制ゴールなど前半に3点を奪った日体大が3-1で勝った。

 14年ぶりに1部へ復帰した昨季、終盤戦の4連敗でリーグ5位に終わったものの、最後まで全日本大学選手権(インカレ)出場を争った日体大は、昨季まで指揮を執っていた鈴木政一前監督が今年2月、U-18日本代表監督に就任。F東京トップチームの指揮を執った経歴も持つ後任の倉又寿雄監督は開幕直前の3月26日からチームを指導とまだ短期間の体制ではあるが、それでも主将のMF稲垣祥(4年=帝京高)が「鈴木さんが(開幕)2週間前くらいまでいたんですよ。そこまで遠征通して凄くいい感じでできていた。鈴木さんも凄く手応えを感じてくれていたし、それをある程度継続してやれば良いスタートを切れるんじゃないかなと思っていた。そして(倉又監督のスタイルも)間違いなくプラスになっています。(攻守のバランスなど)鈴木さんのいいところが継続されつつ、倉さんの切り替えを速く徹底しろとか、ハードワークのところとか、今までオレらになかったものがプラスされているのでそれがいい方向になっている」と説明した日体大は、充実の内容で開幕3連勝を果たした。

 この日は前半に勝負の行方を大きく傾けた。ポゼッションから組み立ててくる東洋大の攻撃をコンパクトな守りで封鎖すると、DF間で上手くボールを受ける田中を起点としたサイド攻撃が機能。前半10分、左サイドから切れ込んだFW北脇健慈(4年=東京Vユース)のシュートのこぼれ球をポジショニング良く詰めていた田中が左足でゲットすると、22分には自陣で相手のファーストディフェンスをかわした右SB川田正人(3年=三菱養和SCユース)を起点に中央の田中が右サイドを駆け上がったMF梅村徹(4年=野洲高)へスルーパスを通す。そして梅村の絶妙なクロスボールをファーサイドの左MF阿部潤(3年=矢板中央高)が左足ボレーで豪快にゴールへと突き刺した。

 東洋大はFW黒須大輔(4年=習志野高)を中心にスピードのある3トップへ素早く展開するなど相手を押し返そうとするが、前半の日体大はほぼ完ぺきなパフォーマンス。突破力も備える東洋大攻撃陣を稲垣や全日本大学選抜CB菊地俊介(4年=伊奈学園総合高)中心にシュートゼロに封じると、38分には再びサイドから崩し、最後は北脇が左足シュートをゴール左隅へ叩き込んだ。過去の2試合はいずれも前半を0-0で終えて後半のゴールで競り勝ったもの。稲垣は「前半はパーフェクトに近い。守備が安定するのはいつも通りなんですけど、攻撃もしっかり連動して動けたり、開いたスペースへ走りこめたりとか、凄くみんなでやれていた。今まであまりない展開ですね、前半3-0は。自分たちはそんなに慣れていないので、ハーフタイムには『これヤバイぞ』と」と苦笑いしていたが、チームは後半も安定していた。

 ただ、初の1部挑戦ながら開幕戦で昨季2位の明治大を破っている東洋大も後半に巻き返す。後半開始から主将のMF年森勝哉(4年=F東京U-18)と俊足FW川森有真(3年=広島ユース)を同時投入した東洋大は、チームを鼓舞する年森の正確なパスと3トップの中央に入った川森の推進力を軸に押し返すと17分、年森のギャップを突くスルーパスに走りこんだ川森がPKを獲得。これを川森が右足でゴール左隅へ流し込んで2点差とした。

 これで勇気を増した東洋大だが、攻守の切り替えが速く、球際も激しい日体大守備陣を崩すことができない。日体大は中盤で稲垣やMF石井晃樹(4年=千葉国際高)が中盤で何度も相手ボールをつついていたほか、相手が下げたボールには北脇を先頭に猛烈なプレッシャーをかけていく。パワーを持ってPAに入ることができない東洋大は後半34分に高校選手権得点王の日本高校選抜MF仙頭啓矢(1年=京都橘高)をピッチへ送り出したが、その3分後に黒須が2枚目の警告を受けて退場。数的不利となったチームは追撃をすることができず1勝2敗となった。キーマンであるMF石川俊輝(4年=大宮ユース)が負傷による不在で、苦しい陣容となっている東洋大。だが、古川毅監督が「(1部は)初めてですし、下を向いている場合ではない」と語ったように苦い経験を今後の糧にしていく。

 一方、日体大は昨年あと一歩で逃したインカレ出場へ最高のスタートを切った。倉又監督は、11年に退任するまでF東京U-18を毎年のように全国決勝の舞台へ導いていた指揮官。高校時代から知る選手も多いチームを「今は後ろからやっていますね。あと、切り替えのところとか絶対に意識しないといけない。彼らが成長して上に行った時に絶対に必要になってくる。去年も失点は26点で一番少なかったんですけど、前半戦できていても最終的に失点している。セットプレーで失点したり、焦れて飛び込んで失点したり。本当に勝負するところと、今は行かなくていいようなところとか、駆け引きのところも含めてまずは守備全体のところから入っていっている」とより守備の強力なチームにしつつある。先制弾の田中は「鈴木監督が今までやってきたものを変えずに、なおかつ倉さんのものをプラスと考えていた。選手も戸惑いなくやれている。倉さんも結構、熱入っています」と微笑。今年は新指揮官の下、チームとしてさらに成長しながら、全国切符という成果も手にする。

[写真]倉又新監督(左端)の下、日体大は会心の勝利で開幕3連勝

(取材・文 吉田太郎)

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