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[プレミアリーグEAST]東京VユースがプレミアEAST21戦ぶり黒星!名門・静岡学園が藤村V弾で技巧派対決制す!!

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[4.21 高円宮杯プレミアリーグEAST第3節 東京Vユース0-1静岡学園高 ヴェルディグラウンド]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2013 プレミアリーグEASTは21日、第3節を行い、静岡学園高(静岡)が交代出場のFW藤村皓(3年)の決勝ゴールによって連覇を狙う東京ヴェルディユース(東京)に1-0で勝った。静岡学園は開幕戦で逆転勝ちした清水ユース戦に続くJクラブユース撃破で4位浮上。一方、東京Vは11年度最終節以来、21戦ぶりとなるプレミアリーグEASTでの敗戦を喫した。

 昨年、14勝4分と無敗でプレミアリーグEASTを制した王者・東京Vに静岡の技巧派軍団・静学が黒星をつけた。ともに展開を読みながらボールを大事に保持し、自陣からゆっくりと攻撃を組み立てるスローテンポな戦い。それぞれの個がキープ力の高さを発揮し、球際の激しさ、献身的な守備も見せ合う好ゲームとなった。静岡学園は川口修監督が「今年いいのは一回失敗したら学習できるところ。CBの2人は急成長した。(青森)山田との試合も真ん中は良かった。エスパルス戦なんてガタガタだったからね」と評する吉田健長島來雅(ともに3年)の両CBがカバーリングよくボールを奪うと、相手のファーストディフェンスを確実に外す技術の高さを披露。“静学らしい”技巧派CBコンビはプレッシャーを全く苦にせず相手の逆を取ってショートパスでボールを前へ進めていく。

 徹底したショートパスからタッチライン際に張った左の10番FW米田隼也や右FW高原正旭(ともに3年)までボールを運ぶと、「(自分の武器は)ドリブルから右も左もシュートが打てるところ」という米田らのドリブル、スルーパス、ヒールパスを交えて局面の攻略を図った。チームは中盤の核であるMF須藤駿介(3年)が負傷した1月以来となるベンチ入りを果たしたものの、数日前に練習復帰したばかりで、強力アタッカーMF原田鉄平(3年)は長期離脱中。キーマン2人が不在だったチームは、中盤の突破力を欠いて迫力ある攻撃を展開することはできなかった。それでも「去年の開幕戦のヴェルディ戦は運動量が少なすぎてボールを触ることもできなかった」と指揮官が説明した昨年から大きな変化を見せる。ボールを失った瞬間にMF望月勇哉(3年)とMF石渡旭(2年)のダブルボランチ中心に厳しいプレッシャーをかける守備が効果を発揮。ボールを何度も奪い返して攻撃回数を増やすと、右サイドでは抜群の運動量と突破力を見せてDFの背後を取るSB手塚朋克主将(3年)が存在感を発揮していた。

 一方、東京Vは足首にケガを抱えるU-18日本代表候補FW菅嶋弘希と10番MF澤井直人(ともに3年)が先発を外れたが、トレーニングでより良いパフォーマンスをしてきたという選手たちが静岡学園に圧力をかけた。司令塔のMF山口陽一朗(3年)を中心にボールを動かすと、タイミング良く右サイドから飛び出すMF安西幸輝主将(3年)にいい形でボールが入ってくる。またU-18日本代表DF畠中槙之輔(3年)ら3バックはいずれも1本のパスで局面を変える力を兼備。ミスも少なくなかったが、スイッチを入れた時に決定機まで持ち込む技術はさすが。22分にはスルーパスに反応した安西の右クロスにFW室町仁紀(2年)が決定的な形で飛び込み、35分にはCB三竿健斗(2年)の絶妙な縦パスからPAへ走りこんだ室町の左足シュートがゴール右ポストをかすめた。

 東京Vは後半開始から澤井を、11分には菅嶋を投入。後半開始直後には澤井の展開から安西が出した決定的なラストパスにファーサイドからMF安在達弥(2年)が飛び込むなど攻撃時の怖さを増していった。だが、試合の流れを掴んでいたのはこちらも選手交代でテンポアップした静岡学園の方だった。8分にFW川崎雅哉(3年)、11分に藤村を相次いで投入した静岡学園は彼らの技術、機動力を交えて局面を破る回数を増やし、前への勢いが出ていた相手の背後を突いてゴールを脅かす。16分には、藤村とのワンツーでPAへ潜り込んだ米田が右足シュート。直後には右サイドからドリブルで仕掛けた藤村のラストパスから中央の米田が右足を振りぬく。

 そして21分だ。自陣でボールを奪った長島來が敵陣のセンターサークル先までボールを運んで左サイドへ展開。この日好プレーを連発していたCBコンビの一角の攻撃参加から、フリーでボールを受けた高原が中央へ折り返す。これを「きょうは途中からで悔しかった。出たら絶対に決めてやろうと思っていて、コンディションも良かった。いつもならトラップしてしまうんですけど、なんとなくダイレクトで打てると思って打ったら入りました」という藤村が右足ダイレクトで叩くと、決勝点となる一撃がゴールへ突き刺さった。

 反撃を試みる東京Vに対し、静岡学園は当初5分ほどの出場予定だったという須藤が21分から強行出場。「何としてもチームに貢献したくて昨日の夜から気持ちのつくりやコンディションを上げてきたつもりなんですけど、ケガは言い訳にしたくないんですけど、全然できていなくて、本当に満足できない」という須藤だが、攻撃を落ち着かせ、スペースへ正確にボールを落とすなどチャンスメークもして見せる。30分には左スローインから中央へ切れ込んだ須藤がほぼ角度のない位置から右足シュート。31分には須藤のループパスから右サイドを駆け上がった手塚が完ぺきな折り返し。米田の決定的な右足シュートは枠を捉えなかったが、2点目のチャンスをつくり続けた。東京Vも後半43分に安西が出したギャップへのパスを好トラップした菅嶋がゴールへ迫るが、シュートまで持ち込むことができず。3分間のアディショナルタイムも落ち着いて攻めていた東京Vだったが、最後まで決定打を放つことはできなかった。

 静岡学園はプレミアリーグで東京Vから初勝利。昨年、一昨年は全国総体でそれぞれ準優勝、8強と結果を残したものの、ドリブルとショートパスで徹底して攻める“静学らしいスタイル”を表現できた試合はわずかだった。ただ、今年は献身的な守備を軸に中盤の攻撃力が向上すれば、より技術とアイディアのあるサッカーを展開できそう。近年ではMF大島僚太(川崎F)らを擁して全日本ユース選手権で4強入りした10年度のチームを越える内容、結果をスタッフたちも期待している。川口監督は「今年の最終目標は選手権で代表になって全国で勝負すること。もっと面白いサッカー、質の高いサッカーができる」と語り、手塚も「ヴェルディ相手にボールを回せたし、ディフェンスも今季初の無失点で行けた。自信になると思うし、レベルも上がってきていると思うんですけど静学のサッカーをやりきれていない。もっとつないで圧倒してやりたい」と誓った。チームはけが人を抱える中でまずまずのスタート。ここからシーズンを通してどこまでレベルを高めるか。70人近いJリーガーを輩出している名門が今年、“静学らしい”魅力的なサッカーで日本一を目指す。

(取材・文 吉田太郎)
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